佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2012年(平成24年)10月31日(水) 関西・経営と心の会 講演

「大阪のまちづくりのあり方」

  万事創造の時代の今日、日本はどうでしょうか。先頃、IPS細胞を創り出した山中伸弥京大教授がノーベル賞に輝き、日本中が勇気付けられました。それまでなかったものを新しく創り出す、それが創造ですが、山中伸弥教授は創造力を発揮し、画期的な成果を上げた訳です。それで日本中が大喜びをいたしました。

  一方でまた、私は山中教授のノーベル賞受賞で、山中教授のような創造力が今の日本にはどのくらいあるのかと考えてみました。

  未だにデフレ、円高を克服できないでいる日本です。GDPは二十年前と変わらないどころか、むしろ下げています。世界的な競争の中で、産業界は新商品を産み出す力があるのだろうか。国レベルでは、尖閣問題など考えると、創造力を働かせた外交の力が本当に発揮されているのだろうか。そう考えると、甚だ疑問であります。

  全ての領域において、創造力を発揮して世界の中で伍していこうとする精神が著しく萎えている日本国としか思えないのであります。日に新たなり日に日に新たにして日に新たなり、の進取の精神が甚だ弱くなっている。もし渋沢栄一が存命であれば、平成維新の覚悟、と檄を飛ばすことでしょう。