中小企業の製品や機密情報が軍事転用されるリスクについて

グローバリゼーションや取引の多様化、技術人材の越境化等を背景に、中小企業の持つ高度な製品や機密技術関連情報の流出するリスクが増大しています。一見では軍事転用とは無関係に思われるものでも、気づかないままに軍事転用された場合、当企業は法令上罰せられ、企業の信頼が失墜する事例が報告されています。また、企業秘密とすべき技術情報が流出して競合他社に利用された場合、企業の競争力は毀損され、当該技術の開発に見合った収益を得る事が出来ない事態となります。

懸念用途

民生用途であっても、懸念用途に転用される可能性があります。(下記に例示)

技術・製品 民主用途 懸念用途
工作機械 自動車の製造や切削 ウラン濃縮用遠心分離機の製造
シアン化ナトリウム 金属めっき工程 化学兵器の原材料
ろ過器 海水の淡水化 細菌兵器製造のための細菌抽出
炭素繊維 航空機の構造材料 ミサイルの構造材料

違反事例

最近の主な違反事例を例示します。

違反内容 国名 罰則内容
赤外線カメラの無許可輸出 中国 罰金100万円、3ヶ月の輸出禁止
誘導炉の無許可輸出 イラン等 3ヶ月の全貨物・全地域輸出禁止
磁気測定装置の規制違反、マレーシア迂回 ミャンマー 懲役2年(社長)、罰金600万円、7ヶ月間の全貨物・全地域輸出禁止
パワーショベルの規制違反、中国迂回 北朝鮮 懲役1年6ヶ月(社長)、罰金120万円、1年1ヶ月間の全貨物・全地域輸出禁止