2014年9月4日(木) 国際観光文化フォーラムin京都
「USJが示すこと」
これまでみてきたUSJ、海遊館、2つの資産は何れもアイデアを振り絞り、手作りでその魅力を引き出してきました。観光はお仕着せでなく手作りで行うものだと考えます。
さて、日本には地域ごとに個性的な郷土文化があります。例えば和食というとすぐ京料理を想像しがちですが、各地に和食はあります。滋賀にも日本料理があります。奈良にもあります。和歌山も鳥取にも、福井にも日本料理があります。郷土には郷土で育まれてきた伝統的な料理が今も残っております。
これは節類・煮干の地域性についてまとめたものになります。例えば関西~九州にかけては煮干が多いが、福岡長崎ではあご節が使われるなど地域によって様々です。
このように煮干、アゴ、また昆布など、ご当地ならではのだし汁を大切にする料理がある以上は、日本には日本料理が多種多様ということになります。私たちはよく、近畿をまとめて、関西は歴史があり、名所旧跡が多い、とPRしますが、人類の長い歴史の中から生まれた料理にも注意を払い、各地の料理の繊細な味は、その土地その土地に根付いた独自の文化であるということに気付くべきです。国際観光都市である京都はそのことに気付いて、京料理をアピールしています。
旅の大きな楽しみのひとつは、個性豊かな旅先の料理であります。和歌山も滋賀も奈良も、また福井も、わがご当地料理が日本料理です、と自己主張して世界の国々を引きつけるようになれば、関西は今まで以上に輝きを増すことでしょう。「わが県に来ていただいたお客様を大阪や京都、そして関東にもご案内しましょう」。それくらいの誇りを持ってしても、おかしくない食文化が各地にあるのです。このように、小さな島国日本の狭い関西ですが、素材や素材を生かした料理が多種多様にあることを考えますと、実は関西は大変広いと言えるのではないでしょうか。ですから、和食と言えば京料理、などと決してひとまとめにして、捉えてしまってはいけない、そういうことであります。
最後に繰り返しになりますが、観光とは目新しいことばかりに挑戦するのではなく、すでにある資産を活かす事、その魅力・強みを再発見することが必要であります。基本は手作り、USJも海遊館も知恵を絞り手作りで、その成功につなげて参りました。観光の振興も、型通りのツアーに頼らず、手づくりで行うことが成功の秘訣ではないでしょうか。まとめてひとつ、十把一絡げではない観光を目指しましょう。それがおもてなしであり、少子高齢化・人口減少社会の日本の生きる道なのだと思います。