2008年12月11日
日中経済討論会終わる
11月18日に第8回日中経済討論会が開催されました。今年のテーマは「グローバル経済における日中の未来」。中国経済、環境・省エネビジネス、M&A、知財の活用などについて討論が行なわれました。
「五輪・万博後の中国経済と日中ビジネス」をテーマにした閉会シンポジウムでは、日中双方の専門家が現在の世界的な金融危機が中国経済に与える影響や今後の方向性などについて議論を行いました。中国政府は、短期的な景気刺激と中長期の経済成長のための基礎作りを結合させるべき、国民生活の質を高めるための投資をすべき、といった意見が出されました。
議論が変わったなと感じたのは、日本企業の市場戦略についてです。数年前までは日本企業は技術力を生かしてハイエンドに特化すべきという意見が多かったように思いますが、徐々に「ハイエンドだけでは市場が小さすぎる」、「ある程度のボリュームのあるゾーンもターゲットにしなければ企業全体を支えられない」という議論が出てきて、今年は「日本企業も廉価な商品を開発し、ボリュームゾーンを取るべきだ」というように様変わりしていました。
その背景には、日本国内の市場拡大がのぞめないなか、経済成長によって一定の厚みをもった中国市場に対して商品を投入し、そこで磨きをかけて、他の新興国へ横展開する、そういった考え方があるのではないでしょうか。世界的な金融危機で欧米諸国の経済は停滞しており、相対的に影響が少ない中国への期待は一層高まることになるのかも知れません。今後の中国ビジネスを考えるうえで非常に勉強になりました。
※写真は開会式後のパネルセッションの様子です
のっぽパンダ
投稿者 panda | 18:04
2008年12月 1日
第4回 日中経済貿易センター (その2)
のっぽ:
中国企業の信用調査サービスも提供されていますね?
槌田:
中国の調査会社と提携し、1998年から信用調査サービスを提供しています。年間40件ほどのご依頼をいただいています。取引先や合弁相手の信用状況をみるためのものです。この10年間の傾向をみると、最近は私営企業、個人オーナー企業について調べたいというご依頼が増えています。従業員数が10人以内ということも多く、日本企業の取引先がより幅広くなっていると感じます。
のっぽ:
中国の信用調査はあまり信用できないのではないかという声を聞いたことがありますが、どう思われますか?
槌田:
信用調査は直接訪問して、聞き取り調査を行い、実際の状況を確認していますが、調査を拒否する企業には何か不都合な点があるのではないかという推測が働きますし、定点観測することで見えてくる企業の動きもあります。
のっぽ:
中国ビジネスに取り組む日本企業へアドバイスをいただけますか?
池田:
ビジネスのなかで中国は身近な存在になって来ましたが、実際には「そんな簡単やおまへんで」というのが実態ではないでしょうか。われわれのような会員制の団体もあれば、政府系の機関をはじめとして中国進出を無料あるいは安価にサポートしてくれるサービスを積極的に活用して、スムーズにビジネスをしていただきたいですね。
また、最近の中国側の動きをみていると、アウトソーシング(BPO=Business Process Outsourcing)受託に力を入れています。ソフトウェア開発やコールセンター(電話応対センター)に加え、総務・人事・経理部門の仕事、銀行のバックヤード事務、物流など、私達が気付かないところで中国への業務のアウトソーシングが拡がっているものもあります。こうした部分にも注目する必要があると思っています。
~インタビューを終えて~
中国へのアウトソーシング(BPO)については、最近、大阪で開催される投資説明会も一般的な投資環境の説明にとどまらず、BPOを前面に打ち出した説明会も開催されるようになっています。また、中国企業の信用調査の対象が(国有・公有から)オーナー企業へ、規模についてもより小さな企業へと変化しているというお話も、中国の市場経済化の「進化」、日中ビジネスの「深化」を裏付けるものではないでしょうか。
池田部長、槌田部長にはお忙しいなか、お時間を割いてくださり、ありがとうございました。
★日中経済貿易センターのホームページはこちら
のっぽパンダ
投稿者 panda | 13:57