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(以下の記載は、平成10年度末現在の内容のため、現在では終了している事業があります)

戦後の大阪商工会議所(3)-5
昭和54年〜平成10年

Chapter:5 組織強化と会員サービス事業の拡充

 本会議所の活動の拠り所は、あらゆる業種・業態、大企業から中小企業にいたる幅広い層の会員企業である。本会議所では、より多くの企業に参加を促し組織強化をはかる一方で、会員企業のニーズに沿った事業展開に努めている。具体的には、すでに述べた、会員企業、なかでもその多数を占める中小企業の活力増進に向けた政策要望活動、ビジネス拡大のための仕組みづくり、活動の舞台である地域経済の浮揚、国際化の促進などに加えて、会員企業に対する直接的なサービス事業として、各種共済・保険事業や健康管理事業の実施、会員講演会の開催、経営・経済情報を満載した機関紙(誌)の刊行など多彩な取り組みを展開している。

■目次
  1. 会員増強運動の展開

  2. 各種サービスの提供

  3. 最新の経営・経済動向など情報の提供


1 - 会員増強運動の展開
 本会議所では、昭和60年度末に2万7351であった会員数を、61年度から3ヵ年で4万会員に増やす「会員増強運動」を展開した。そこで、佐治敬三・会頭を本部長とする組織強化推進本部、近藤駒太郎・副会頭を委員長とする組織強化委員会と会員増強実行委員会を設置し、役員・議員・支部長・事務局が一丸となって取り組んだ結果、平成元年4月には4万271会員となり、目標を達成した。この間、昭和63年には、増強運動の一層の盛り上げをはかるため「会員交流大会」を開催し、「1会員が1新会員の勧誘を」の呼びかけを行った。また、平成7年度には「新規5000会員加入」を掲げ、本会議所あげて増強運動を展開し、5766会員の新規加入を達成した。その後も、景気低迷が続く中で、4万会員を維持するため、事務局を中心に増強運動を続けている。

2 - 各種サービスの提供

●共済・保険事業


 会員企業向けの共済事業として、昭和49年に会員企業の事業主、役員、従業員を対象に死亡、障害入院保障を行う「生命共済制度」を、50年には従業員の退職金を計画的に積み立てる「特定退職金共済制度」を、60年には老後の所得保障を目的とした「個人年金共済制度」をスタートさせた。平成10年3月現在の加入者数は、それぞれ6万6575人、8万7845入、2万9121入となっている。7年からは割安な団体保険料で加入できる「がん保険制度」を開始した。頂年3月現在の加入者数は、1028人である。さらに、10年には病気やケガで就業できなくなったときに所得補償金を支払う「所得補償共済制度」を創設した。
 このほか、昭和53年に、取引先が倒産し、売掛金などが回収不能になった場合に、予め積み立てた掛け金総額の10倍の範囲内で、無担保・無保証・無利子で貸付が受けられる「中小企業倒産防止共済制度」の取扱いを始めた。中小企業の連鎖倒産防止を目的とするもので、発足以来の加入件数は7049件であり、倒産発生による貸付件数は5662件、貸付金額は464億2655万円である。また、小規模企業の事業主及び会社役員のための退職金制度である「小規模企業共済制度」の取扱いを49年からスタートしており、開始以来の加入累計は1万9310件に上っている。さらに、平成7年の製造物責任(PL)法の施行に対応して、同年から中小企業向けの「中小企業PL保険制度」と中堅・大企業向けの「全国商工会議所PL団体保険制度」を始めた。10年3月現在の本会議所の取扱い件数は2081件である。

●健康管理事業

 本会議所は、昭和48年以来会員企業の経営者や従業員およびその家族の健康管理に役立ててもらうため、医療専門機関と提携して様々な健康診断、検診メニユーを用意している。具体的には、一般健康診断、定期健康診断、循環器系成人病予防検査、成人病総合検診、大腸がん検診、ミニドック、人間ドック(2時間、短時間、半日)、脳ドック検診などであり、平成9年の場合、受診者数は一般健康診断が9322人、定期健康診断が3728人、ミニドックが2565人の順になっている。10年からは最新の検査機器を搭載した巡回検診車による胃部・胸部・消化器系健康診断を始めた。

●会員優待サービス

 本会議所では、会員企業の経営者や従業員、その家族を対象に、昭和61年から新幹線エコノミーきっぷの販売と全国12ヵ所の提携ホテルの優待利用券の発行サービスを始めている。利用者は9年度で、それぞれ8062人、1555人となっている。また、3年度からチェンバーズカード事業を実施。社用経費をカードで決裁することで会員企業の経理事務合理化に役立てるとともに、会員企業間の優待サービスなどを付加し、利便向上に努めている。

●諸施設の利用サ-ビス

 本会議所では、会員企業が行うセミナー、シンポジウム、各種会議などのために、海外6カ国語まで対応できる同時通訳装置を備えた720人収容の国際会議ホールから20人程度の会議室まで大小7つの会議室を会員料金で利用に供している。毎年1500〜1700件程度の利用がある。
 また、商工図書館では、経営活動に必要な産業経済関係の資料・文献など約25万件の蔵書を揃え、日経ニューステレコンなどのオンラインによる情報代行検索サービスも実施している。毎年2万人以上の来館閲覧者がある。さらに、昭和48年には伊勢志摩に賢島研修センターを開設した。会員企業の人材育成と福利厚生の場を提供するもので、100人収容の大研修室、48人収容の中研修室、15人収容の和室研修室、和室14、洋室8の宿泊室に加え、談話室、娯楽室、宴会室、テニスコートなどがある。平成10年4月には、オープン以来の利用者数が30万人を突破した。

3 - 最新の経営・経済動向など情報の提供

●機関紙(誌)の発行

 本会議所の事業活動をタイムリーに広報するとともに、会員企業に役立つ経営・地域情報を提供するため、昭和49年に「大商ニユース」を創刊した。当初はタブロイド判で月2回の発行であったが、51年にブランケット判に紙面を拡大し、51年には発行回数も月3回になり、現在に至っている。
 また、昭和25年から本会議所の調査や経営に役立つ読み物などを中心とした月刊誌「チェンバー」が発刊されてきたが、平成6年3月の468号をもって一旦休刊した。その後、7年7月に装いも新たに経営者や経営幹部を対象とする季刊のビジネス情報誌として復刊し、本号で14号を数えている。

●月例会員講演会の開催

 昭和43年以来、各界の著名人を講師に迎え、内外の政治・経済情勢や経営、文化など幅広いテーマで、月例会員講演会を実施している。毎回、400〜800人の会員が出席している。これまで、野村克也(野球評論家)、ドナルド・キーン(コロンビア大学教授)、竹中一雄(財国民経済研究協会理事長)、是川銀蔵、瀬島龍三(伊藤忠商事相談役)、団伊玖磨(作曲家)、今井通子(登山家)、藤本義一 (作家)、関本忠弘(日本電気会長)、磯村隆文(大阪市長)、明石康(前国連事務次長)ら(肩書は当時・敬称略)が講演した。
 また、会員相互の親睦をはかるため、63年から毎年100人を超える参加を得て、会員交流ゴルフ大会を開催している。

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2006.3.3更新
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