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大商ニュース(抜粋)   2024/7/25号


医療健康分野のイノベーション推進を
京阪神3商が要望建議

 大阪、京都、神戸の3つの商工会議所は11日、「京阪神三商工会議所ライフサイエンス振興懇談会(三商懇)」を神戸市で開き、大商から相良暁副会頭が参加した。これは、三会議所のライフサイエンス担当副会頭が参加し、政策要望を審議するとともに、産業振興に関する意見交換などを通じて、関西が強みを有するライフサイエンス産業の活性化を目指すもので、今回で13回目。19日には首相はじめ関係省庁などに対して、全26項目からなる要望を建議した。
 懇談会では、「2024年度関西圏におけるライフサイエンス産業振興にかかる要望」について審議した。昨今の物価上昇や危機対応ニーズの高まり、ポスト万博の検討、生成AIをはじめとするテクノロジーの社会実装の進展などの経済社会環境の変化を踏まえ、①イノベーションの促進②レジリエンスの強化③ポスト万博を見据えた産業基盤の強化――の3本柱、全26項目の要望を審議し、承認した。
 新たに、医療・健康データの流通に向けて、データフォーマットの変換にAIを使うことや、ヘルスケアスタートアップ支援のために一定の活動量を持つ専門人材に対して「1% for Ventures」の認証を与えることのほか、医療関連物資の自給率目標の設定、インフレーションを前提とした保険収載価格の全面的な上方改定、ポスト万博に向けては、データドネーションの制度構築や、新興国で起こる医療分野のリープフロッグに日本企業が参画する際の支援など15項目を盛り込んだ。
 意見交換では、ライフサイエンス産業の振興に向けて、ディープテックスタートアップのEXIT戦略として早期のグローバル市場へのアクセスや開発期間の短縮のほか、三商工会議所の連携事業などについて議論した。今後、事業の方向性に反映し、個別事業での具体化を目指す。


【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


万博の機運醸成へ
大商・万博懇話会 博覧会協会に提案

 大阪商工会議所は、昨年5月に鳥井信吾会頭が座長を務める「2025年大阪・関西万博懇話会」を設置。副座長の廣瀬恭子大商副会頭や若手経営者とともに万博の成功に向けて議論を重ねてきた。
 4日には公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長を訪問。同懇話会で議論した内容をもとに、万博の機運醸成活動に関する提案書を手交した。鳥井会頭、廣瀬副会頭、メンバーの松本將マツ六社長、カサタニの笠谷昌宏社長、センショーの堀内麻祐子代表取締役、トウヨウ貿易の岸澤可乃代表取締役、木幡計器製作所の木幡巌社長、北浜化学の宮本正一取締役経営戦略室長、i―plugの中野智哉代表取締役CEO、Lean on Meの志村駿介代表取締役、大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程の佐久間洋司氏が参加。
 石毛事務総長からは「全国の機運醸成に向けて、開催地・大阪の万博熱をもっと高めてほしい」という激励の言葉があった。

【問合せ】万博協力推進室TEL6944・6323


久保田氏、会長に
女性会 新体制が発足

 大阪商工会議所女性会は6月28日、通常総会を大阪市で開いた。廣瀬恭子会長(広瀬製作所社長)のあいさつに続き、事業計画や予算が承認された。2期4年の任期を満了した廣瀬会長に加え、副会長の堀内智子氏、板東嘉子氏、永井理豫子氏が退任し、新たに久保田光恵氏(アークティック代表取締役)が会長に選任された。副会長には現任の田村節子氏に加え、宮部忍氏、城戸礼子氏、豊原文美氏が選任された。
 昼食会、講演会に、来賓として鳥井信吾会頭、芳井敬一副会頭らが参加。春の叙勲で、女性会元会長として旭日単光章を受章した池上淳子氏に、鳥井会頭から花束が贈られた。その後、鳥井会頭が乾杯あいさつを行い、芳井副会頭が「私の経営観」と題し講演。学生時代のエピソードから経営者としての心がけまで、硬軟織り交ぜた話題に参加者一同が聞き入った。

【問合せ】総務担当TEL6944・6215


未来医療国際拠点「中之島クロス」開業
鳥井会頭 「世界へ発信する拠点に」

 「中之島クロス」が6月29日、未来医療国際拠点としてオープンし、300人を超える招待者、関係者が参加し、開業セレモニーが開かれた。
 同拠点の研究やイノベーション、産業化を推進する一般財団法人未来医療推進機構の澤芳樹理事長の主催者あいさつの後、吉村洋文大阪府知事、甘利明衆議院議員、今枝宗一郎文部科学副大臣とともに、大阪商工会議所の鳥井信吾会頭が来賓として登壇。「中之島クロスが、先端医療・健康分野の中心となり、世界へ発信する拠点となることを祈念する」と発言した上で、大商との今後の連携についても期待を語った。
 鳥井会頭は、テープカットの後、施設の「臨床・研究・産業化」を一体的に進める機能について理解を深めるための内覧会にも参加した。

