佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2012年(平成24年)11月17日(土) 立命館大学経営学部50周年記念式典講演

「千客万来都市OSAKAプラン~経営から歴史を学ぶ」

  大阪には、自由で進取的な企業精神を持っている実業家はいるのでしょうか。

 私は会頭就任以降せっせと、大阪に本拠地を置く中小企業や商店街など100個所以上訪問視察しております。冒頭、大阪は元気だ、先人のDNAはしっかりと受け継がれている、ということを申し上げましたが、それは訪問視察でお会いした経営者の信条、経営理念や戦略についてお話いただき、確信を得たからであります。

 例えばメーカーだと、本業中心に経営を続けている一方で、本業で得た技術をどう製品開発に結びつけるか、社員と一体になって考えているところばかりであります。

 本日は、そのうちの2社ほどご紹介し、私の申し上げていることが嘘でないことを証明させていただきます。また、このような経営者が多い大阪ですから、千客万来都市の実現は可能である、と申し上げておきたいと思います。

CIMG5784.JPG「大阪の元気な企業 エンジニア株式会社」 先ず、エンジニア株式会社。高崎社長はネジザウルスという商品を開発し、現在ロングセラー商品に育っております。文部科学大臣から科学技術賞を受賞したほか、デザインも優れ、グッドデザイン賞の栄誉に輝いております。この11月20日にガイヤの夜明けでも紹介される予定であります。

 もう一社はコドモエナジー社です。岩本社長がルナウエアという畜光陶器を開発しました。有田焼とのコラボレーションで産まれ、ものづくり日本大賞で見事、総理大臣賞を受賞いたしました。停電時に光を発しますから、安全安心という時代の要請に応えた商品開発であります。近く福島県川内村に工場を建設しますが、雇用などで大震災の復興のお役に立ちたい、と岩本社長は語っております。




CIMG5780.JPG「大阪の元気な企業 コドモエナジー社」  大大阪の頃の名経営者の名言をご紹介しましたが、その名言と変わらぬ信条、心意気を持った経営者に出会うと、私自身、随分勇気づけられるのであります。そして大阪は、いや日本はまだ、大丈夫だと思うのであります。
 問題はこういった溌剌たる中小企業の将来の担い手、事業継承であります。業を起こせば当然、成長目指しての人材確保が必要です。

 昔も今も、日本の学生は安定志向過ぎないか。大企業ばかりに目が向いていないか。自由で進取的な企業精神を持った経営者の下に馳せ参じる本学経営学部の若者に期待して、京阪の創立者である渋沢栄一の「論語と算盤」の中から、期待の言葉をご紹介して終わります。但し、そのままだと長いので要約してお話します。大正維新の覚悟という章からの言葉です。