「甘利経済再生担当大臣と日本商工会議所との懇談会」(平成27年4月16日)

 佐藤会頭は、4月16日に開催された日本商工会議所と甘利経済再生担当大臣との懇談会に出席し、 「中堅・中小企業対策」(科学技術・知財の活用等)について意見を開陳した。
 席上、佐藤会頭は、本会議所が取り組んでいる次世代医療システム産業化フォーラムでは21件が製品化にこぎつけたことを紹介。具体的な事例として、現在支援を行っている㈱樋原製作所(堺市)が東京大学医学部附属病院の本村昇講師と共同で開発した「内視鏡用垂直接戦方向持針器」のプロトタイプ版製品を持参して披露し、今後の実用に向けては更に1億円を超える資金援助が必要であり、こうしたモノづくり企業への支援のスキームを充実させて欲しいと訴えた。これに対して西村副大臣からは、地域活性化機構のファンドを活用してはどうかとの示唆もあり、今後早急に詰めていくことになった。このほか佐藤会頭からは「条件・期限付き承認制度」の適用拡大と特許庁の大阪拠点設置について要望を行い、甘利大臣からは、「条件・期限付き承認制度の特区での活用は澤先生からもお願いを受けており総合的に考えたい。」との回答がなされた。

「甘利経済再生担当大臣と日本商工会議所との懇談会」(平成27年4月16日)

概要

□日 時:2015年(平成27年)4月16日(木)7:30~9:00
□場 所:ザ・キャピトルホテル東急 1階「鳳凰(西)」
□出席者:内閣府 甘利大臣、西村副大臣、小泉大臣政務官、松山事務次官等 
       日本商工会議所 三村会頭、佐藤副会頭等 15人
□次 第:以下の通り
      (1)開  会              
      (2)三村日本商工会議所会頭挨拶
      (3)甘利経済再生担当大臣挨拶
      (4)出席者紹介
      (5)日本商工会議所側発言 「成長戦略に対する課題」について
      (6)内閣府側発言
      (7)自由懇談
      (8)閉  会

□佐藤会頭の発言概要は以下の通り。
 私からは、中堅・中小企業の成長産業への参入支援と再生医療等に認められた「条件・期限付き承認制度」の適用拡大と特許庁の大阪拠点設置について申し上げたい。

1 中堅・中小企業の成長産業への参入支援
 大阪商工会議所では、全国に先駆け、医療機器ならびに創薬分野における産学連携支援事業を実施している。

【次世代医療システム産業化フォーラム】
 次世代医療システム産業化フォーラムは、医療現場のニーズとモノづくり企業の技術をマッチングすることにより、新しい医療機器の開発を支援する取り組みである。現在、中堅・中小企業など187社、
79機関が参加。これまでに176件の共同開発案件、21件の事業化実績がある。本日、その一つをお借りしてきた。これは、内視鏡を使った手術の際に用いる医療器具で持針器(じしんき)というもの。現在、一般的に使われている持針器は垂直方向に運針することができないが、この持針器は垂直方向に運針が可能なため、体や手首をよじることなく、安定した姿勢で手術することができる。本件は堺の樋原製作所が東京大学と組んでプロトタイプ版を完成させたところだが、今後の製品実用化に向けては更に1億円を超える資金が必要であり、こうしたモノづくり企業への支援のスキームを充実させて欲しい。

【創薬シーズ・基盤技術アライアンスネットワーク(DSANJ)】
 創薬シーズ・基盤技術アライアンスネットワーク(DSANJ)は、毎年、全国の大学、研究機関の研究論文から約1000件の創薬シーズを収集し、専門家等の目利きを行った上で国内外の製薬企業70社とマッチングする事業。これまでに29件の共同研究契約が締結された。なお、本事業は医薬基盤研究所(現:医薬基盤・健康・栄養研究所)と協力し実施してきたが、今後は4月に発足したAMEDとも連携し、日本発の創薬に貢献してまいりたい。

2 「条件・期限付き承認制度」の適用拡大と特許庁の大阪拠点設置
 ライフサイエンス関連の大学や研究機関、企業などが集積している関西の強みを活かし、このような産学連携による事業を実施しているが、「承認までに長期間要すること」が事業化に向けた最大の壁だ。昨年11月に、医薬品医療機器法が施行され、再生医療等に関する製品については、国の承認を得るまでの時間が大幅に短縮できる「条件・期限付き承認制度」がスタートし、内外から大きな注目を集めている。ぜひ、関西圏の国家戦略特区内においては、この「条件・期限付き承認制度」を再生医療のみならず、医薬品、医療機器等にも拡大していただきたい。例えば先にご紹介した次世代医療システム産業化フォーラムでは、560件を超えるマッチング件数に対して、わずか176件の共同開発にとどまっており、製品化を実現できなかった案件のなかには特許や知財の壁に阻まれ埋もれているものも数多くあるのではないかと推測している。そこで大阪では、PMDAの西日本拠点に続き、この4月には、AMEDの創薬支援拠点が開設されたが、先月、特許庁の大阪拠点(「関西特許庁」)設置を要望させて頂いた。知財の支援拠点が加わることにより、大阪がライフサイエンス分野の研究開発、事業化推進における西日本のハブ拠点としての機能をさらに高めることができると期待している。大阪商工会議所では、こうした組織と連携し、関西圏の国家戦略特区が目指す「健康・医療分野における国際的イノベーション拠点の形成」に貢献していきたい。そのためにも、「条件・期限付き承認制度」の適用拡大と「特許庁の大阪拠点」設置に、ご理解とご支援をお願いしたい。

DSC_0027.JPG「懇談会で冒頭のあいさつを行う甘利f大臣」


DSC_0041.JPG「席上、意見開陳を行う佐藤会頭」


DSC_0044.JPG「持参した「内視鏡用垂直接戦方向持針器」のプロトタイプ版製品を紹介する佐藤会頭」


DSC_0045.JPG「日商側参加者(左側)も興味津々の様子で佐藤会頭の説明に聞き入った。」


DSC_0046.JPG「佐藤会頭のプレゼンに熱心に耳を傾ける甘利大臣や西村副大臣」