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韓国にみるIT普及のポイント


6 まとめ

以上のように、韓国でインターネットがこれほどまで普及した要因は、ゲームなどの娯楽であったと言っても過言ではない。しかし、普及理由が何であれ、広く普及した現在では、普及した インフラを使って、新しいサービスなどが盛んに行われている。韓国はサービスを運営しないと身につかない様々なノウハウを身につけている段階であり、これらは今後、国際的な競争力を持ったものにまで発展するかもしれない。このような韓国は、以下の点で日本にとって大変参考になると思われる。

6-1 ITインフラの整備

e-japan戦略を進めている日本にとって韓国は参考になる。経済危機やPC房の流行など想定外のことが普及要因になったが、韓国政府はそれらの要素をうまく利用し、普及の促進剤として後押しをした。普及にあったっては、とにかく使うこと、利用者を増やすことが重要な時期がある。この時期に普及を促進するものは何でも利用するという姿勢を韓国政府はとり、これが成功したといえる。

日本でもe-japan戦略を進めるにあたって同様の姿勢が必要であろう。目標に「少なくとも3000万世帯が高速インターネットアクセス網に、また1000万世帯が超高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境を整備する」とあるが、接続の可能性ではなく普及率を目標としても良いと思われる。

普及率が上がり新たなサービスが生まれさらに利用が高度になる、この好循環を作り出す必要がある。もちろん、個人情報漏洩、サイバー犯罪など負の面も韓国を参考にする必要があるだろう。

6-2 インターネット関連サービス

日本でインターネット関連サービスを行っている企業は、韓国に興味は持っているが実際に情報収集を行っているものは多くない。国民性やインフラ環境など日韓では相違点も多いが、学ぶ点も多い。

日本のインターネットを利用したサービス事業者からは、「ユーザがインターネットを使いこなしてないからこのサービスは普及しない」、「メールよりもFAXでの連絡が多く業務が全然効率化できない」などの不満を聞くが、韓国で同様のサービスが行われていないかを調べることで、本当に利用率の低さが事業の問題なのかのヒントが分かるだろう。また、もし韓国で同様のサービスが行われているのなら、成功している企業と失敗している企業を比較し、成功のポイントを調べれば、日本が韓国なみにインターネットを利用するようになった時に、競争優位性をもてるだろう。また、韓国で試験サービスを行うことも可能かもしれない。


参考文献

  • インターネット白書2002(発行 株式会社インプレス/監修 財団法人インターネット協会)
  • 2002韓国インターネット白書(韓国電算院/韓国情報通信部)
  • インターネット利用者数及び利用形態調査(韓国インターネット情報センター)
  • 「国民の政府」4年 情報通信分野政策成果(韓国情報通信部)
  • 韓国インターネットの技を盗め!(チョウ・チャンウン著 アスキー出版局)

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2003.4.1更新
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