佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

平成26年1月24日(金)  一般社団法人 近畿化学協会 平成26年新春セミナー

「魅力ある関西の文化戦略」

P1040836.JPG「香港貿易発展局のフォン副総裁(左)とMOUを締結」 先週私、香港に行ってまいりました。香港は人口710万人(大阪は880万)、面積は約1,100km²(大阪は1,899km²)と大阪よりも小さなところでありますが、海外からのインバウンドのお客さんが多く、年間4,800万人がお越しになられるとのこと、日本は昨年1,000万人を突破したと大喜びしているわけですが情けないですね。関空出発の折に誇らしげに1000万人突破と書かれてありました。まだまだ高い所を目指して努力しなければいけませんね。

香港を訪問した折には、魅力ある関西を訴え、今年度に60階のアベノハルカスが観光の目玉になると紹介し、ふと窓の外をみるとものすごく高いビルがあって、あれは何階建てですかとお聞きすると118階建のビルだとの返事があり、それ以降はもうハルカスを宣伝するのを止めました。

昨年、1000万人の海外観光客のうち大阪のインバウンドの割合は26%でした。つまり海外観光客のうち 260万人が大阪に来られたということですが、まだまだ少ないですね。香港では準政府機関である香港貿易発展局がけん引し香港の貿易やビジネスが繁栄しております。

4年前に香港貿易発展局を訪問してマーガレットフォン副総裁にお会いしたのですが、その後フォン副総裁は2回大阪に来られましたので、今回の訪問で訪問回数はお互いに2度ずつ対等ということになります。そこで今回の訪問の機会に香港貿易発展局と大阪商工会議所との間でMOU(覚書き)を締結して参りました。MOUといっても、これは曖昧で精神的な約束で、仲よく友好関係を結ぼうと言うものが普通なのですが、それでは駄目ですので、今回は速やかに実施計画を立てる検討会を設置すると言う一条項を入れました。今後、MICE、物産の輸出などで大阪と香港の相互の発展につながると思いますのでぜひご期待いただきたいと思います。

 その香港では、今、大変和食が人気であります。大阪でも有名店になること間違いのないと言えるほどの質の高い寿司屋にたまたま巡り合いました。ロンドンなどでも日本料理の店がありますが、大抵経営者は外国人で、日本人ではありません。ところが香港のこの店は本当の和食の寿司屋でありました。私も自称グルメで、食には大変関心があるのですが、そのお店では寿司飯は関西風ではありませんでした。これはきっと、東京や金沢の有名な日本人経営者が進出しているのだろうなとこう思ってお店で聞いてみますと、経営者は香港人の方で、寿司職人も日本人ではなかったのです。

 その香港人経営のお店で一番驚いたのが熱燗の出し方だったのです。本当にびっくりしました。大阪、京都の高級料亭や割烹に行っても絶対出てこないと思いますが、熱燗を頼んだところ、かっこいい桶が出てきまして、熱燗がつかったお湯の温度は40度ぐらいになっていて、しかも徳利の上に冷めないように布巾をかけている。これには感激しました。こういった細かい心配りは日本でも見たことがありません。こんなこだわりは一朝一夕にはできるものではありませんから、香港では長い時間かけて奥を極めているということでしょうか。香港は本家本元の日本を追い越していると感激して帰ってきたわけであります。