「財務省新旧事務次官と関西経済5団体との意見交換会」
佐藤会頭発言概要
□日 時:2013年7月16日(火) 14:15~15:15
□場 所:KKRホテルオーサカ3階「銀河西」
□意見交換会発言参加者・次第:以下の通り。(敬称略)
(財務省)
前財務事務次官 真砂 靖
財務事務次官 木下 康司
近畿財務局長 枝廣 直幹
近畿財務局総務部長 鞆田 周一
(関西経済5団体)
大阪商工会議所 会 頭(京阪電気鉄道最高顧問) 佐藤 茂雄
関西経済連合会 副会長(パナソニック代表取締役副会長) 松下 正幸
京都商工会議所 副会頭(西陣織工業組合理事長) 渡邉 隆夫
神戸商工会議所 副会頭(シスメックス代表取締役会長兼社長) 家次 恒
関西経済同友会 常任幹事(三井住友銀行取締役兼専務執行役員) 蔭山 秀一
□要望・懇談内容:佐藤会頭冒頭発言は以下の通り。なお当日の司会進行は灘本正博大阪商工会議所専務理事が行った。
○本日は、公務ご多忙の中、こうした懇談の機会を設けていただき感謝申し上げる。真砂前次官は、政権交代の激動の中、大型補正予算の編成や、それに続く「成長戦略」策定の主軸として大きな足跡を残された。この間、関西が力を入れて取り組んでいる医療機器などライフサイエンス分野の振興にもご理解・ご支援をいただいた。格別のご尽力に厚く御礼申し上げる。参議院議員選挙後は、いよいよ国運を賭けた「成長戦略」の具体化がスタートする。戦略を実際に動かしていくには、予算・税制に一つ一つ落とし込むことが不可欠。木下次官におかれては、アベノミクス全体を貫く、企業、とりわけ中小企業の競争力強化を重視する姿勢を堅持いただき、現実の政策に反映されるよう采配をお願いしたい。
○さて、当地の景気動向であるが、アベノミクス効果は絶大で、企業マインドも大幅に好転している。私どもが四半期毎に実施しているアンケート調査を見ても、6月時点の景況感は、5年半ぶりに中小企業を含めプラス転換となった。今後、さらに力強い景気拡大を実現するうえで、「成長戦略」の推進に大いに期待しているが、具体化にあたっての当面の焦点は税制だ。政府・与党では、税制改正の検討を例年より前倒しで進められる方針と仄聞しているが、アベノミクス成功に向け、国内投資促進に明確に照準を合わせた税制の構築を是非お願いしたい。 すなわち、ベースとして、法人実効税率の引き下げにより、アジア諸国との競争条件を揃え、そのうえで、大企業・中小企業含めた設備投資減税の拡充、研究開発を後押しする「パテントボックス税制(※)」の創設など、企業が国内での投資再開を確信できる税制を急ぎ整備してほしい。
○私どもが6月に実施したアンケートでも、回答企業の7割強、製造業に限ると約8割が「新規投資場所の選択に際し税負担を重視する」としている。他方、観光振興・消費喚起の観点から、訪日外国人旅行者に人気の高い、日本酒・食品・薬品・化粧品などを消費税の免税対象に追加してほしい。同時に、各免税店での手続きが煩雑であり、諸外国で一般的な出国時還付制度の導入をお願いしたい。
○今一点申し上げたいのは、消費税率アップに伴う景気へのダメージ緩和策である。特に中小企業では、消費税の転嫁を心配する声が相当強まっている。私どもの調査でも、税率が8%に引き上げられた際に「ほぼ全額転嫁できる」とする回答は4割強という状況。
消費税率アップの成否は転嫁が円滑になされるか否かによると存ずるので、政府を挙げた万全の対策をお願いする。また、複数税率については、事務負担の増大が必至であるほか、多くの中小企業が利用している簡易課税制度との両立が実質的に困難になるものと危惧している。さらに、インボイスを発行できない免税事業者が取引から排除される恐れもあり、導入については是非回避いただきたい。
○選挙後は「成長戦略・秋の陣」に向けた動きが本格化するものと存ずる。木下次官の率いられる財務省におかれては、企業の活力増進に向けた思い切った政策推進に、いよいよ本腰を入れていただくようご期待申し上げる。
以 上