佐藤会頭の眼~会員企業と共に歩む(寄稿文) その10
Chairman’s Eye with you

その10 <訪問先経営者アンケート>
2011年9月大阪スタイリングエキスポを視察CIMG0854.JPG「2011年9月 大阪市役所での大阪スタイリングエキスポを視察」
○今回の訪問先経営者向けアンケート32社(9月21日現在)の回答を拝見すると、経営トップに必要な資質として、行動力を挙げた方は19社(59.3%)、決断力を挙げた方は、21社(65.6%)。(複数回答含む)このうち経営者にとって最も重要な要素を一つだけあげて欲しいと尋ねたところ、行動力、決断力を挙げた方が、それぞれ8社(25.0%)、5社(15.6%)となった。昨今の大変厳しい経済環境のなか、身を低くして次の飛躍のチャンスを狙っておられるのではあるまいか。

○回答頂いた方の座右の銘で印象に残るものをご紹介してみよう。
・日本ポリグルの小田兼利社長「日本人のDNAを大切にしよう」
・マッスルの玉井博文社長「武士道の基本理念である義と勇」
・フジキンの小川洋史会長「温故創新、一転八起、画龍点晴」
・インターグループの小谷泰造会長「執生―生き残るために必死になる」
・タブチの田渕宏政社長「活かされている自分を感じ、出過ぎないように出る。」
・向井珍味堂の中尾敏彦社長「経営理念の「幹」(背骨部分)は絶対に変えないが、「枝葉」(応用面)は時代に即応して変化させる。最後に生き残れるものは大きいものでも強いものでもなく、「変化」できるものである。」



○中堅中小企業にとって、企業の成長は、その経営者のアクション力に負うところが大きい。チャレンジ精神をお持ちの経営者が更に力を発揮できるよう、時にはおせっかいかもしれないが、相互にお引き合わせをすることも商工会議所の務めと考えている。これまでにも、フジキンの小川会長と大西の大西元副会頭、インターグループの小谷会長とマッスルの玉井社長、日本ポリグルの小田会長と大阪市の平松市長(当時)、コドモエナジーの岩本社長とエンジニアの高崎社長など異業種の方が出会われた。融合化による新事業の創出を願っている。

○活躍の幅を広げている会員企業もご紹介したい。コラピア(北区)の酒井和子社長は、厳しい経営環境のなか、大阪商工会議所の様々な事業・サービスを積極的に活用し、新たな販路を開拓しようとしている逞しい女性経営者だ。同社長は、本会議所の経営相談サービスを活用し、資金繰りや事業計画策定を見直しする一方、2010年(平成22年)3月には本会議所が主催する「新入会員の集い」で自社が取り扱う健康志向食品の健康ぶどう酢などをPR。従来の薬局経営に加え、健康食品や化粧品の訪問・外販事業の売り上げ拡大を目指し格闘中。また店内は化粧品コスメコーナーを併設すべく改装。大型ドラッグ店とは一味違う独自商品の提供と地域に根ざした繁盛店を目指す取り組みが印象的だ。

      訪問記録 2010年8月7日 コラピア



2011年9月光世の婦人服デザイン企画現場を視察CIMG0647.JPG「2011年9月 光世の婦人服企画現場を視察」
○若い女性をターゲットに婦人用衣料品を製造しているのが住吉区の光世。会社を挙げて周辺道路を掃除して地域貢献に取り組んでいるほか、社内の若手デザイナーには年俸制を導入し、やる気を発揮させるなど、その独自性のある経営戦略に感銘を受けた。同社の藤井社長は経営者に必要な能力の第一に決断力を挙げている。座右の銘は「六中観」だ。

      訪問記録 2011年9月8日 光世

○元フィギアスケートの全日本チャンピオンが経営するミラテック(都島区)。経営者の滝野賢治社長は、府下の商工会議所などが共同開催している「大阪勧業展」を活用して顧客開拓に成果を上げている。また、「Dear Color」ブランドの文具やオリジナリティ溢れるノベルティグッズの開発に社員と共に知恵を絞る。同社長の座右の銘は「宇宙との調和を基礎に成長発展し、地域社会に貢献する」。般若心経を掲載したグッズも積極的にPRしている。

      訪問記録 2011年8月4日 ミラテック

○ブランドに欠かせないデザイン人材の育成に取り組む施設が阿倍野区にある大阪市立デザイン教育研究所だ。自治体自身が経営するのは珍しいとのことであるが、学ぶ生徒達が企業のPR映像を製作する過程で、消費者に訴えたいポイントをいかに映像化するかなどを指導、実践に即した教育が行われていた。その後、生徒達はどうしているだろうか。

      訪問記録 2010年7月8日 大阪市立デザイン教育研究所

○デザイン力を重視して文具製品の開発を行っているのは阿倍野区に本社を置くセキセイの西川雅夫社長だ。ハート型の写真アルバムなど若い女性をターゲットに商品開発を行う一方、良く売れている商品への付加価値をつける工夫が、売れ筋商品を生み出すコツと語る。今後どんなアイデア商品を生み出すのか楽しみな会員企業だ。西川社長の旺盛な好奇心は「なんでやねん」の著書に集約されている。文具業界もアジア各国での製造拠点が増えているとのこと。次回お会いしたときには、ベトナムでのビジネス展開のその後をお聞きしたいと考えている。

      訪問記録 2011年10月12日 セキセイ

○段ボールを製造する矢野紙器(天王寺区)は、障害者雇用にも理解を示す矢野孝社長が率いる人間味溢れた会社だ。段ボールの机や椅子が並ぶカフェで意見交換をさせていただく機会を得た。矢野社長は、「段ボールの特性は弱さだが、自らが変形して衝撃を吸収して中のものを守る。我々は段ボールのように柔軟に対応し、新しい職場環境を作ってきた。」と話をされていたのが印象に残る。後日オランダ企業がデザイン製に優れた家具を段ボールで製造しているのを展示会で見かけ、是非一度会場を覗いて欲しいとお声をかけた。いろいろなところに有形無形の役立つ情報がある。

      訪問記録 2010年7月8日 矢野紙器

○このほか、鉄鋼商社である阪和興業の物流センター(訪問時は住之江区の南港、現在は堺市に移転)、住之江区でリチウム電池の製造などを手掛けるパナソニックエナジー社、医療機器を生産するカネカ大阪工場(摂津市)などを視察する機会を得た。最先端ビジネスは秘匿事項が多く、全ての製造工程を見学することはできなかったが、製造現場の張りつめた空気にメーカーの凄みを感じたものだ。

      訪問記録 2010年12月2日 阪和興業
           2010年7月13日 パナソニックエナジー
           2010年5月12日 カネカ