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事業計画(平成10年度)
基本的な考え方

わが国は今、厳しい試練に直面している。景気は後退色を強め、金融シス テムをはじめ既存のシステムも随所で破綻に瀕している。わが国が活力ある 21世紀を築くためには、景気を着実な回復軌道に乗せるとともに、行政、 経済、社会など様々な分野で構造改革を着実に進め、世界の流れに沿った新 たな発展への枠組みを構築しなければならない。各企業も、進んで新分野へ の進出や新製品・新技術の開発に取り組むなど、今こそ一層の企業家精神を 発揮し、経済社会の活性化を先導していく必要がある。
 大阪、関西においても、グローバル化、規制緩和などこれからの時代潮流 の中で、新たなビジネスチャンスに挑戦する企業の輩出をはかるとともに、 内外企業による関西への積極的な投資活動を促し、地域経済の持続的発展へ の基盤を強化しなければならない。同時に、関西国際空港の第二期事業の推 進や大阪国際会議場の建設をはじめ、国際的なイベントやコンベンションの 開催、さらには都市型観光や文化の振興を進めるなど、人・物・情報が頻繁 に行き交う「交流の舞台づくり」に努めることが肝要である。
 本会議所は本年、創立120周年を迎える。これまで本会議所は、民間の 企業家精神の発揮を主眼に、時代の流れに即応した諸活動を展開し、大阪経 済の発展をリードしてきた。こうした歩みを振り返りつつ、本会議所は、2 1世紀を見据え、中期的にベンチャービジネスの育成をはじめ、中小企業の 情報化、技術力向上、国際化、環境問題などへの対応支援、まちづくりへの 積極的参画、観光・文化の振興、国際ビジネス交流の促進などを重点事業と して実践的な取り組みを強め、大阪の都市格の向上をはかっていく。

重点事業

I.大阪商工会議所創立120周年事業の実施

創立120周年を迎えるのを機に、会員大会を開催し、さらなる企業家精 神の発揮を呼びかけるとともに、永年会員企業の表彰、21世紀への決意を 新たにする大商宣言の採択、大商事業への積極的な参加の呼びかけなどを行 う。あわせて、本会議所の歩みと活動状況を冊子にとりまとめて、会員企業 に配付する。また、大阪が育んできた企業家精神の伝承と高揚を目的に「大 商企業家ミュージアム(仮称)」の開設に取り組む。

II.経済運営ならびに各種改革の推進に向けた政策提言・要望活動

景気の早期回復を促進するため、企業活力が十分発揮できる環境づ くりに向けた実効ある経済対策と中小企業対策の機動的な実施を求めるとと もに、グローバルスタンダードと整合性のとれた金融システム、税制、規制 緩和などの実現を促す。さらに、地方分権のあり方や広域連携のすすめ方に ついても検討する。

