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■成果事例 2008年度
■成果事例 2007年度
■成果事例 2004年度
 

■成果事例 2008年度


テーマ 神経への電気刺激によるテーラーメード型心疾患治療システムの開発
企業・機関名

(株)フジキン、国立循環器病センター

開発内容 (株)フジキンは国立循環器病センターと共同で、患者毎に電気の強弱を自動調節しながら足などの神経を刺激することで心疾患を治療するシステムを開発した。心疾患は心拍数の過度な上昇によりさらに病状が悪化するが、この心拍数の増加は心臓の活動を調節する神経活動の異常とも関与している。東洋医学の鍼療法では、身体表面の近くにある神経を電気刺激すると、自律神経異常を改善できることが知られている。一方、国立循環器病センターでは、一般的な鍼療法のように術者の経験などに基づいて電気刺激を行うより、患者の個別の身体状態に応じて生体信号を見ながら電気刺激の強さを自動的に調節することで治療効果が上がることを確認した。そこで、心疾患治療のため、患者の心電図などをモニタリングしながら、患者毎に電気の強弱を自動調節して神経を刺激する機器の必要性を提案。心電図計等で測定した心拍数や心電図波形データをもとに患者の自律神経活動を推定する国立循環器病センター独自の処理手順にしたがって、リアルタイムで電流・周波数等の電気刺激の強弱を自動的に調節するシステムの試作機をフジキンが完成させた。患者に合わせた電気刺激により、心拍数の過度な上昇を効果的に抑えることができ、結果として心疾患の進行を遅らせることができる。
今後、まず試作機を用いて動物実験を実施。次いで臨床試験に適用可能な電気的安全基準に適したシステムを開発予定。



テーマ 心臓病患者の重症合併症リスクを低減するための人工心肺装置の血栓発生検知装置の開発
企業・機関名
山科精器(株)、国立循環器病センター
開発内容 山科精器(株)は国立循環器病センターと共同で、心臓および肺の働きを代行する人工心肺装置の異常を検知する装置を開発した。人工心肺装置を長期間使用すると、補助循環ポンプの部品の摩耗などにより軸受部に血栓が形成され、これが体内に流れ入ることで脳梗塞や心筋梗塞等の合併症を引き起こすことが問題視されている。従来、補助循環ポンプの交換判定は、臨床検査データや医療従事者の経験などを基に行われてきた。しかし、血栓の発生が発見できず人工心肺を装着した患者が重篤な状態に陥ることもあった。国立循環器病センターでは、これまでの臨床経験から、血栓の発生は補助循環ポンプの駆動音の変化を伴うことを確認していた。山科精器鰍ヘこれまでに機械加工における工具の劣化や破損を音で検知するシステムの開発経験があり、音のセンシングに関する高度な技術を有していた。この経験を生かし、補助循環ポンプのかすかな駆動音の変化を解析して異常を検知する装置の開発を開始。心臓病患者のベッドサイドへ容易に持ち運べるよう小型、軽量で、採取した音の変化を即時に把握できる試作機を完成させた。本装置の開発により人工心肺装置の血栓を早期に発見でき、心臓病患者の重症合併症のリスクが大幅に低減できる。現在、国立循環器病センターで試作機を用いた基礎実験によるデータの採取と性能評価を行っている。
今後、本試作器を用いた各種基礎実験による性能評価、臨床でのデータ採取と異常検知診断手法の開発を進め、事業化を目指す。



