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医療機器開発プラットフォーム事業

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事業目的

医工連携推進支援事業

(1)医療機器産業の課題

 医療機器産業の世界市場は、毎年約5~8%の成長率を維持しており、新興市場の成長を加えると、ビジネスとして更に有望な分野として注目されています。しかし、日本における医療機器産業は、輸入超過が続き、海外に比べ研究開発・事業化ともに遅れを取っていると言わざるを得ません。その要因には、医療機器産業が規制産業であり、参入障壁が高いことに加え、医療機関と企業との連携を促進するしくみが十分でないことなどが挙げられます。
 また、海外の医療機器開発先進地域と比べ、医療機器開発のプロセスにおいて、アイデアをものづくりに転換し、どのようなコンセプトで、どの市場をターゲットに医療機器を開発するのか、また、販路開拓や規制当局との連携をいかに図るかなど、事業化に至る各ステージにおけるサポート体制がまだ不十分であると言わざるを得ません。このようにビジネスとしての成熟度が、依然低いことを解決するために、医療機器開発を推進する支援基盤=プラットフォームを整備・拡充する必要があります。

(2)関西イノベーション国際戦略総合特区における医療機器開発促進

 関西は、世界トップクラスの医療機関、及び、優れた技術、特色ある製品開発を可能とする多様な企業が集積している上、大阪商工会議所等の過去10年にわたる医工連携活動の実績もあり、多くの医療機器に関する研究開発、事業化がすすめられています。
 本プラットフォーム構築事業においては、「関西イノベーション国際戦略総合特区」の活動として、医療現場ニーズに基づいて、将来的に海外市場をねらい得る国際競争力を持った医療機器開発を促進するため、特区地域において医療機器独特の開発・事業化プロセスに沿った包括的支援体制(エコシステム)の構築を目指すとともに、実際に企業がもつ個別案件への支援提供を実施します。同事業により、地域の中小企業のものづくり技術を生かし、地域の活性化に資するとともに、日本の医療、医療機器の国際的な認知を高め、市場シェアの拡大につなげます。

医療機器開発・実用化支援機能の創出

事業内容

事業内容1医工連携案件開発支援事業

 関西地域を中心に医工連携による共同開発を進めている企業等の案件の進展状況を把握し、医療機器の事業化の観点で有望な案件に対して、必要な開発支援を実施します。具体的には、特に高い技術力を活用し国際競争力を有する案件、日本式医療の国際展開に資する案件、中小モノづくり企業への波及効果が高く、コーディネーターによる支援の範疇を超える、より高度な支援を必要とする案件を重点支援案件と位置づけ、最適な企業フォーメーション構築のための追加の企業マッチング、医療現場の臨床医師のニーズに応じた製品仕様への改良のアドバイス、薬事を見据えた開発に係る支援等を専門コンサルティングを通じて提供します。

事業内容2コンサルティング希望案件の募集はこちら

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事業内容2医療機器事業化相談事業

 医療機器開発のトータルコーディネートができるよう医療機器の技術や事業化に精通したコーディネーターによる相談窓口を大阪商工会議所内に設置し、寄せられた開発案件の相談に対し、個別の事業化フェーズや状況に対応した支援を実施します。
 具体的には、薬事、事業戦略、販路開拓のためのパートナリングなど、各分野で活躍するコーディネーターが持つ知見、ネットワークを集結し、医療機器開発における切れ目ない伴走支援を通じて、国内のみならず海外で事業化できる有望な医療機器分野の共同開発案件が事業化に進展するよう総合的な支援等を行います。

(医療機器事業化相談事業等のスキーム図)

医療機器事業化相談等のスキーム図

事業内容3海外展開のためのメンタリング事業(ワールドフォーラムの開催)

