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<<IV.各国の投資環境


V.研究会メンバーの声

(1)魅力が溢れる中東欧諸国
神戸大学大学院経済学研究科 
教授 久保広正

(2)拡大EUビジネス研究会の意義
伊藤忠商事株式会社
関西業務室長 福田康司

(3)拡大EUビジネス研究会に参加して
江崎グリコ株式会社 
海外部 佐藤秀徳

(4)拡大EUビジネス研究会に参加して
グンゼ株式会社 経営戦略部 
グローバル担当マネージャー 岩崎一徳

(5)拡大EUビジネス研究会に参加して
鴻池運輸株式会社 海外管理部 
理事 鹿内竣一

(6)拡大EUビジネス研究会に参加して

国際協力銀行 大阪支店 
総務課長 木村丞一

7)欧州市場の魅力を高めるEU拡大
監査法人トーマツ 大阪事務所 国際部 シニアマネージャー 
公認会計士  杉本和也

(8)拡大EUビジネス研究会に関するコメント

松下電工株式会社 海外戦略企画室 
欧州・アメリカ市場企画担当  部長  吉住勇二

(9)拡大EUビジネス研究会に参加して
ラングポンプ株式会社
取締役社長 岩村宏史




魅力が溢れる中東欧諸国
神戸大学大学院経済学研究科
教授 久保広正

 本報告書を執筆するに当り様々なデータを収集したが、その際、次のような印象を受けた。まず第1点は中国に関するものである。勿論、本報告者は拡大EUを対象としており、中国とは直接関係がある訳ではない。それにもかかわらず、海外進出先として中国を考慮する企業が多い点には、改めて印象深いものがあった。ただ、同時に強く感じた点は、商品の調達先にしても、あるいは生産拠点にしても、余りにも1点に集中することによるリスクである。本原稿の執筆時点でも、ある商品の供給をもっぱら一地域に依存したことが、結果的にリスクを高めてしまった事例が報告されている。中国経済の発展可能性については様々な機会に報告されており、そのことは否定しえない。ただ、そのような中国にしても、投資先として問題がない訳ではない。法・制度の不安定性などである。一方、同じく経済発展を期待されている中東欧は、EU加盟を契機に、このような法・制度に係る問題は改善しつつあり、法の支配が一般的な経済圏になる可能性を秘めている。賃金こそ中国に対抗できないとしても、あるいは、経済成長率という側面では中国に見劣りがするとしても、リスク分散という観点から複数の海外拠点を設立するとすれば、この中東欧諸国は検討に十分値する地域であるといえるであろう。

 第2は、中東欧諸国の魅力そのものについてである。中東欧諸国にはエンジニアなど訓練が行き届き、かつ既EU諸国に比較すると安価な労働力が存在する点が魅力的であるといえよう。また、いずれの国も失業率が高いという環境の下、労使関係は比較的安定している点も重要である。さらに、EUの財政的支援もあって、インフラは急速に整備されつつあり、EU加盟によって、現EU諸国へのアクセスが改善されつつある。勿論、ようやく安定するようになったロシアへのアクセスへも同様である。内需の盛り上がり、生産拠点としての魅力など、投資対象地域として中東欧諸国は一段と優位性を持つようになっているといえるであろう。

 第3点は各国政府・企業の投資誘致政策である。本研究会と並行して、大阪商工会議所では「投資誘致セミナー」が何度か開催された。いずれの機会にも、在東京の各国大使館から商務官あるいは担当者が来阪され、熱心に自国の投資を呼びかけておられていたことが未だに印象に残っている。EUの競争政策と整合的でなければならないという限度の下ではあるが、各国とも工夫を凝らしながら投資を熱心に呼びかけているのである。

 問題は、この地域の投資環境が十分に日本で知られているとは言い難い点にある。この問題点を多少でも緩和し、大阪商工会議所の会員企業が中東欧を含め海外戦略を策定される際に本報告書が多少とも参考になれば、本研究会の目的の多くは達成されたといえるであろう。本報告書がそのようなものになったと念じつつ、本研究会に参加された各企業、さらには事務局を務められた大阪商工会議所国際部に改めて謝意を表したい。


