佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2014年4月7日(月) 京都大学法学部入学式における講演会

「自国の文化を語れる若者たれ」

CIMG7965.JPG「講演会全景」 政治はせっせと国境を作りますが、経済に国境なしです。今後グローバル化はさらに加速されていくことでしょう。グローバル化した世界にいる皆さんにとって語学の大切さは言うまでもありません。私は本学の教養部では第2外国語はフランス語だったのですが、これはもちろん、いい加減です。英語も喋れません。それで仕事に支障があるかというと、そんなことはありません。外国を訪問しているうちに気付いたことは、語学以前に、伝えたい事、自分の考え、日本人としての立ち振る舞いをどう持っているかということこそが重要だということでした。

 皆さんはブロードウェイの華麗な行列というホイットマンの詩を知っているでしょうか。万延元年、日米修好通商条約批准交換のため訪米した外国奉行・新見正興らの一行を称えた詩です。腰に刀、チョンマゲ、羽織袴のサムライの一行の姿は野蛮に見えたはずですが、ニューヨーク子は、背筋を伸ばし威風堂々たる姿に気品を感じて感動したのでした。詩人ホイットマンはその様子を詩にしました。当時の支配階級である武士は教養人でした。和魂漢才、和魂洋才。海外の文化を和の心で吸収し、自国の文化を作り出しました。東洋のサムライは、言葉を発することもなく、一身にそれを身に付けて全人格として、自信を持って発信していたのでした。

 ここで、言いたいのです。グローバル化の時代、ブロードウェイの華麗な行列のように、自国の文化を身に付けてこそ、言語は有力な武器になります。そうです。皆さんがこれから身に付けるのは、教養、文化です。放牧の日々の中で、意識して身に付けてもらいたいのが教養、文化です。