2015年7月6日(月) 大阪大学豊中キャンパス
「ひらパーから関西を考える」
さてひらパーです。ひらパー単独でみれば赤字経営です。でも、旅客誘致施設としてみれば来園者の半数は電車でお越しになっています。遊園地を閉鎖すれば、電車の輸送人員が減少することになります。ひらパーに代わる旅客誘致施設を作らなければ撤退は意味がありません。
一方、菊人形の継続は困難になっていました。菊人形は、人形に菊衣装を着せる菊師と呼ばれる特殊技術者の高齢化が進んでいて、後継者も育っていませんでした。菊人形担い手の技術集団は愛知県知多半島の人々です。菊人形の菊も、茎の長い菊で栽培する農家が必要です。これに舞台背景の大道具や小道具、人形などそれぞれ専門家がいて全体が成り立っています。ストーリー性が生命ですから演出家も必要です。いわば、菊人形展は総合芸術と言って良いかと思いますが、それであるが故に、年年、開催の継続が難しくなってきておりました。
そこで、社長在任中に菊人形展は廃止を決めました。遊園地離れが起きているほか菊人形は人を引き付ける力を失っていましたから、決断は早いものでした。存続を求める声が上がりましたが、菊師の継承者が期待できない以上、存続は不可能であることを理解いただき、平成17年が最後の菊人形展となりました。皮肉にも、申しましたように最後の菊人形展を見る人で最盛期並みの入場者となりました。
現在、ストーリー性のある菊人形展は不可能ですが、数場面の菊人形なら可能です。菊師を育てながら、細々と菊人形の技術を継承いたしております。菊人形展の入場者数は現在200千人台を維持しています。
菊人形廃止後、ひらパーは100万人の入園者達成が目標となりました。多くの人に愛される遊園地目指して、地道な努力を続けています。昨年度、100万人を久し振りに回復しました。USJ人気が手伝って、そして他社が遊園地を廃止したこともあって、地道な努力が報われつつあります。投資に頼るハードより、ブラックマヨネーズ、岡田准一のキャラクターに依存するソフトパワーが頼りです。
ひらかたパークといえば秋の菊人形だったのですが、現在は春夏秋冬楽しめる遊園地になっております。入場者数は、菊人形展開催の時は秋が圧倒的に多かったのですが、現在は冬です。