2014年(平成26年)7月14日(月) 平成26年度大阪大学先端教養科目「関西は今」での講演
「覚めよ、有為の青年よ」
「一身にして二生を経る」 福沢諭吉の『文明論の概略』という本に、「一身二生」という言葉があります。ひとつの身で二つの生涯を生きたということです。福沢諭吉は幕末から明治に活躍した人ですが、まさに幕末の混沌とした時代と明治新政府となってからの近代国家という2つの劇的な時代を生き抜きました。
私も高度成長の時代と昨今のデフレ経済の時代というまったく異なる2つの時代を生きてきました。まさに一身二生です。皆さんはまだ一身一生ですね。デフレの時代しか知りません。ただ、アベノミクスの効果でデフレから脱却しつつあります。また、先ほどお話したように、経済ではなく、文化をもって正解中の人々に日本の国のあり様を認めてもらう時代がやってきます。そういう変化が予測されるなかで、皆さんも一身一生で終わっては困ります。一身二生の覚悟でこの国を引っ張っていただきたいと思います。