テーマ 筋ジストロフィーの治療効果を判定する軽量でコンパクトな小児用筋力検出装置の開発
企業・機関名
(株)神戸工業試験場、神戸大学
開発内容

(株)神戸工業試験場は神戸大学と共同で、筋ジストロフィーの治療効果を判定する小児用筋力検出装置を開発した。筋ジストロフィーのうち、ディシェンヌ型は全身の筋肉が萎縮し筋力を失っていく進行性の疾患で、患者の多くは3〜7歳の小児期に発症する。筋ジストロフィーの治療効果の評価方法は、患者の握力を測定する方法があるが、従来は握力を測定するための筋力検出装置は成人用しか製造、販売されていなかった。そのため、小児患者が用いると微量で正確な筋力値が測定できず、治療効果の判定および対処療法の確定が困難であった。そこで、叶_戸工業試験場は神戸大学と共同で小児患者を対象とした筋力検出装置の開発を平成19年4月より開始。同社が得意とする精密加工技術と高度試験技術を生かした高精度の試作機を完成させた。本試作機は制御BOXによってユニット化され、ベットサイドで使用できるよう軽量かつコンパクトな点が特徴。すでに神戸大学医学部附属病院の入院患者や患者家族会で試用され、小児患者の治療効果を測定できることが実証された。筋ジストロフィーは根治療法がない難治性疾患である。本装置によって判定された治療効果を基に、患者に対する次の対処療法を確定でき、結果として疾患の進行を遅らせることに繋がるため、本装置の開発の社会的意義は極めて高い。

医療安全クイズより 医療安全クイズより
<開発した小児用筋力検出装置>
今後、機能的な製品としての改良のうえ商品化する。これにより患者の適正な治療法のサポートができ、全国の患者のQOL(Quality of Life)の向上に貢献できる。



■成果事例(記者発表事例)  2007年1月23日 記者発表


テーマ 「eラーニングを利用した医療安全に関する教育支援システムの開発」―病院職員に対する より実効性の高い知識共有を目指して―
企業・機関名
大日本印刷(株)、大阪大学医学部附属病院
開発内容

大日本印刷(株)は大阪大学医学部附属病院と共同で、院内で利用可能なeラーニング・システムを構築し、教材コンテンツの開発を行った。医療安全の確保は、病院における喫緊の課題である。医療安全の強化・推進には、安全手順の遵守、個人の知識習得、スキルアップ等につながるような情報・教育支援が必要である。そこで、平成17年10月より、大学病院におけるeラーニングを利用した教育システムの運用手法や課題の検証を開始、大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部と共に実践的な医療安全に関する教材コンテンツの開発を行ってきた。同システムは平成18年12月より大阪大学医学部附属病院で運用を開始した。
医療安全クイズより
体験型学習「コミュニケーション−SBAR−」より

今後は、eラーニング用コンテンツの充実、eラーニングによる教育効果の評価、医療安全にとどまらず様々な職員研修を病院内で実施するための組織体制の構築やナレッジマネージャー(教育管理者)の育成に関する支援に加え、教材コンテンツの共有を目的とした事業化を大日本印刷グループの総合力と産学連携を軸に展開する予定である。



テーマ 「再生医療に用いるための培養液中の迅速な無菌検査装置の開発」―半日以内に無菌検査を完了する小型の自動装置―
企業・機関名
三洋電機株式会社、独立行政法人産業技術総合研究所
開発内容 体外で培養した細胞・組織を再生医療として治療に用いる場合、培養液中に雑菌等の混入が無いことを検査して保証する必要がある。従来の無菌検査では、細菌を増殖させる培地(細菌の成育に必要な栄養素の供給源)に検体を入れて細菌増殖の有無で判定している。しかし、十分な検出能力を得るためには数日〜十数日の細菌の増殖期間が必要であり、長期保存できない細胞・組織の場合は治療に用いる前に結果を得ることができない。同装置は、独自の細菌検出法を自動化することで、従来と同等の感度を保ちながら半日以内に迅速に結果を得ることを実現する。これまでに(独)産業技術総合研究所の助言を受けながら、試作機を作成して有効性を確認できた。将来的には、簡便な装置に仕上げて再生医療の普及に貢献していきたい。
今後の展開については、再生医療や細胞治療に関する規制の動向や関連機関の状況などについて、情報収集や市場調査を行って検討していきたい。



