(第109回経営・経済動向調査・付帯調査)
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調査結果内容
金融機関の貸し渋りについて | ||
取引している金融機関の平成11年7〜9月期の貸出姿勢が平成11年4〜6月期と比べて変わったかについて聞いたところ、全体の34.2%が「依然として厳しい」または「より厳しくなった」と答えた。貸し渋りが厳しいとするものは、前回の6月調査(36.9%)
よりも2.7 ポイント減り、昨年3月の調査開始以来、最低の数値となった。なお、貸出姿勢が「緩くなった」とするものは14.2%、「借入なし(自己資金のみ)」は48.8%となっている。」
「依然として厳しい」「より厳しくなった」と感じる金融機関は、「都市銀行(84.3%)」「地方銀行(28.1%)
」と、これまでの調査と同様、依然として取引企業の多い都市銀行の割合が高い。なお、「信用金庫」と指摘するものが徐々に増加している(3月調査5.2%→6月調査6.5%→今回調査7.9%)。
「借入金利が高くなった(45.5%) 」が一番多かったが、前回調査(55.1%) よりは9.6%ポイント減少した。2番目は「審査のために提出する資料が増え、審査期間が長くなった(38.8%)
」で前回の32.8% を6.0 ポイント上回った。続いて「追加担保の要請など担保条件が厳しくなった(37.1%)
」( 前回37.8%)という指摘が多い。 (4)貸し渋りへの対応 こうした借入困難に対して、どのように対処しているかについて聞いたところ、全体としては、「金融機関と交渉し解消(29.2%)
」が最も多い。特に大企業の非製造業(41.3%) で顕著である。交渉の事例としては、「会社の方針と今後の見通
しなどの計画書を提出し、納得してもらうまで説明した」というのが多かった。中小企業においては、特別
保証制度などでこれまで高い割合を占めていた「信用保証協会を利用」が製造業で24.4%
、非製造業22.9% となり、前回( 製造業で44.4% 、非製造業28.8%)と比べると製造業が大幅に減少した。今回、中小製造業で一番多かったのは「公的金融機関を利用」で31.7%
を占めた。 借入困難の影響としては、・「賃金・賞与の抑制(46.6%) 」・「販売管理費等の削減(42.1%) 」・「従業員の削減(25.8%) 」の順に多く、人件費を中心とした経費削減圧力が依然強い。また、「設備投資抑制(24.7%) 」を挙げる企業も多い。規模を問わず、同じ傾向であるが、中小製造業の「賃金・賞与の抑制( 製造業60.4%)」が目立つ。 (6)貸し渋りについての具体的事例、意見 貸し渋りについての具体的事例、意見としては、次のとおり。 |
事 例 | ||
「「累積損失のある関連会社に対しては、貸し出しレ−トの引き上げや親会社の保証の要求が強くなっている」(大企業・製造業) 「関連会社で資金繰りが厳しくなり親会社の保証が必要となるケ−スが増えてきた」(大企業・製造業) 「土地など抵当物件の評価減少のため、追加融資が打ち切られた」(中小企業・製造業) 「金利が高くなっただけで枠は削られていないので、それほど痛みは感じていない」(中小企業・製造業) 「都銀の一部に金利引き上げ要請がある」(大企業・非製造業) 「審査期間が長すぎ、イエス・ノ−をはっきりしないまま返済だけが先行し、資金繰りが圧迫されている」(大企業・非製造業) 「第1抵当権を保有しながらも自行の融資は一切せず、『抵当権を他行に譲渡するから、その銀行から借りてくれ』と勧める都銀がある」(中小企業・非製造業) 「担保価値が下がってきているので、取引銀行より抵当権順位の変更要請がある。行政として土地価格上昇のために土地税制の緩和などの対策を早急に実行すべきだ」(中小企 業・非製造業) 「借入するのが難しいので、手形取引や掛け売りをしない現金主義に切り換えた」(中小企業・製造業) 「返済財源の予定が立たなければ無理な借入はしないように心掛けている」(中小企業・ 非製造業) 「金融機関は、将来展望のある企業には現状が厳しくても円滑な融資をするのが本来の役割であるが、一部においてはその役割を放棄して いるように見受けられる」(大企業・非製造業) |
2003.4.1更新 |