□ 「関西広域連合との懇談会に出席し意見開陳」(1月24日)

 佐藤会頭は、2013年1月24日(木)に開催された関西経済界と関西広域連合との意見交換会に出席し意見開陳を行った。

席上、同会頭は、「具体的な事例から入ると説明しやすいので、広域計画の中から観光・文化を取りだし意見を申し上げたい。今年はKANSAI国際観光YEAR2013が実施される予定だと伺っている。観光のPRを関西全体で協力してやろうという企画、試みについては評価したい。ただ関西ブランドを世界に発信しようにも、関西そのものが海外では認知されていないため、どうしても京都、神戸、大阪と、個別に見られてしまう。関西ブランドは既成のものであるという前提で物事を進めるには困難が伴う。」と指摘。訪日観光客数を増やすための具体案として、「関空のインバウンド客数の目標値を広域連合が設定し、その実現に向けて各自治体が特色を発揮して努力してはどうか」と述べた。

懇談終了後、佐藤会頭は、「初回にしては良かった。ただ議論が総論になりがちなので、観光という切り口で具体的な意見提起を行った。海外の観光客誘致には鳥取県のように自ら呼び込む努力が必要となる。また中小ベンチャー企業が医療機器分野に参入するには、試作品作りから市場での販売開始までには大変な労力とコスト、時間がかかる。(これを補完するために)自治体が資金を持ちより広域で支援できるファンドを組成することも一案だ。」と感想を述べた。

関西経済界と関西広域連合との意見交換会

佐藤会頭発言概要

□日 時:平成25年1月24日(木)12:15~14:10
□場 所:大阪国際会議場10階1001-1002会議室
□参加者:関西広域連合 井戸連合長他各委員
     関西経済界  森・関西経済連合会会長
            立石・京都商工会議所会頭
            大橋・神戸商工会議所会頭
            前田・堺商工会議所会頭
            大林・関西経済同友会代表幹事
            西村、小嶋、古川、倉持大阪商工会議所各副会頭
            ほか

□発言骨子:当日の会合での佐藤会頭の発言は以下の通り


○本日は初めて出させていただきましたが、広域連合が誕生する前、2007年でしたか、財界セミナーで分権改革の分科会があって、議長をした経験がありますから、地方分権の必要性とか、なぜ関西州ではないのか、いうことについては理解しているつもりです。その後関西広域連合が誕生し、一歩ずつ前進していることについてもよく存じており、皆様方のご努力に大変敬意を表する次第であります。

○その上で、申し上げたいと思います。本日は商工会議所という実務の世界に身をおいている立場から、具体的に、建設的な意見を申し上げます。オブラートに包んではおりますが、少し辛口の発言になるかもしれませんが、お赦しください。

○事例から入るのが説明しやすいので、広域計画の中から一つ取り出してみます。観光・文化であります。今年は「KANSAI国際観光YEAR2013」も実施される予定だと伺っております。観光のPRは各地ごとに行っていると思うのですが、それを関西全体で協力してやろうという、その企画、試みについては評価したいと思います。ただ、余程、心して掛からなければ、と感じております。

○昨年でしたか、本日ご出席の立石会頭、大橋会頭に加え、滋賀や和歌山、奈良などの会議所会頭の皆さんと中国(広州、香港、上海など)へ観光プロモーションに行ってまいりました。京都の立石会頭が音頭を取って、関西を売り込みに行った訳です。ところが、関西とは何処だ、京都、神戸、大阪なら知っているがと、地図で示してもよく分かってもらえないような状況でした。それに、各都市がそれぞれ一生懸命売り込んでいるが、どこも同じような内容で、一体何処に行けばいいんだ、ということになるわけです。

○今回も関西ブランドを世界に発信しようということでしょうが、その関西そのものが海外では認知されていないため、どうしても京都、神戸、大阪と、個別に見られてしまう。関西ブランドは既成のものであるという前提で物事を進めるには困難が伴うということを、先ず申し上げたいと思います。

○そこで、関西全体を食文化で括るのでしょうが、それは一つの工夫ではがありますが、まとめ上げるのは容易ではありません。水ひとつとっても、関東は硬水で関西は軟水。その違いから関西特有の出汁の食文化が誕生したのでしょうが、そんな繊細な分析をしたところで、受けるとは思えない。以上が経験から申し上げたいことです。

○では、どうすれば良いのか。ここは原点に戻って、もう一度広域連合の必要性について考えてみることが大切なような気がします。

○中央に任せるのではなく関西の特色を活かせるような地方分権の在り方を検討しようというのが連合の発足の意義でした。そこで申し上げたいのですが、中央は観光立国宣言をする中で、平成26年までに訪日観光客を1,800万人にする計画にあります。平成21年度が621万人ですから実に意欲的な目標値です。相当に努力しないと達成はできないでしょう。

○ここは国に任せてはおけない。文化財が豊富で歴史も古いのが関西、それに24時間離発着可能な関西国際空港がある。こういったことが関西の特色であり、これらを活かすのが地方分権だ、と発想を変えてみてはどうでしょうか。何を申したいのかというと、LCC、フェデックスで、いま活気ある関空のインバウンド客数の目標値を広域連合が設定し、その実現に向けて努力することです。具体的には、広域連合が関空からの入国、出国の旅行者数を設定し、各自治体が特色を発揮して効果に結びつけることです。

○平井知事のフットワークの良さにはいつも感心し、模範としているのですが、中国の富裕層(まだ一部ですが)が、日本海文化圏のツアーに新鮮さを見出し、鳥取へのツアーを楽しみにしております。昨日のNHKでも拝見したのですが、最近は韓国からのお客さまも大勢お迎えのようです。こうなると、鳥取を大々的に売り出して、鳥取から他府県へのツアーの流れを作るといった大胆な戦略も必要かもしれません。

○一例を申しました。観光以外でも、農商工連携、産学官連携、ビジネスマッチングなど具体的に現実的に進める材料は数々あります。これらを自治体から切り離して人も予算も付けて広域連合で行ってはどうかと考えます。自ずと国の出先機関の事務移管はついてくるのではないかと思います。

○とにかく、屋上屋を架す、とか、余計な経費が発生するとか、組織を作らなくて実施できる事務ばかり、とか言われないようにしなければならないと思います。大変失礼いたしました。

以 上

CIMG6800.JPG「関西広域連合との懇談で意見開陳でマイクを手にする佐藤会頭」