テーマ 「迅速かつ確実にガンを早期発見できる診断装置の開発」―複数箇所を微小に採取した細胞の遺伝子発現*をもとにガン診断を行なう新しい手法―
企業・機関名
株式会社トラスト、株式会社ニート、株式会社マルイ、大阪府立成人病センター、奈良先端科学技術大学院大学
開発内容 (株)トラストは(株)ニート、(株)マルイ、大阪府立成人病センター、奈良先端科学技術大学院大学と共同で、乳ガン・肺ガン・大腸ガンなどを迅速かつ確実に早期発見できる診断装置の開発を進めている。(株)ニート、(株)マルイはガンの疑いのある細胞の複数箇所を微小に採取できるレーザーカット装置の開発を行なう。複数箇所を微小に採取することで、細胞にガン細胞が含まれる場合も、ガン細胞と正常細胞を確実に分けて採取できる。この採取した細胞にガン細胞、ガンと関係があると推定される正常細胞が含まれているか否かの診断は、大阪府立成人病センターのガン細胞の検体に関する膨大なデーターベースと、同データベースの個々の遺伝子発現*を相関分析できる奈良先端科学技術大学院大学が開発中のソフトウェアを用いる。最終的には(株)トラストが15分以内にガン診断が出来る一貫装置を開発する。
遺伝子発現*遺伝子の持つ遺伝情報が具体的な形として、その人の体に現われること


■成果事例(記者発表事例)  2004年8月26日 記者発表

テーマ 「医療現場に設置可能なヒト細胞の全自動小型培養装置の開発」
企業・機関名
三洋電機(株)、三洋電機バイオメディカ(株)、澁谷工業(株)、(株)ニチリョー、(独)産業技術総合研究所
開発内容 装置のイメージ図再生医療の普及のためには、細胞・組織の培養に要する膨大なコストを削減する必要がある。本装置は従来の大型培養施設(100平方メートル以上)の持つ機能を中小病院にも設置可能な小型装置で実現することで大幅なコストダウンを実現する。現在基本プロトコルの検証中。将来的には、低コストで極めて安全性の高い細胞培養を可能とするこの装置がスタンダードとなると期待しており、世界展開を視野においている。
平成16年度地域新生コンソーシアム研究開発事業及び地域新規産業創造技術開発費補助事業採択。この採択を機に事業化を目指した研究開発を加速させる。



テーマ 「人工呼吸器などの警報アラームに連動したナースコール自動伝送システムの開発」
企業・機関名
日本テクノプラス(株)、りんくう総合医療センター
開発内容 日本テクノプラスは、りんくう総合医療センターと協力し、人工呼吸器や酸素系に異常があった場合、自動的にナースセンターへ警報を伝送するシステムを開発した。従来、自動でナースセンターに異常を知らせるには、メーカーによって様式が異なる人工呼吸器それぞれ専用の機器が必要で設備費も高かった。同システムは、既設のナースコールシステムを利用し、汎用性があり、安価な警報通知システムを実現した。通常、警報は、人工呼吸器等の電気信号を変換して伝送されるが、今回開発したシステムは、アラーム音やアラームランプ点滅だけでも、警報信号に変換することができ、旧式のものも含め、種々の型式の人工呼吸器等にも対応可能。今後、各病院の機器や、臨床技師の要望に応じて、それぞれにカスタマイズしたシステムを開発、提供していく。
汎用製品の開発とともに、医療現場ごとのニーズにあわせカスタマイズした製品の開発を進め、まずは次世代医療システム産業化フォーラムに参加の医療機関の紹介により、関西地域での販売ルートを開拓し、ある程度の実績が出た時点で代理店による全国展開を図る予定。



テーマ 「採血・注射練習用の人工腕の開発」
企業・機関名
株式会社マルイ、大阪大学医学部付属病院
開発内容 マルイは、大阪大学医学部付属病院と協力して、研修医や新人看護師が採血・注射の練習に使う人工腕を開発している。医療現場では、採血や注射に際に、誤って神経を刺したり、薬液を皮下に漏らすミスが問題となっており、十分な医療技術に関するトレーニングを可能とする教育ツールが必要とされている。マルイでは、人体に限りなく近いものにするため、腕に針を刺すときの抵抗や、血管の太さ・位置などを数値化した上で、実寸大の人工腕の開発を進めている。現在、大阪大学医学部付属病院のアドバイスをうけながら、注射の困難な老人、子供の腕を含め開発中。一次試作品については完成。手軽に使える軽量で安価なものを早期に製品化し、今後、全国の医療現場に提供していく。
平成16年度 中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち実用化研究開発事業採択。この採択を機に製品化のための原型となるプロトタイプの開発を本格化させる。

  

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2013.3.28更新

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