(株)神戸工業試験場は神戸大学と共同で、筋ジストロフィーの治療効果を判定する小児用筋力検出装置を開発した。筋ジストロフィーのうち、ディシェンヌ型は全身の筋肉が萎縮し筋力を失っていく進行性の疾患で、患者の多くは3〜7歳の小児期に発症する。筋ジストロフィーの治療効果の評価方法は、患者の握力を測定する方法があるが、従来は握力を測定するための筋力検出装置は成人用しか製造、販売されていなかった。そのため、小児患者が用いると微量で正確な筋力値が測定できず、治療効果の判定および対処療法の確定が困難であった。そこで、叶_戸工業試験場は神戸大学と共同で小児患者を対象とした筋力検出装置の開発を平成19年4月より開始。同社が得意とする精密加工技術と高度試験技術を生かした高精度の試作機を完成させた。本試作機は制御BOXによってユニット化され、ベットサイドで使用できるよう軽量かつコンパクトな点が特徴。すでに神戸大学医学部附属病院の入院患者や患者家族会で試用され、小児患者の治療効果を測定できることが実証された。筋ジストロフィーは根治療法がない難治性疾患である。本装置によって判定された治療効果を基に、患者に対する次の対処療法を確定でき、結果として疾患の進行を遅らせることに繋がるため、本装置の開発の社会的意義は極めて高い。
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