拡大EUビジネス研究会の意義
伊藤忠商事株式会社
                               関西業務室長 福田康司

 昨年夏に大商国際部事務局から「拡大EUビジネス研究会」立上げの連絡をいただいた際、非常に新鮮で明るい気分になり、研究会のテーマや進め方はどうするのかとの思いを持ちつつ即座に参加させていただくことを決めました。と言うのも、拡大EU誕生まで1年をきり「大阪でも欧州市場に焦点を当てて実態・展望を調査・考察する時期に差し掛かっているのでは」との思いを募らせていたからですが、その背景としては以下2点があげられます。

  まず1点目は、最近大阪・関西では東アジアとりわけ中国に話題が集中し、中欧諸国を中心に新たに10カ国が参加して米国に匹敵する市場に拡大するEUへの関心が相対的に低すぎると感じていたことです。中東欧諸国の投資環境説明会が年1回程度開催されてはいましたが、各国のPR合戦という印象が否めず、日本企業特に中小企業の視点でのアプローチについて物足りなさがありました。また、大商が欧州をテーマに調査報告をまとめたのは1999年6月の「欧州調査団」に溯ります。

  2点目は、当社が1994年以来ハンガリー共和国の在大阪名誉総領事館を拝命し、私自身名誉総領事秘書として本国の投資貿易開発庁や駐日大使館の投資誘致活動のお手伝いをしていたことです。ハンガリーは親日的で、大使館に日本語が堪能なスタッフを多く擁することもあって日本企業の誘致に殊のほか熱心で、特にここ2〜3年はポーランドやチェコとの誘致競争が熾烈になっていることもあって個別企業へのアプローチも積極的に展開するようになってきました。ただ、大阪・関西ではハンガリーへの強い関心を引き起こすまでには至らず、特に中小企業のハンガリーへの関心の薄さが相対的な情報の不足に基因しているとの印象を受けました。

  私は、今回の研究会活動が「中小企業に役立つ情報の収集・取り纏め」を目的とすることを念頭に置いて参加しました(と言っても、出席率が低くあまりお役に立てなかったとの思いで一杯です)が、ラング社と光洋精工のご両社からケーススタディー形式で報告をしていただいたことが最大のポイントだったと考えています。具体的な事例が示されたからこそ、総論に終始することなく、現地への進出を検討されている中小企業に有益な情報をまとめることが出来たのではないかと思います。

  私自身1999年6月の「欧州調査団」に参加してユーロ導入直後の欧州を視察、ユーロがドルに対して弱含みで推移しているにも拘わらず関係各国の統一通貨の成功に向けた情熱と自信に強い感銘を受けたことが昨日のことのように思い出されます。その後のユーロや欧州市場の動向を考えますと、日本企業としてはグローバル経済下でのリスク分散の観点から米国・アジアへの過度の集中を抑えて欧州にも一定のエキスポージャーが必要だと痛感しています。そういう観点から、中小企業が今後欧州への取組・中東欧諸国への進出を検討される過程で本研究会の報告書を活用していただければと念願する次第です。

  研究会メンバーを統率いただき、また報告書取り纏めにお骨折りいただきました久保先生には深く敬意を表すると共に厚く御礼申し上げます。


拡大EUビジネス研究会に参加して
江崎グリコ株式会社
海外部 佐藤秀徳

 今回拡大EUビジネス研究会に参加できて大変刺激を受け、また勉強させて頂きました。現在多くの企業がアジア、特に中国に関心を向けている中、この研究会で、旧東欧を含む拡大EUは改めて将来に向けて有望な市場であることを再認識させられました。経済的な潜在性を秘めていること、特に経済圏における人口拡大は大きく、ますますEUという経済圏・政治圏の強大化をもたらすことは明らかです。ゆえに、弊社においても日本企業においても、ますます重要な商圏です。

 この中で、すでに旧東欧に進出を果たされていらっしゃる企業の方々のご苦労や体験談をお伺いする機会がありましたことに感謝致しておりますし、それぞれの事例は参考になります。
今回の研究会の主題は弊社がまだ本格的進出していない旧東欧であったため、また弊社の拠点のある西欧での主たる事業が合弁による為、守秘関係でほとんどお話することができず、大変恐縮致しております。

