茂木経済産業大臣との懇談会
佐藤会頭発言概要
□日 時:平成25年1月23日(水)12:30~14:00
□場 所:リーガロイヤルホテル 2階 桐の間 (控:桂の間)
□参加者:経済産業省 大 臣 茂木 敏充氏
地域経済産業政策課長 岡田 江平氏
近畿経済産業局長 小林 利典氏
近畿経済産業局総務企画部長 中村 稔氏
□発言骨子:当日の会合での佐藤会頭の発言は以下の通り
○先週の日商との懇談に引き続き、発言の機会を頂戴しありがとうございます。成長重視を鮮明にした緊急経済対策が、いよいよ具体的に動き出したものと歓迎しております。また6月を目途に、本格的な成長戦略を策定されるとのことでありますが、ものづくりに必要な試作品製造や中小企業の海外展開などの支援など、緊急経済対策には「地域の特色を生かした活性化」が盛り込まれており、私どもの声を十分反映いただけるものと期待しております。
○関西は、ライフサイエンスなどで総合特区に指定されておりますが、大阪商工会議所では、特に医療機器分野の主要プレイヤーとして実績を重ねてまいりました。医療機器は多様な技術を必要とし、中小企業も参入可能な裾野の広いモノづくり産業であります。残念ながら、これまでのところ、わが国企業の優れた技術が十分生かされているとはいえず、この分野は医療機器の貿易収支が入超という形になってあらわれております。
○その主因は、新製品の承認審査が海外と比べ長い時間を要すること、もう一つは医療機器開発に関し、「アイデア」から「試作」、「治験」を経て「マーケットに出す」までを一貫して支援する仕組み、すなわちプラットフォームが十分整備されていないことであります。
○とりわけ、中小企業は持ち前の技術を生かし、「試作」まではできるのですが、それ以降の工程を独力で乗り越えることが難しいのが実情であります。そこで、大阪商工会議所では、米国ミネソタ州やシンガポールなど、海外の先進地域と連携し、また経済産業省のご支援を得ながらプラットフォーム構築を進め、中小企業をサポートしてまいりました。
○我々は、今後とも医療機器の開発支援に全力で取り組んでまいりますが、何が最も効果的かというと、国からのお墨付きを頂戴していることを内外に十分周知させること、これが推進する上で最も重要であります。
○どうか、茂木大臣はじめ経済産業省幹部の皆様には、医療機関や大学・研究所、モノづくり企業の集積が厚く、各種取り組みで先行している関西を医療機器開発拠点と明確に位置づけていただきますとともに、引き続き万全のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
○また、緊急経済対策の大きな柱として、経済産業省を中心に取り組まれる「企業の海外展開支援」が挙げられておりますが、我々も同様の問題意識を持っております。
○当地の中小企業にアンケートやヒアリングをしましたところ、これまで国際ビジネスに縁の薄かった企業においても、生き残りをかけ、海外での事業展開に動かざるを得ない状況にありますが、こうした中で重要となるのは、せっかく進出する限りは、その成功を応援するとともに、海外で得られた利益の国内還流を促し、そのお金を日本での次なる成長投資に充てるといった循環を生んでいくことであります。
○ただ、特に中小企業の場合、独力で海外ビジネスを行う体力やノウハウにまだまだ乏しいのが実情ですから、その支援策の一つとして、我々は「インキュベーション・ファクトリー」を提案しております。これは、ベトナムや中国に進出している中小メーカーとの意見交換の中で出されたアイデアで、具体的には、海外のレンタル工場をさらに小スペースに分割し、複数の中小企業の試行的な海外拠点とするものであります。あわせて、入居企業には、設立許可や労務、ロイヤリティなどでのサポートも必要と考えております。
○中小企業が、スタート時のコストやリスクを極力軽減しながら、海外に一歩踏み出す際のリアリティのある伴走支援と思いますので、こうした民間の動きに対しまして、是非、パイロットプロジェクトとして国の助成をお願い申し上げます。
○この機会に、今一点申し上げたいのは、中小企業の資金繰り支援策の拡充であります。金融庁はじめしっかりと対応するとの力強い発言は承知しておりますが、私どものアンケートによりますと、3月末で期限を迎える金融円滑化法について、中小企業会員の約2割が、「円滑化法を利用したことがあり、制度が終了すると資金繰りが心配」と懸念を表明するなど、年度末にかけて予断を許さない状況にございます。
○どうか政府には、借り手企業が倒産などの苦境に陥ることのないよう、政府系金融機関による融資拡充はもとより、企業再生支援機構、中小企業再生支援協議会などへの十分な予算確保など、激変緩和措置をお願い申し上げます。ありがとうございました。
以 上