III.都市格向上に向けた事業の展開

(企業活力の発揮)
 新規企業やベンチャービジネスの育成・支援の一環として、従来の「アジ ア太平洋ベンチャー」を拡大した「グローバル・ベンチャー・フォーラム」 をG8各国の協力も得て開催するほか、「ベンチャービジネス支援センタ ー」や「新規開業支援サービスセンター」の一層の周知と利用促進に努める。 また、企業の新分野進出に資するために昨年設置した「非公開企業のM&A 市場」の利用を西日本の主要会議所にも呼びかけるほか、新たなビジネスチ ャンスを探る「福祉産業フォーラム・大阪99」を開く。
 企業の環境問題への取り組みを支援するため、省エネルギーやISO 14000の認証取得を促すセミナーやコンサルティングを行うとともに、米国 のエコビジネスや環境に優しい街づくりを学ぶ「環境サマースクール」を実 施する。さらに、廃棄物のリサイクルシステムや新エネルギー普及促進策に ついても検討する。
 また、産官学の技術交流を促す「カレッジフェア」の実施や中小企業向け 「技術支援プログラム」の周知、さらには若者にものづくりの楽しさを体験 してもらう「ロボリンピア」を開催するなど、製造業の活性化に資する。
 一方、大規模小売店舗法が廃止され、商業集積間の競争が見込まれる中で、 かねてより進めている天神橋筋商店街と九条地域商店街を対象とした商店街 モデル事業の具体化に取り組むほか、広く都心商業のこれからのあり方の検 討や物流の効率化の促進などに努める。また、「アジア・ファッション・フ ォーラム」を開くほか、「大阪コレクション」、「トータルファッションフ ェア」の開催を支援し、ファッション情報の発信に努める。さらに、大商V ANの利用対象業種の拡大と利用普及、インターネット活用事業の拡大、中 小企業のマルチメディア利用を促進し、クリエーターの活動を支援する「バ ーチャル・インキュベータ」事業の実施などにより、中小企業の情報化を促 す。
 さらに、求人・求職活動の円滑化に向けて、「大商就職フェア」や「人材 情報交流会」を開くほか、「人材情報交流プラザ」で常時就職情報を提供す る。また、人材育成の一助として、技能検定試験や各種セミナー、研修を実 施する。
 厳しい環境下にある小規模企業の経営安定を支援するため、小企業等経営 改善資金融資(マルケイ融資)の推薦など経営改善普及事業の推進に努める とともに、「いきいきおおさか・中小企業フェスタ98」を開催し、ビジネ スチャンスの拡大に資する。 (地域魅力の向上)
 大阪を舞台とした人・物・情報の交流拡大を目指して、その基幹施設であ る関西国際空港の第二期事業の着実な推進に努めるとともに、大阪国際会議 場の建設・運営に引き続き協力する。
 また、今後世界的に大きな伸びが予想される観光の振興に資するため、産 業観光の推進、街歩きツアー・コースの設定、大阪のPRグリーティングカ ードの作成などに努める。同時に、京都、神戸商工会議所などとともに広域 観光の振興方策と共同事業の実施を検討する。さらに、ダイナミック・アジ アの中で「環瀬戸内圏観光・地場産業見本市」を開催するなど国内各地との 連携強化に取り組む。
 人類最大の祭典であるオリンピックと世界の政治リーダーが一堂に会する 主要国首脳会議(サミット)は、ともに大阪をはじめとする関西を世界に本 格的にデビューさせる大きなステップとなるものであり、行政、経済界など が一丸となって誘致活動を強力に展開する。また、(財)大阪コンベンショ ン・ビューローとも連携しながら新たな国際会議やイベントなどの誘致に努 める。
 さらに、地域魅力向上の一助として、扇町公園への大規模植樹(大阪の森 づくり)をはじめ、交通 混雑緩和キャンペーン運動の展開、自主的な街づく り組織である「アメニティ・ソサエティ」の新規設立の促進、「エコ・シテ ィ」への取り組み方策の検討などを行う。このほか、若手演奏家による「チ ェンバー・コンサート」の開催、企業が保有するホール等諸施設の文化事業 面での活用支援などに努める。 (世界各地との連携強化)
 国際的なビジネス交流の場である「世界ビジネス・コンベンション(G− BOC98)」を引き続き開催する。今回は、国際商談会に加えて、「国際 投資交流プラザ」「対日投資促進セミナー」「国際M&Aセミナー」などを 行い、大阪、関西を含めた各国の投資環境などを紹介し、投資交流の活発化 に努める。また、「関西/北西イングランド・ビジネスフォーラム」を大阪 で開催する一方、「関西/西部カナダ・ビジネスフォーラム」をカナダ・マ ニトバ州ウィニペグで、さらに大阪市とメルボルン市との姉妹都市提携20 周年を記念して、メルボルン市にてビジネスラウンドテーブルを開き、ビジ ネス交流の拡大を促す。このほか、インド、中国、中南米、ロシア極東地域 などに経済使節団・調査団を派遣し、経済交流の促進と最新情報の収集に努 める。
 他方、アジアにおける経済交流を強化するため、アジア商工会議所連合会 (CACCI)などが主催するアジア中小企業見本市「ダイナミック・アジ ア」の開催に協力するほか、経済界のトップによる「ダイナミック・アジア リーダーズセミナー」を開く。引き続き、APEC会議への民間の意向反映 に努める。
 また、外国企業の大阪・関西への進出を促すため、欧州主要都市へ投資交 流ミッションを派遣するとともに、「大商ビジネス・アンバサダー」による プロモーション活動の展開、「大商ビジネス・インフォメーション・センタ ー(O−BIC)」における外国ビジネスマンへの情報提供や支援サービス の実施などに努める。
 このほか、関西と各国との橋渡し役が期待される留学生や研修生を対象に、 留学生への里親の紹介、留学生と企業の交流サロン、研修生の受入れなどの 支援事業を行う。

