佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2014年4月7日(月) 京都大学法学部入学式における講演会

「自国の文化を語れる若者たれ」

  • その3(自らの体験から得たもの)

CIMG7970.JPG「講演会場では多くの新入生が真剣な眼差しで聞き入っていた」 前置きはこれくらいにしておきまして、本日はこの国を背負っている皆さんへ、若者らしい気概とか志について、自分の経験から述べてみたいと思います。

 私は大阪と京都、琵琶湖を結ぶ、大変短い路線の電鉄会社に就職し、現在最高顧問として勤めていますが、入社した時、余りにも小さくて狭い世界なので、正直なところ、嫌で仕方ありませんでした。時は高度成長経済の真っただ中。モノづくりの国・日本は世界に羽ばたいていて、ソニーのトランジスタラジオはそれを象徴していました。ボートの仲間や教養部のクラスメートは、花形産業である、モノづくりを支える鉄鋼、金融、商社に就職いたしました。エコノミックアニマルと言われて、海外で活躍する友人の姿が羨ましく、自分は淀屋橋と三条の間の小さなところでズルズル過ごすのが嫌で後悔したものです。

 でも歳を経るにつれて、だんだんと世間が広がってきました。今は、大阪商工会議所の会頭として、この日本を関西から元気にしたいと意気軒昂、東奔西走しております。国内だけでなく、海外にも年に4、5回は出掛けております。

 「人間至る処青山あり」、という言葉があります。人間には何処においても青山、つまり墓場とするところがある。どんなところにも活躍できる場所がある、という意味ですね。我が人生を振り返ってみれば、結果的に、それを実践してきた人生だと思います。何処に居たって、覚悟を決めて挑めば道が開けてくるものです。大切なのは「心掛け」。昨今は管理職になり、平々凡々な生活があれば良い、と大会社に就職することだけを願う若者が多いと聞いていますが、皆さんはそれだけは止めて欲しいものです。人間大会社に安定あり、では困るのです。