 ただ、西欧企業は既に何年も前からEUの拡大を念頭において拡大EU内でも多国籍化を進めており、旧東欧の有力企業の買収や拠点つくりを着々と果たしております。これらも念頭において計画を進めてゆくことが必要になるでしょう。ただ、食品企業にとって、社会的インフラ・立地条件・人口規模・賃金・所得・失業率などの進出のためのインフラ以外に、製品の利便性・“味”の嗜好性や食品規制などの要素は重要になります。無論、世界制覇を果たしているといえるMacやColaといった広く広まった食品もあることも事実です。しかし、各国にある食の文化は無視できるものではありません。現在西欧に拠点を持つ企業にとって、どんな影響が出てくるのか、今後の関心としてあります。特に、例えば現行の販売契約範囲が西欧だけに限られている場合、拡大した旧東欧市場への販売に制限が加わった場合に、EUの独禁法がどう適用されるのかにも関心があります。

 今後、拡大EUの研究はますます重要になってくると言えます。宗派は異なりますが、広義のキリスト教諸国であるという有利点がありますが、今後の政治的な統合の新しい事例を示すからです。アジアでもFTAはますます重要度を増し、経済的統合に向かう可能性が大きく、その意味でも拡大するEUは良い教科書となるでしょう。


拡大EUビジネス研究会に参加して
グンゼ株式会社 経営戦略部
グローバル担当マネージャー 岩崎一徳

 どちらかというと、馴染みの薄い中東欧諸国への投資環境がどういったものか、各国の歴史が物語っているように、各国固有の環境が明らかにされる当研究会は、企業の海外投資に資する面で、大いに参考になりました。

 2004年のEU加盟国(5カ国)さらに2007年のEU加盟予定国(2カ国)と今後の中東欧諸国の躍進は、欧州経済を結力によって、大きくプラス方向へ変貌させる可能性があると思います。そこには、労働力の流れが加速化し、法体系が整備され、さらにはEUの活力化等が望めることになるでしょう。しかしながら、一方で、各国固有の企業誘致に係るインセンティブの平準化又は廃止、税制の変革等によって、投資環境のスローダウンが懸念されることも考えられます。

 中東欧諸国への進出は、日本企業にとっては、投資意欲という面で、まだまだこれからの段階だと思いますが、このような当研究会等の地道な活動こそが、日本企業の投資意欲アップの礎となるものと考えます。また、各回毎にプレゼンされる企業の経験談は、事業運営のストーリーが、現実感に富み、より理解度を増すものであり、他では得られない機会でもありました。

 私も当研究会に参加させて頂き、これまで認識の薄かった中東欧情勢について、その将来性における奥深さというものを改めて知ることができました。最後に当会を運営された大阪商工会議所の皆さん、コーディネーターの久保先生、それに各メンバーの皆さんに感謝を申し上げます。


拡大EUビジネス研究会に参加して
鴻池運輸株式会社
海外管理部 理事 鹿内竣一

 私は1978年から1985年までの7年間、イタリアのミラノに勤務した経験があります。しかしその後は仕事の面でヨーロッパとは接点が無く欧州は遠い存在でしたが、今回の研究会に参加させていただき、改めてEUとその拡大の意義について考える事が出来ました。

 欧州はもともと異なる伝統、文化、歴史を持つ個性的な国々から成り立っておりますが、歴史的な変遷によりEUという巨大な経済単位になり、今年の5月には新たに10カ国が新規に加盟することにより、人口は450百万人、GDPは米国並の巨大マーケットが出現することになりました。
EU拡大のメリットとしては、ヒト、モノ、カネの自由化を通じ、マーケットの拡大による企業のビジネスと収益機会の増加、単一の貿易ルール、関税、行政手続き等による効率の向上、コストの削減が上げられます。また物流の面でもインフラの整備による輸送のスピードアップ、コストの軽減が考えられます。

 さらに将来的にはユーロ加盟国の増加につながり、一時的な通貨価値の下落が予想されるものの、長期的には国際通貨ユーロの地位を高めるという効果が考えられます。

 一方懸念材料としては、中東欧諸国が従来持っていた投資インセンティブの消滅、或いは平準化による進出企業の利益の減少、また各国の経済状況に拘わらず統一的な財政金融政策の採用により、経済格差の拡大が懸念されます。

