Fujiya1935 藤原 哲也 氏
大阪において4代にわたり続く洋食店「ふじ家」の4代目。24歳で渡欧。スペインで、脳外科医のシェフがいるレストランで有名な「レスグアルド」において修行。帰国後に「FUJIYA1935」をオープン。ミシュランガイド2009で2つ星を獲得。
住所: 大阪市中央区鎗屋町2-4-14 | 休み:日・第一月 |
電話: 06-6941-2483 | HP:http://fujiya1935.com/ |
営業:11:30~13:00(L.O.) 18:00~21:00(L.O.) |
備考: |
大阪という地域性を表現する
現代における大阪の料理は和食に大きく影響されているように思います。日本料理の持つ季節感、旬の食材の中に見いだした魅力や味わいの発見というものを自分の中でどのように表現するか、またメッセージを料理にどう盛り込むか。こういったことが大阪らしさのヒントになっているように思います。 ただ単に美味しいというだけでなく、大阪という地域性やその背景、例えば大阪の地域地域の祭事などを、旬の食材を通じて表現する。大阪はそうしたことを昔からしてきたのですが、最近は薄れてきているような気がします。もう一度、こういう点を意識する必要があるように感じます。
料理人の発見した驚きをお客様と共有
これからは、料理を通じていかに感動を与え続けられることができるかが問われてくるように思います。そのためには新しいアイディア、固定概念にとらわれないあらゆるテクニックを駆使することも求められてくるでしょう。もちろん自然と皿数も多くなってくる。さまざまな料理とのコンビネーションの中で自ら発見した驚きの感動をお客様と共有する。そんな楽しみ方が求められてくると思うわけです。むろん、こうした演出には、決まった調理法、ソースなどではなく、変幻自在に変えていくことも重要だと思います。スペインの「エルブリ」の料理長が言う「料理とは発見である」というのはまさにそういうことではないでしょうか。
料理には過去の記憶を呼び覚ます力がある!
私はスペインで修行しましたが、現代スペイン料理の目指すところは、それぞれの地域の中で顧客が自身の記憶を揺さぶられるような料理を創ることにあるといえます。 料理は舌だけで味わうものはなく、脳や五感すべてで楽しむものではないでしょうか。人はかつて食べたもの、子供の時に体験した味わいといったものまで全て覚えているわけです。料理というものはそうしたものの記憶を今一度呼びさますことができる力を持っています。過去の味の記憶が、過去の出来事やあらゆるものを呼び起こす。そうした瞬間を感じていただく料理は、何も特定の料理に限定されたものである必要はなく、コースというトータルな味わいの中にあってもいいわけです。そのためにはコースのあり方にもストーリー性があってもいいのではないでしょうか。こういったことを念頭に置いて、これからも深化に努めていきたいと思っています。