佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2014年4月7日(月) 京都大学法学部入学式における講演会 

「自国の文化を語れる若者たれ」

CIMG7969.JPG「「支えよう日本 関西からできること」を新入生に紹介」 3年前の今頃「支えよう 日本 関西からできること」というメッセージを作り、被災地を始め東京など東日本に発信しました。3・11から日を置かず、本学の中西 寛教授から「今、わが国の非常事態です。財界が立ち上がるべきです」とメールが入ってきました。それでメッセージを発信することにし、大阪大学総長だった鷲田清一先生に文章を作っていただきました。簡潔で心の籠ったメッセージには関西の文化人、財界が賛同して名を連ねました。震災の年(2011年)の8月に仙台の商工会議所を訪問した時、このメッセージがエレベーターのところに掲示されており、ああ、お役に立っているのだな、と実感したものです。

 私は毎年、大震災と津波で見る影もなくなり多くの犠牲者を出した東北を視察しています。今年(2014年)の2月に行った時は流石に瓦礫の処理は進んでおりましたが、津波対策としての防潮堤や嵩上げの工事、そしてその後の街づくりなど復興はこれからです。東北の被災地の復興なくして日本の復興はありません。復興が遠ければ、それだけで国力の回復は遅くなるということです。

 今でも、この「支えよう 日本 関西からできること」というメッセージは新鮮です。それは何を意味するかというと、復興が遅々として進んでいないということです。私はこのメッセージを心に刻んで、微々たる力しかありませんが、被災地の皆さんのお役に立ちたいと動いております。この年寄りが動いているのは、この国の行く末を案じているからです。現状のまま推移しますと、皆さんが望んでいるかもしれない大会社の管理職としての平穏な日々は、この先期待できないかもしれません。