 さらに東西の労働コストの違いから、西ヨーロッパから東ヨーロッパへの生産のシフトが進み、欧州の中で富の再分配が行われる可能性もあります。

 以上のような拡大EUにはPRO FACTORとCON FACTORがある分けですが、マーケットの拡大をにらみ、他国からの投資が今後更に増えて行くものと思われます。

 日本からのFDIの現状について昨年、国際協力銀行が製造業932社を対象に行ったアンケート調査によると、日本企業は海外での事業の拡大に引き続き意欲的であり、その進出先候補のトップはまず中国であり、タイ、米国、ベトナムがそれに続いています。中東欧諸国は13位にチェコが入り、19位にポーランドが顔を出す程度ですが、投資の対象国がほとんどアジア一辺倒という近年の傾向は、投資リスクの分散という観点から如何なものか思われます。

 投資対象のトップ候補である中国は、依然として、多くの課題、問題を抱えており、中長期的なリスク分散の観点から、もっと多くの投資が東欧諸国に向かってもいいのではないかと思います。今後中東欧諸国の投資誘致機関が日本の民間企業、金融機関、公的機関と関係を深め、さらに多くの情報を民間企業に提供し誘致を勧めていくことを期待するとともに、日本からの投資の増加により、さらに日本と欧州との絆が深まることを期待したいと思います。


拡大EUビジネス研究会に参加して
国際協力銀行 大阪支店
総務課長 木村丞一

 私は、2002年8月の第一回「中東欧ビジネスワークショップ」以降、2003年7月に拡大EUビジネス研究会が発足した後も引き続き同研究会に参加させて頂きました。

  私自身は、直前の部署で中東欧の地場銀行の審査業務に携わり、これらの銀行を活用して如何に現地日系企業のビジネス環境向上に貢献できるかという問題意識があったため、当研究会でメンバーの方々が交される議論については大変興味深く拝聴させていただくとともに、これまで自分が主な業務担当としてきたアジアでの日系企業の事業展開との差異について、認識を深めることができたと感じております。

  まず認識を新たにしたのは、中東欧地域における西欧先進国の存在感の高さであり、製品のマーケティングや物流戦略については、アジアの市場やアジアからの輸出を目指す場合とは全く異なった配慮が必要となってくるという点でした。既に西欧諸国に販売拠点や製造拠点を有している場合には、これらの拠点との連携が中東欧における事業の円滑な拡大にとって大変重要であることも、具体的なお話を伺って再認識することができました。

  他方、現地でのビジネス環境については、特に制度面のインフラに関しては、EU加盟の流れもあってアジア等の途上国に比べれば整備のスピードが随分速いと感じました。例えば、途上国ではなかなか実現が難しい金融スキームについても、中東欧であればリスクをコントロールできる可能性があり、現地でのニーズに対応できるような融資手法についてより具体的に検討をする必要があると感じています。

  今後とも当研究会で得られた成果を生かしていきたいと考えており、ご一緒させて頂いた研究会メンバーの方々とは、引き続き様々な面で情報交換をさせて頂ければ幸いです。


欧州市場の魅力を高めるEU拡大
監査法人トーマツ 大阪事務所
国際部 シニアマネージャー
公認会計士  杉本和也

 会計事務所の海外投資コンサルティング部門に勤務する私どもには、多くの海外進出案件が持ち込まれます。しかし、ここ数年の傾向としては、そうした投資案件はアジア、特に中国に集中しており、2004年5月に迫った欧州連合の拡大について、日系企業の関心はそれほど高くないように思えます。すでに新規欧州連合加盟国に進出している企業あるいは進出予定企業にとって、今回のEU拡大は、そこでの法務、税務や労務等に関する諸規制の緩和、取引手続の簡素化といった直接的なメリットをもたらすことになるでしょう。その一方、労務コストの上昇や投資優遇制度の縮小といったデメリットも予想されています。しかしながら、現地への進出状況にない企業にとって、EU拡大の影響はごく限られたものでしかありません。

