<< 道修町の風景| ブログトップページ | 企業家ミュージアム★メールマガジン★ 第45号! >>
2014年11月20日 09:37
行待裕弘様を偲んで (千趣会会長)
大阪企業家ミュージアム展示企業家のお一人、千趣会会長の行待裕弘様(享年82歳)が
11月16日、間質性肺炎でお亡くなりになられました。
ここに謹んでお悔やみ申し上げます。
3年前だったでしょうか、大阪企業家ミュージアムにお越し頂いた際には、
お帰りの際に階段を一段飛ばしで元気よく昇られていました。
まだまだ次の世代に伝えきれていないと熱く語られてい姿を今もありありと
思い出すことができます。
千趣会は、1955(昭和30)年、まだ戦後の暮らしに潤いの乏しかった頃、
こけし人形の頒布を目的に髙井恒昌様(1916-2004)、行待裕弘様(1932-2014)、
池田悟様(1928-1996)によって設立されました。 (髙井恒昌氏)
(池田悟氏)
企業理念である「女性の毎日に笑顔を届ける事を通じて世界をしあわせにしていく」
の言葉通り、女性の心をつかみ急速に成長していきました。
オフィスの女性グループ単位で注文等をとりまとめてもらう「お世話係」会員制、
料理カード付き月刊誌「クック」、「文学の旅」など趣味性が高く、女性の新しい
生き方を反映したオリジナル商品を次々と開発し、女性市場を開拓していきます。
行待様は、自著『モノではなく、生きる感動を売れ!~通販の先駆者「千趣会」は
こう考えてきた』2012年 河出書房新社 発行の中でこのように書かれています。
「・・・そんななか、はじめて手がけた商品を世の女性たちが大いに評価してくださった
ことが、その後の私たちの運命を決定づけたといえましょう。
一度購入してくれた顧客を、なんとしてでもつなぎとめたいと心から願い、喜んで
もらえそうなものを次々とつくって提供してきました。」
76年には、カタログ誌「ベルメゾン」を発刊。
当時難しいとされていたファッション衣料の販売からスタートし、服飾雑貨や生活雑貨、
家具、インテリア用品へと取り扱いアイテムを広げ、専門店型の品揃えと生活提案型の
独自のカタログスタイルを確立していきました。
(千趣会沿革と社名の由来はこちらをクリックしご参照ください)
今日は、行待様を偲び、行待様の座右の銘と言葉を紹介したいと思います。
【座右の銘】
不逆自然
可接人以
大愛
(自然には逆らわず人には大愛をもって接すべし)
その意味するところは、次のごとくでしょう。
「幾千億と数えきれない大宇宙の中の星のひとつでしかない地球の森羅万象は、
すべて大自然に支配されている。
そのチリのような地球の一産物にすぎない人類、そのまた一部の自分である
ことを認識し、逆らうことなく、常に自然に合致した素直な姿勢を保つように
心掛けねばならない。
人に対しては常に謙虚な心を保ち、自然が人間だけに与えてくれた大きな愛を
もって接するように心掛けたいものだ」』
(『モノではなく、生きる感動を売れ!~通販の先駆者「千趣会」はこう考えてきた』 6P)
【行待様の言葉】
運と実力、
混じり合ってるからややこしい。
まずは、ほとんど運だと思っているに
こしたことはない。
企業の文化は
よそから持ち込むものではなく、
自分たちで独自につくりあげ、
育てあげてゆくもの。
仕事をした対価として給料を得ているだけなのに、
なぜサラリーマンと自称するのだろう。
「私はビジネスマンです」と、
胸を張って言ってほしい。
見ればわかる
形のあるものにたいした価値はなく、
見えないものにこそ価値があることを知らないと、
心豊かな人になれないと思う。
似た価値観を持っているのだけれど、
自分とは違った長所をたくさん持っている―
そんな人とのつきあいが、
疲れないし勉強になって一番楽しい。
(座右の銘と行待様の言葉は、以下の書籍から引用をさせていただきました)
『モノではなく、生きる感動を売れ!~通販の先駆者「千趣会」はこう考えてきた』
行待裕弘 著 2012年 河出書房新社 発行
投稿者 museum | 2014年11月20日 09:37