佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2012年(平成24年)11月17日(土) 立命館大学経営学部50周年記念式典講演

「千客万来都市OSAKAプラン~経営から歴史を学ぶ」

 維新とは「日に新たなり。日に日に新たにして、また日に新たなり」ということだから、溌剌たる気力を発揮する時は自然に生まれた新気力が生まれてくるもので新鋭の活動が出来るものだ。大正維新というのはこれと同じ意味であるので、覚悟を決めて上も下も一致団結して行動したい。一般が保守退嬰の傾向にあるから、一層奮励努力をしなければならない。

 青年時代は血気盛んの頃だから、その血気に基づいて将来の幸福の素となることであれば、保守に流れ、因循に陥り易い老人をして危険を感じさせるくらいの活動をしてもらいたい。青年時代に正義の為失敗を恐れているようでは到底見込みがない。自分が正義だと信じる限りは飽くまで進取的に剛健なる行為を取って欲しいものだ。岩をも徹す鐵赤心を傾倒すれば、成らざる事なしという意気込みで進まなければならない。その志さえあれば、如何なる困難をも突破出来る。

 ご紹介したいことばかりですが、長いので、次を以って終わります。

 他日国家を双肩に担って立つ青年は、この際大いに覚悟をなして将来は日に月に激甚となる競走の世界に飛び込んで欲しい。今日の状態で経過すれば、国家の前途に対して大変憂うべき結果を生じるかもしれない、と考えて後悔するような馬鹿なことあいないように望んでいる。明治維新の頃の万事創造の時代とも言うべき不秩序を極めた時よりは今日は社会百般の秩序は整備し、学問も普及して事を為すにも便宜が多いのだから、周到な細心と大胆な行動をもって活力を発揮すれば大事業の経営は成功する。ただ、教育が普及し、秩序も整った時代だから普通より少し進歩し、僅かの優れた意気込みでは大勢を動かすことはできない。

 渋沢栄一は明治維新の頃を万事創造の時代、と述べております。

 では現在はどうか。国内においては政治が混迷し、経済も停滞してさながら漂流国家の様相を呈しております。一方で、ヨーロッパの危機があり、中国の台頭がありと世界は新しい秩序を作れておりません。私は、現在は極めて不秩序の状況にあり、明治維新の頃と同じだと思っております。

 即ち、現在は万事創造の時代であります。万事創造の時代。この言葉を心に刻んで、この言葉をキーワードにして千客万来都市OSAKAを実現させたいと考えております。

 大大阪は東洋のマンチェスターか東洋のベニスか、と呼ばれ、水の都でもありました。かつて、淀川の舟運で京都と大阪は結ばれておりましたが、何年か前に大阪方の船着場である八軒家浜が復活し、大川、堂島川などの舟運が活発となり、水都大阪が蘇っております。本日は東洋のマンチェスターの大阪復活に関連してお話ししましたが、いずれ、東洋のベニスの大阪についてご紹介できればと思います。

 ご静聴感謝申し上げます。

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