 一地域への投資の集中は、その投資効率を高めるものの、一方で様々なリスク(カントリーリスク、為替リスク等)を高める結果となります。アジア偏重の事業展開による問題は、すでに様々な局面で現れています。世界レベルで活動を行う企業にとって、欧州地域は、アジア地域、北米地域とともに、決して無視をすることができない重要な地域です。さらに、この欧州地域の事業展開は、欧州市場のみならず、北はロシアから、南は中東、アフリカにおよぶ大きな地域での経済活動のコアとなりえるものです。

 国際化を進める日本企業にとって、東欧経済の今後の発展は当然に予想されることです。そして、現実に、EU加盟以前から低い労務費や拡大する市場に期待する企業は、ハンガリー、チェコ、ポーランドといった東欧諸国にすでに進出を行っています。欧州の事業活動の魅力を高めるEU拡大は、企業が生産や販売といった欧州の進出拠点を検討する際の、その選択肢の拡大と位置づけられるでしょう。今回の欧州連合加盟国の拡大が、新たな欧州進出計画、さらに世界的な事業戦略の検討のきっかけとなることを期待します。


拡大EUビジネス研究会に関するコメント
松下電工株式会社 海外戦略企画室
欧州・アメリカ市場企画担当
部長  吉住勇二

 幣社はドイツにおけるヨーロッパ松下電工を中心として現EU諸国へ主に制御機器を製造・輸入販売しております。1962年設立のリレー現地製販会社との関係が深く、その会社との協業により欧州の事業展開を進めております。従って、弊社の海外展開においてはもっとも現地化が進んでいる地域といえます。

 ベルリンの壁崩壊後、中東欧が脚光を浴びた一時期、チェコにドイツ本社製造部門を支援する組立工場を97年に設立し中東欧への足がかりを目指しましたがその後、欧州全域の経済低迷とも相俟って、足踏み状態が続いております。

 欧州景気の若干の回復の兆しが見え始めた今、我々にとって今回の研究会は市場を再度見直す意味では非常に参考になると喜んでおります。2月末には幣部から中東欧の開発を睨んだ事業企画要員も送り出します。現地化が進んでいる故に、日本ではわからない現地の事情も徐々に見えてくるものと期待もしております。

 研究会に参加させていただき、やはりチェコ、ハンガリーそしてポーランドが進出の基点となりうるとの思いの再確認をさせていただきました。弊社はリレーをメインとする制御機器の販売が主になりますので顧客はまさにグローバル製造メーカーの工場またはサブコンを含むEMSとなります。

 上記3カ国における大手日、欧、米の製造工場が先ず第一のターゲットとなりますので、そのような情報にも注目しております。先のことになりますがその延長にロシア、CIS諸国があるわけですが中東欧の延長線上にこれらの国々をとらまえての活動が実情にあっているのかどうかも興味のあるところです。

 EU参入となると陸地続きであるだけに様々な障壁がとれ、急速にインフラも整備されることも考えられます。そうなってきた時のロシアのポジショニングはどうなっていくのでしょうか?また、トルコのEU加盟にも期待がかかります。欧州、アジア・中近東との要であり、現状ドイツとの交易もかなりな量であるとの意見も聞いております。弊社は現在中近東より活動を行っていますが、欧州からの活動の優位性があるならば早い時期に検討していかなければなりません。
上記のような観点からこの拡大EUにどう対処していくかが弊社の課題であります。


拡大EUビジネス研究会に参加して
ラングポンプ株式会社
取締役社長 岩村宏史

 ハンガリー工場からの製品を国内市場や近隣諸国に対応している立場より、拡大EUビジネス研究会での情報交換を通じていろいろ参考にさせていただく事が多くありました。

 国内からは、東欧は遠い国のイメージがありますが、今年よりEUに加わり、EUの一員として責任を果たして行くための多くの努力がなされている事も事実です。

 ラング社の工場も生産性を向上することにより、賃金の上昇に対応すべく、同国の実情に応じたラング工場としてのトヨタ方式を採用して成果を上げています。

 3S,5Sはじめ全従業員よりの改善提案制度や工場行事は市民参加もあり、私がはじめて訪問した1988年頃に比べて明るい雰囲気が溢れています。


<<IV.各国の投資環境


2004.3.29更新

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