 国際展開を促進するため、先進国、新興国の医療機器に関する市場・規制の状況や事業環境などの情報を包括的に提供するワールドフォーラムを2月に開催されるメディカルジャパンと連携して開催します。
 海外展開の際には、適切な企業パートナーの探索や、市場環境に応じたビジネス戦略の立案が必要であり、そのためには、実際に市場展開の経験がある個人、市場に深い知見を持つ個人・組織、試作品等の試用・評価に協力する臨床医師・医療機関との連携が重要となります。これまで大阪商工会議所が連携を深めてきたミネソタ、シンガポール、ヨーロッパなどの先進国のほか、経済成長に伴い今後更なる市場拡大が見込まれる新興国、特に東南アジア諸国の医療機関、政府関連機関の専門家へメンターとしての協力を仰ぎ、本フォーラムに招聘し、各国、地域の市場・規制の状況や海外展開の際に活用できる企業・機関ネットワークの情報を提供するほか、これから海外市場を目指す企業の相談に対し、会場内のブースにおいて個別アドバイスを行います。
 詳細については、確定次第、順次アップデートします。

事業内容4医療機関と連携した実践的な事業化ノウハウの習得支援

 企業の医療機器分野参入を成功させるべく、医療機器ビジネス特有の各種知識やノウハウの提供に加え、医療機関と連携し、実際に医療機器等が使用されている医療現場でのニーズ探索を含む実践的な事業化ノウハウの習得支援事業を行います。本習得支援は、昨年の特区事業の支援の中で実施した、Bio Business Alliance of Minnesotaやミネソタ大学の協力を得た教育プログラムのコンセプトや運営手法を基盤としています。

1)医療基礎講座の実施
他分野からの参入企業が、医療の基礎的な知識(疾病の概要、基本的な治療方法等)を理解し、各医療分野でどのような医療機器が使用されているか等、医療機器事業を行う上で必要とされる医療に関する基礎的な内容を学ぶ機会を提供します。具体的には、他機関との連携を通して、基礎的な講座を実施します。

2)医療現場のニーズ探索及び医療機器開発への継承(クリニカルイマージョン)
実際に医療機器等が使用されている医療現場を見学し、実態を知ると共に、医療行為に用いられる機器開発ニーズの発掘を試みます。具体的には、企業関係者が医療現場見学や医師へのヒアリングなどを通して、事業化の観点からニーズ候補を探索し、その内容や医療従事者の需要、技術的制約、実際にかかる生産コスト予測等の医療機器開発可能性について、医療従事者を交えて議論を行う場を提供します。本手法はミネソタで医療機器ビジネス人材の育成の際に実施されるプログラムを参考としています。

3)医療機器ビジネス講座の実施
医療機器開発において、企業が医療機器ビジネスの全体像を理解し、出口戦略を見据えた上でコンセプト設計から臨床試験や薬事対応、上市までの各事業プロセスに総合的に取り組むことができるよう、2)のクリニカルイマージョンで提案された案件を仮想モデルとして、専門家による実践的なプロセスに即して事業化をすすめていく講座を関西域内の大学や医療機関と協力して実施します。また、上記(3)の海外展開のためのメンタリング事業とも連動し、ビジネス講座の一部の講師は海外先進地域から招聘し、ミネソタや海外モデルを取り入れた日本版の医療機器ビジネス人材育成プログラムを構築します。

事業内容5新興国向け医療機器開発促進のための基礎調査の実施

 今後成長が見込まれる新興国の医療現場においては、医療機器に関するニーズが手つかずのまま多く潜在しています。しかし市場としては先進国と大きく異なり、生活レベル、宗教等、文化的・社会的背景も含め、独自の医療制度や医療・事業環境を有しているため、国内企業が日本を含む先進国市場向けに開発した医療機器をそのまま持ち込んでも展開は難しいため、現地の様々な環境に適応する、新しいコンセプトの医療機器開発を、現存の先進国向けに開発されてきた技術・機器から新興国の目線で可逆的に行う、いわゆるリバースイノベーションを促進します。
 新興国向け医療機器開発促進事業の内容を今後具体的に検討するため、先進国との様々な環境の差異や現地の医療機器関連業界動向、日系企業進出のハードルなどの基礎的な情報を現地の医療機関や関連機関・団体等の協力のもと、現場視察やヒアリング、文献調査を通して報告書の形でとりまとめ、様々な機器開発を行う際の基本仕様やコンセプトの策定の補助資料とします。

※上記事業は全て予定であり、変更の可能性があります。