佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2014年1月28日(火)  平成25年CITEサロン第3回大阪都市格研究会 大阪まちなか・背骨の品格

「千客万来都市OSAKAをつくろう」

  • その3(AM/PM経営と大阪の場格)

CIMG6882.JPG そこで申し上げたいのは、リニューアル前後の数字であります。面積も1万5千平米から5万平米、売上高も3倍以上になっていますが、問題はこの総投資額利回りであります。ここが一番大切です。テナント数が増えれば売上高が増えるのは当然であります。私鉄経営というのは、土地は自分の土地ですから、その土地の時価を換算した上での利益計算という概念がなかなか働かないのであります。イオンさんなどのショッピングモールは、新たに土地を手当てしてそこで店舗を作りますから利回りも考えます。ところが私鉄経営の場合は自前の土地でやるものですから、そこまで勘定に入れないわけです。

 現在不況ですから少し利回りは下がっているかもしれませんが、これを指摘されたのは、私が機関投資家への説明(IR)でロンドンに行った時です。くずはモールのリニューアルをするというけれど、どのぐらいの利回りだと聞かれたのがきっかけであります。この時初めてIRの意味が分かったわけです。機関投資家は厳しい目で見ていますから、のんびりした私鉄経営は駄目だなと思いました。社内の意識改革で最も効果のあったのは、この投資利回りという考え方の導入です。

CIMG6885.JPG それで今では、AM(アセットマネージメント)、PM(プロパティマネージメント)という経営の考えを導入して、土地を持っている電鉄とテナントをリーシングし、お客様のニーズに応えて惹きつけて運営する部門とに分離しまして、流通部門のノウハウとしております。所有と運営の分離はそれなりにノウハウが必要ですが、今では福岡ドームのショッピングモールの運営など、あちこちから受託しております。

 こういったようにAMとPMをきちんと仕訳して利益を出す、このことを私は都市格という言葉に変わって場格と申し上げたいと思います。場には場の格があり、これをどう引き出していくのか、この考え方は大変わかりやすいと思います。場の格を引き出さない以上は、都市格が良くならないということであります。品格のある都市といってもわかりにくいですから、そういった資産をどう活かしていくかという考え方を用い、切り口を変えてみて大阪の市内をみてみる必要があるのではないかと思います。

CIMG6886.JPG また樟葉の分譲、ショッピングモール開業から樟葉駅の乗降客数のお客様がどうなったかということですが、鉄道事業はどうしても自分中心ですからお客様を乗せてやるという発想が長く続いたのですが、実際にはそこういった施設が鉄道事業に貢献しているという姿を見せ、流通事業は脇役でないことを証明した意義も大きいと思います。

 それで場格と都市格という観点で大阪市内を見ることが必要なのですが、大阪市内の商業施設は、2011年以降相次いで開業・増床となってきており、2013年の全国百貨店売上高速報を見ましても、大阪は対前年比5.4%と全国一の伸びを示しておりますが、先ほど申し上げましたように、その場に相応しい総投資額利回りを考えることが大事であります。調査する時間がなかったものですから本日は路線価の資料も急遽作ってもらいました。御堂筋の路線価は前年比4.7%増となっていますから、場格を上げていると言うことができるかもしれませんね。
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