財務省幹部と関西経済団体との意見交換会(平成25年10月28日)

 佐藤会頭、小嶋副会頭らは10月28日に財務省の古川副大臣、山本財務大臣政務官らと懇談を行った。
席上、開会挨拶を行った佐藤会頭は、消費増税に耐え得るよう経済の体力強化に全力で取り組んで欲しいと強く要請を行うと同時に、成長戦略の早期具体化を進める上で、医療、医療機器分野などで優位性を持つ関西が国家戦略特区の指定を受けられるようご支援頂きたいと述べた。

財務省幹部と関西経済団体との意見交換会(平成25年10月28日)

懇談概要

□日 時:平成25年10月28日(月) 13:15~14:15
□場 所:帝国ホテル大阪 5階「八重の間」
□出席者;以下の通り
【財務省】
財務副大臣 古川 禎久氏
財務大臣政務官 山本 博司氏
大臣官房長 佐藤 慎一氏
大臣官房総括審議官 浅川 雅嗣氏
主計局長代理(同局総務課長) 大鹿 行宏氏
主税局長代理(同局審議官) 星野 次彦氏
関税局長 宮内 豊氏
理財局長代理(同局審議官) 岡本 直之氏
国際局長 山崎 達雄氏
近畿財務局長 枝広 直幹氏

【関西経済団体】(敬称略)
大阪商工会議所 会 頭 佐藤 茂雄(京阪電気鉄道(株)最高顧問)
        副会頭 小嶋 淳司(一般社団法人大阪外食産業協会相談役)
        専務理事 灘本 正博
関西経済連合会 副会長 沖原 隆宗 ((株)三菱UFJフィナンシャルグループ取締役会長)
        専務理事 川邊 辰也
関西経済同友会 代表幹事 加藤 貞男(日本生命保険(相)代表取締役副会長)
        常任幹事 清水 春生((株)エクセディ代表取締役社長)
        常任幹事・事務局長 齊藤 行巨

□佐藤会頭の主な発言
<消費税率アップ>
○10月1日に安倍総理が税率アップをご決断後、経営にマイナスの影響が懸念される中小企業からも、増税の必要性を理解し、国全体として何とか乗り切っていこうとの声が寄せられている。4月1日の税率アップまであと半年足らず。是非、転嫁の不安などマイナス要因を丁寧に取り除いていただき、後々「今回の増税は成功した」と言われるよう、政府を挙げて万全を期してほしい。
○一方、忘れてはならないのは、肝心の社会保障制度改革である。苦労して消費税を引き上げるのは、国民の最大の不安である社会保障財源を確かなものとするためとの明確なメッセージを発信すべきだ。同時に「給付抑制なき負担増」に陥ることのないよう、持続可能な制度の具体化にもエネルギーを注いでいただきたい。

<景気動向>
○あわせて、政府が当面全力で取り組むべき課題は、消費増税に耐え得るような経済の体力強化である。我々が実施している企業の景気動向調査を見ると、7-9月期も全体としてプラス局面が維持されており、上昇基調は崩れていない。また、昨年大きく落ち込んだ「国慶節商戦」も、一昨年には及ばないものの前年よりは回復しているとの声が多く聞かれる。
○ただ、中小企業では、4-6月期に5年半ぶりにプラス転換した景況感が、足もと再びマイナスに陥るなど、一本調子には改善が進まないという脆弱さも見られる。景気に一服感が出てしまうのか、中小企業も含め力強い回復を遂げるのかの大事な時期。今回の我々の調査結果を「成長戦略の早期具体化を催促するサイン」と受け止めていただければ幸いだ。

<税制・補正予算>
○こうした中、先般取りまとめられた「与党税制改正大綱」は、幅広い投資減税が盛り込まれるなど、成長志向型の税制構築に向け、大きく舵を切られたものと歓迎する。
○今後の焦点は、「復興特別法人税の1年前倒し廃止」や「法人実効税率のさらなる引き下げ」であるが、特に我々が注目しているのは、どこまで法人実効税率自体の引き下げに踏み込まれるかである。アジアの競争相手国に比べ著しく不利な状況が続いている現状をご理解賜り、ハンデ解消を急いでいただきたい。
○他方、先般大枠が示された経済対策については、具体化に向け、補正予算案を急ピッチで策定中と存ずる。ライフサイエンスなど先端分野の研究開発支援や、中小企業向けの設備投資補助金など、経済のパイ拡大を軸とした内容となるよう期待する。

<関西国際空港予算>
○この機会に今一点申し上げたいのは、関空予算の確保である。関西国際空港は、LCC路線の充実やインバウンド増加などにより、中期経営計画で掲げた目標をクリアするなど懸命の努力を続けている。また、地元経済界としても中長距離国際線の拡大などに積極的に取り組んでいるところである。
○このうえは、コンセッション実現に向け、国際拠点空港としてのさらなる機能強化のため、新関空会社への補給金や国直轄事業について、予算措置をお願いする。

□小嶋副会頭の主な発言
<消費税率アップへの対応~転嫁対策の徹底>
○消費税率アップに向けた対応などを中心に、要望を申し上げる。消費増税自体については、社会保障財源確保のために必要であるとの理解が、中小企業も含め進みつつあると思う。
○ただ、どうしても駆け込み需要の反動や消費者の実質購買力低下、中小企業の経営圧迫など、当面の景気の下押し要因になることは否めないので、徹底した対応策をお願いしたい。中でも、最大の心配事はスムーズな転嫁である。私どもが9月に行った調査でも、「現在ほとんど転嫁できておらず今後も期待できない」との声が、約25%=およそ4社に1社に上っている。どうか、政府を挙げて、広報活動の徹底、優越的地位を利用した不公正取引の取締り強化など、円滑な価格転嫁策に万全を期していただきたい。

<複数税率の導入反対>
○また、10%への引き上げ時に導入の可否が検討されている複数税率が現実のものとなれば、事務負担の著しい増大が必至であるほか、税率の線引きを巡り取引先・お客様との間でトラブルが生じる可能性も高い。加えて、簡易課税制度の維持が実質的に困難になるとともに、免税事業者が取引から排除される懸念があるなど、中小企業に対する悪影響が特に危惧されることから、導入は是非回避いただくようお願いする。

<金融面での対策強化>
○同時に、売上減少や仕入値のアップ、事務コスト増大などにより新たな資金繰り対策も必要と存ずる。業績悪化に対応した融資制度を強化するなど、中小企業に対する十分な支援策を打ち、マイナスの影響を最小限に抑えていただきたい。

<官公需受注機会の拡大>
○この機会に今一点申し上げたいのは、12月に向けて具体化が進む、補正予算および来年度本予算における中小企業への傾斜配分である。
○消費税率アップ成否の鍵は、経済の大部分を占める中小企業に、増税を吸収していけるだけの元気を付けていくことと存ずる。具体的には、何よりも仕事量の確保が重要と考えるので、その一環として、補正予算および来年度本予算における官公需受注機会の一層の拡大をお願いしたい。

また小嶋副会頭は、リニア中央新幹線の東京-大阪同時開業に向けて、JR東海のみならず、日本政府の積極的関与についても検討してほしいと述べた。

CIMG2495.JPG「財務省幹部と関西経済団体との意見交換会で挨拶を行う佐藤会頭」


CIMG2500.JPG「財務省を代表して発言を行う副大臣の古川禎久氏(中央)」