II.経済運営ならびに各種改革の推進に向けた政策提言・要望活動

 上記事業に加えて、会員企業相互の交流を促す一環として、新たに「新規 加入会員の集い」を行う。また、会員企業の福利厚生の充実に資するため、 所得補償共済制度をスタートさせ、既存の生命共済、特定退職金共済、個人 年金共済、中小企業倒産防止共済などともに加入の促進をはかるほか、中小 企業PL保険やがん保険事業、定期健康診断や人間ドックなどの健康関連サ ービス事業、旅行関連サービス事業、賢島研修センターなどの一層の利用を 呼びかける。
 また、会員企業への情報提供機能を充実するため、機関紙「大商ニュー ス」や季刊「チェンバー」の紙面 づくりに一層工夫を凝らすとともに、大商 ホームページを利用した情報サービスの提供に本格的に着手する。さらに、 商取引の活発化の一助とするため「99大阪商工名鑑」を発刊する。

事業項目

I.大阪商工会議所創立120周年事業の実施

・会員大会の開催
・創立100周年以後の20年間の歩み編纂
・大阪商工会議所企業家ミュージアム(仮称)の開設

II.経済運営ならびに各種改革の推進に向けた政策提言・要望活動

・景気対策など経済運営に関する調査・要望
・中小企業対策に関する研究・要望
・行財政・税制・金融・経済構造などの諸改革、規制緩和、地方分権の推進などに 関する研究・要望

III.都市格向上に向けた事業の展開


.企業活力の発揮

1)新企業・新産業の創出

1新規企業・ベンチャービジネスの育成・支援
・グローバル・ベンチャー・フォーラム(GVF)98の開催
・グローバル・ベンチャー・フォーラム98プレイベントの開催
・ベンチャービジネス支援センターの運営
・新規開業支援サービスセンター(NESSC)の運営

2新分野進出の支援
・非公開企業のM&A市場の運営
・福祉産業フォーラム・大阪99の開催
・シルバービジネス振興策の検討

2)環境問題への対応
・企業の環境問題への取り組み支援
・廃棄物リサイクルシステムの研究
・環境サマースクールの実施

3)製造業の活性化
・カレッジフェア(産学官技術交流フェア)の開催
・ロボリンピアの開催
・中小企業むけ「技術支援プログラム」の実施
・ものづくりに携わる人材の育成策の研究

4)流通業の活性化と情報化の促進
1都心商業活性化
・都心商業活性化方策の検討
・商店街振興モデル事業の計画の具体化
・物流効率化の促進

2デザイン・ファッションの振興
・アジア・ファッション・フォーラムの開催
・大阪コレクション、トータルファッションフェアの開催支援

3情報化の促進
・大商VAN事業の拡充
・インターネット活用事業の拡大
・「バーチャル・インキュベータ」事業の実施

5)人材の確保・育成
・大商就職フェアの開催
・人材情報交流会の開催
・人材情報交流プラザの運営
・外国人技能者活用についての検討
・各種技能検定試験の実施
・経営戦略セミナー、経営実務セミナーの実施
・階層別研修の実施
・オーダーメイド研修の実施
・情報化セミナーの実施、海外リスク・マネジメントセミナーの実施
・異業種経営者交流プラザ・後継者練成塾の開催
・優良商工従業員表彰事業の実施

6)小規模企業の振興
1経営改善普及事業の推進
・経営相談・経営改善講習会の充実
・小企業等経営改善資金融資(マルケイ融資)の推薦
・中小企業倒産防止相談の実施

2支部活動の効率化と地域振興
・中小企業振興月間事業の実施
・いきいきおおさか・中小企業フェスタ98の開催
・地域振興支援事業の実施
・地域活性化イベントの充実
・地域振興セミナーの実施
・支部海外研修事業の実施
・中小商業活性化事業の実施

2.地域魅力の向上

1)観光の振興
・産業観光の推進
・街歩きツアー・コースの設定
・大阪PR用グリーティングカードの送付キャンペーン
・三都夏祭りキャンペーンの実施と広域観光事業の検討

