「家庭の価値規範と子の起業選択-台湾家計パネル調査に基づく分析結果から-」
東京経済大学 経営学部 准教授 土屋 隆一郎氏
(講演概要)
本講演は、台湾の家計追跡調査データを用いた、起業選択の要因に関する分析の結果を取り上げます。分析では、特に出身家庭の価値規範が起業選択に与える効果に注目します。その際、多種ある価値規範の中で、台湾の家族関係を規定する価値規範に焦点を当てます。本研究で用いる、台湾中央研究院が実施した家計追跡調査の個票の一部から構成されるデータには、調査回答者の出身家庭についての詳細な情報が含まれています。分析結果によれば、パートナーシップを重視する価値規範は、起業した者としなかった者の違いを説明する顕著な要因になっています。一方で、家の体面の維持を含む価値規範は、一部、起業率を低下させるという結果も見られましたが、この効果の有意性は、モデル選択に依存するものでした。