佐藤会頭の眼~会員企業と共に歩む(寄稿文) その11
Chairman’s Eye with you

その11 <挑戦する経営者>
○勤勉に加えて挑戦する経営者の中で、この方々も強く印象に残っている。マンダム(中央区)の西村元延社長、淀川製作所(守口市)の小倉庸敬社長、マッスル(淀川区)の玉井博文社長、エンジニア(東成区)の高崎充弘社長、そしてダイカン(大正区)の仁義修社長だ。

2011年6月マンダム社の西村社長より同社の歴史につき説明を受けるIMG_3053.JPG「2011年6月 マンダム西村社長より同社の歴史につき説明を受ける」
○男性用化粧品を製造するマンダムは中央区に本社がある。1927年に金鶴香水株式会社として設立以来、同じ場所で事業を営んできた。大阪商工会議所ビルからも徒歩圏内だ。西村社長にお会いして驚いたのはその洗練された服装や身なり。さすが化粧品会社だけのことはある。自ら広告塔としての役割を果たそうとされていることに何より感激させられた。同社はマンダムやギャツビーブランドのCMを提供していることから東京の会社と思いこんでいる方も多いようだ。ブランド戦略、そして1960年頃から華僑ネットワークを拠り所に始めたインドネシアなどへの市場参入戦略が見事だ。現地ニーズに併せた数回分の使用量に小分けした整髪料の屋台販売は、新興国市場参入を目指す会員企業にも大いに参考になる事例だ。こうした成功例を会員企業と共有できるよう広くご紹介していくことも会議所の重要な役割だ。

      訪問記録 2011年6月30日 マンダム

○電気自動車の開発にチャレンジしたのが淀川製作所の小倉社長(守口市)。町工場のおやじが挑んだ「あっぱれ! EVプロジェクト」は多くのメディアが取り上げてきたが、本会議所も、同プロジェクトを大阪活力グランプリ2010に選出。環境性、デザイン性に優れた三輪の電気自動車(EV)「Meguru」の開発が、関西の中小企業の技術力をアピールしたと小倉社長ら関係者に表彰状と記念品を贈呈させていただいた。同社は元々金属加工業などを営む会社だが、中小企業でも出来ることがあると、医薬品用攪拌機や、魚3枚おろし機の製造を受注。新規顧客開拓に向けて挑戦者魂は健在だ。座右の銘は「決して諦めない。継続が力である。事を起こさずに後悔するより、事を成して後悔する方が実りある。」だ。

      訪問記録 2010年7月13日 淀川製作所

○高度な技術力、営業力を持ったファブレスメーカーのマッスル(淀川区)は、2010年上海万国博覧会日本産業館で人気を博した「夢ROBO」の製作で中心的役割を果たした。(関西・中小企業15社による共同製作)大手メーカーが尻込みしたロボット製作に損得を度外視して取り組んだチャレンジ精神を学ぼうと、上海から帰国後、早速、会社をお訪ねして詳しくお話を伺った。



2011年10月大阪マラソン前夜祭で橋下知事にマッスル社のランナーロボットを紹介CIMG0499.JPG「2011年10月大阪マラソン前夜祭でマッスル社のロボットを橋下知事に紹介」
○玉井社長は、創業10年目にFDA(米国食品医薬品局)の認定を受けた製品作りに成功。米国大手医療機器メーカーに直接輸出を開始したころから経営が軌道に乗ってきたと振り返り、「今般、大企業が手を付けない介護用ヘルパーロボットを開発した。ロボット産業は優秀な技術を持つ中小企業が力を合わせれば成長分野のビジネスに育つ潜在力を秘めており、是非大商にも支えて欲しい」とのご要請も承った。玉井社長には、大阪マラソンで完走できる人型ロボットを製造して欲しいとレベルの高いお願いをし、ひそかにその実現を期待しているところだ。この夢が本当に実現できる日はそう遠くないと確信している。大阪市内を走る大商会頭の人型ロボットが目に浮かぶ。今から楽しみだ。

      訪問記録 2010年7月9日 マッスル

○プロ用工具メーカーとして実績を積み重ねてきたのはエンジニア(東成区)の高崎社長。工具の販売を消費者マーケットにも広げようと顧客愛用カードから少数派意見にヒントを得て独自製品を開発。その「ネジザウルス」シリーズ(ねじの頭部がつぶれたり錆びたりしたものをしっかりはさんで外すことができる工具)は、累計100万本を超す大ヒット作に。今後海外市場の獲得にも取り組んでいきたいと意気込む。同社の強みは、製品開発にあたりパテントとデザインの融合化を心掛けてきたこと。この経営スタイルは他のモノづくり企業にとっても大変参考になるとみた。高崎社長のアドバイスもあり、中小の会員企業向けに知財関連のセミナーを開催した。

      訪問記録 2012年4月10日 エンジニア

○ダイカンは、広告用看板等の製造を手掛ける会社。大正区三軒家にあり、創業は昭和39年と間もなく50年を迎える会社だ。同社で驚いたのは、従業員の平均年齢が若く活気に満ちあふれていたこと。社員のモチベーションを常に高く保つ工夫を心掛けるなど、「生き残るのは常に進化続ける者だけ」という仁義社長の座右の銘を実感できた。香港、マカオ、ベトナムなど海外の展示会で積極的にLED看板を売り込むなど新たな市場開拓に向けた行動力も素晴らしい。同社も既にベトナム南部に工場を立ち上げ、新興国マーケットへの進出を独自に進めていた。グローバル化の波はそこかしこに浸透している。
      訪問記録 2010年9月29日 ダイカン