2)国際イベント・コンベンションの誘致
・2008年オリンピックの大阪招致推進
・2000年サミットの誘致
・国際会議の誘致についての調査研究

3)交流拡大のための環境づくり
・関西国際空港2期事業ならびに全体構想の推進
・大阪国際会議場の建設・運営支援
・環瀬戸内圏プロモーション事業の推進
・京阪神3商工会議所懇談会の開催
・国内各地との交流懇談会の開催

4)大阪のイメージアップと景観の向上
・「大阪の森づくり」の推進
・都市型コミュニティ活動の推進
・大阪の交通混雑緩和の推進
・大阪ファッション・ストリート・フェスタの実施
・大都市・大阪のリノベーションに関する調査研究
・"エコ・シティ大阪”アクションプログラムの作成

5)企業文化の振興
・チェンバーコンサートの開催
・企業が保有する文化関連施設の活用支援

3.世界各地との連携強化

1)国際ビジネス交流の拡大
1ビジネス交流の拡大
・世界ビジネス・コンベンション(G−BOC98)の開催
・貿易関係証明など各種証明の発給

2外国企業等の関西進出の促進と海外プロモーションの展開
・欧州投資交流ミッションの派遣
・大商ビジネス・アンバサダーによるプロモーション活動
・大商ビジネス・インフォメーション・センター(O−BIC)の運営
・在日外国経済団体との交流強化
・英文情報誌「オオサカ・ビジネス」の発行
・関西対日投資促進協議会(仮称)への協力

3国際理解の促進
・大阪インターナショナル・フォーラムの開催
・在関西総領事、通商代表との懇談会の開催
・外国商工会議所などとの懇談会、投資セミナーなどの開催

2)CACCI・APEC地域との連携強化
・CACCI事業の推進
(アジア中小企業見本市「ダイナミック・アジア」の開催支援)
・ダイナミック・アジアリーダーズセミナーの開催
・APEC会議への民間の意向反映

3)各国・地域との交流促進
・第3回関西/西部カナダ・ビジネスフォーラムの開催
・第2回関西/北西イングランド・ビジネスフォーラムの開催
・政府派遣インド経済使節団の派遣
・豪州経済使節団の派遣(ビジネス・ラウンド・テーブルの開催)
・中南米経済使節団の派遣
・ロシア極東地域経済調査団の派遣
・第2次中国内陸部調査団の派遣

4)外国人留学生・研修生の支援、交流促進
・留学生と企業の交流サロン
・留学生里親制度の実施
・外国人研修生の受入れ・支援事業の実施


IV.会員サービス事業の拡充


1)会員交流の促進
・新規加入会員の集いの開催
・月例会員講演会の開催
・会員ゴルフ大会の開催

2)会員サービスの充実
1各種共済制度の実施
・所得補償共済制度の創設
・共済制度の普及
・中小企業PL保険、がん保険事業の普及

2健康関連・旅行関連サービス事業の充実

3チェンバーズカード事業の実施

3)「99大阪商工名鑑」の発行

4)商工図書館の運営充実

5)賢島研修センターの運営と利用促進

6)大商ホームページの活用


V.広報活動

・新聞「大商ニュース」(旬刊)の発行
・会員向け情報誌「チェンバー」(季刊)の発行

VI.会員増強運動の実施


・会員増強月間の設定

〔参 考〕 本会議所が事務局をあずかる団体

近畿商工会議所連合会
大阪府商工会議所連合会
近畿商工会議所婦人会連合会
大阪褒綬会

世界ビジネス・コンベンション開催協議会
グローバル・ベンチャー・フォーラム開催協議会
関西日加協会
貿易振興推進大阪協議会
関西国際経済交流推進会議
大阪対外ビジネス・プロモーション協議会

ロボリンピア開催協議会

大阪経済調査会
大阪経済振興連絡協議会
環瀬戸内圏交流推進会議

日本ボランタリー・チェーン協会大阪ブロック会

大阪販売士協会
大阪商工会議所経営改善協会
大阪簿記会計学協会

専門図書館関西地区協議会
全国地域VAN事業者協議会


2003.4.1更新
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