概要

□日 時：2015年9月28日（月）14:30～16:00
□会 場：リーガロイヤルホテル　３階　ロイヤルホール
□テーマ：最近の金融・経済情勢について
□主催団体：大阪商工会議所、関西経済連合会、大阪銀行協会、関西経済同友会
□佐藤会頭発言骨子：以下の通り

＜関西の景気認識＞
○黒田総裁の思い切った異次元緩和により、デフレ脱却という第一関門は突破しつつあり、大阪・関西の景気も、緩やかながら回復基調にあるが、企業規模や業種により偏りが見られるうえ、ここにきて幾分停滞気味である。
○大阪商工会議所が、四半期ごとに実施している景気動向アンケート調査をみても、足元７～９月期は、国内景気判断は４～６月期から後退（21.0→10.0）しており、企業の業況総合判断も、改善（-2.4→4.7）しているものの、前回調査時の予測値（16.0）からは下方修正となるなど、全体として、今一歩、勢い不足の感が否めない。

＜当面の課題＞
○特に、中小企業は、依然としてコストアップを十分転嫁できず、収益の改善に遅れが見られる。また、企業は、中小企業も含め、賃上げに努力しているが、個人消費の回復ペースは順調とは言い難い。今や高度成長時代の消費を支えた一億総中流の面影はなく、インバウンドと富裕層頼みの構造では、「２％の物価安定の目標」はなかなか実現しない。
○もう一つ気掛かりなのは、中国経済の減速である。今のところ、インバウンド（ホテル、百貨店、商店街）関連は、好調をキープしているようだが、会員企業からは、中国現地法人の売上が落ちてきている（自動車関連部品卸）、中国への輸出が減少している（業務用潤滑油の製造）などの声が寄せられている。大阪・関西は中国との結びつきが強いこともあり、先行きを心配している。中国発の経済危機を引き起こさないよう、黒田総裁にはご尽力をお願いしたい。

＜力強い成長の実現＞
○現下の課題である日本経済の潜在成長率を高め、本格的な力強い成長を実現するには、成長分野に次々と企業が挑戦し、イノベーションを創出するようなビジネス環境が欠かせないが、あわせて、内外の投資家に日本の経済再生にかける意気込みは本気だと思わせるような演出も必要であろう。
○私は３年前、当時は白川総裁であったが、この懇談会の席であらゆる金融緩和策を一挙に打ち出す「劇場型金融政策」を提案させていただいた。黒田総裁の強力な「第１の矢」は、成長戦略の実施のための時間を生み出していただいた。今回は、この時間を使って、思い切った規制緩和や構造改革を大胆に断行する、いわば「劇場型成長戦略」を実行することを提案したい。
○大阪商工会議所は、企業の挑戦を応援するため、成長分野として有望なライフサイエンス産業にいち早く着目し、全国に先駆けて医薬品、医療機器の事業化に向けた支援事業を実施しているが、最大の障壁は「規制」である。とりわけ医療分野の「規制」は強固であり、介護システムの開発に取り組んでいる経営者からは、「治験などの審査が進まない」との声を聞く。
○規制緩和や構造改革が進めば、企業のチャレンジ意欲は高まり、政府が企業に求めずとも、「内部留保から設備投資へ」の動きは生まれるであろう。その際、大切なのは期限を切ることである。いつまでたっても検討中では、企業は思い切った投資はできない。
○先日、安倍総理は経済の再生を最優先に政権運営にあたっていくとの考えを示されたが、ぜひ、黒田総裁からも、第１の矢の有効なうちに、期限を区切ってスピード感をもって規制緩和や構造改革を進めるよう迫っていただきたい。

＜成長基盤強化を支援するための資金供給＞
○最後に、日本銀行の「成長基盤強化を支援するための資金供給」についてお願い申し上げたい。この制度は、来年３月末に期限を迎えるが、成長分野に挑戦する企業を資金面で支援する制度として、事業者および金融機関の双方から高く評価されており、是非延長をお願いしたい。私からは以上である。