【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


活躍する女性リーダー表彰
応募は10月2日まで

 大阪商工会議所は第3回「活躍する女性リーダー表彰(愛称:ブルーローズ表彰)」を実施する。
 これは企業における女性役員・女性管理職登用を推進するために2022年度に創設。主に企業活動で顕著な業績をあげている女性リーダーを表彰し、今後一層の活躍とともに、ロールモデルとして後進育成への寄与を期待している。
 これまでに合計84人を表彰。16年度から20年度まで実施した「大阪サクヤヒメ表彰」を合わせると受賞者は311人となる。歴代の受賞者は女性活躍推進セミナーなどに登壇し、企業の枠を超えて次世代の女性リーダーの育成に貢献しているほか、有志のグループを結成し、SDGsの達成や大阪・関西万博の機運醸成に向けて活動している。
 応募期間は7月9日から10月2日。選定委員会(委員長=長谷川惠一・エール学園総長)による審査を経て受賞者を決定し、25年3月6日に表彰式を行う。受賞者には会頭名の表彰楯を贈呈。

【問合せ】研修・採用支援担当TEL6944・6499


大阪企業家ミュージアム特別展示
「プロパンが台所を変えたように、21世紀は水素が世の中を変える-岩谷産業創業者・岩谷直治-」

 大阪企業家ミュージアムは、岩谷産業の協力を得て8月6日~11月22日、特別展示「プロパンが台所を変えたように、21世紀は水素が世の中を変える―岩谷産業創業者・岩谷直治―」を開く。
 岩谷直治氏は「他人のやらないことをやる」「大衆に役立つ事業を行うことこそ企業家としての使命」という強い信念で、戦後の日本にプロパンガスを広め、人々に快適な暮らしをもたらした。また、化石燃料に替わる未来のエネルギー・水素にいち早く注目し、その研究開発に力を注いだ。同氏の企業家精神をパネルとゆかりの品で紹介。創業者のDNAを受け継ぐ同社が2025年大阪・関西万博で取り組む水素燃料電池船も紹介する。

【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


マクロミクロ――女性経営者

 女性経営者が集まる会合では、コミュニケーション力の高さにいつも驚かされる。会議が始まる前に、あちらこちらで何人かのグループになって本当に楽しそうに最近あったことなどを話されている。女性活躍推進がいわれる中、女性経営者がさらに増える社会になれば、社内・社外のコミュニケーション面は、大きく改善され、社会に活力を与えることになるだろう▼東京商工リサーチの400万社を対象にした調査(2023年)では、全国の女性社長は61万2224人で全体の約15%を占め、年々増えている。一方、身近に経営課題を相談できる相手がいないなど悩みを抱える女性経営者も今後増えていくだろう▼そうした時に頼りになるのが女性経営者のコミュニティではないか。大阪商工会議所には250人を超える女性経営者が集う「女性会」が組織されている。これまでに様々な困難を乗り越えてきた会員の経営事例発表や企業視察会などを開催し、経営者としての資質向上に努めている▼何よりも悩みや課題を共有できる一生の友も作ることができる場である。女性経営者の皆さんは、ぜひ入会を検討してはいかがでしょうか。(Z)

◆休館のお知らせ
 大阪商工会議所は、8月15日休館します(支部含む)。大阪企業家ミュージアムは、同11~15日休館します。

◆個人情報の取り扱い
 大阪商工会議所が主催するセミナーなどの参加申込書にご記入いただいた情報は、大商からの各種連絡・情報提供に利用するほか、講師には参加者名簿として提供します。


アジア人材活用を議論
参加企業・留学生の交流も

 大阪商工会議所の国際ビジネス委員会と人材育成委員会は10日、「『アジア外国人材活用・共創フォーラム』~人手不足の時代をどう乗り越えていくのか」を大商で開き、企業やアジア各国の留学生ら148人が参加した。
 森島弘光・大商国際ビジネス委員長(丸紅執行役員 大阪支社長)が開会あいさつした後、基調講演に、アジアの外国人材を戦略的に採用しているユー・エス・ジェイの田口雅子シニア・バイス・プレジデント・人事本部長が登壇。続いて、大阪出入国在留管理局が、就労可能な在留資格について説明した。
 パネルディスカッションでは、読売新聞大阪本社の田原徳容編集局部長(元アジア総局長)をモデレーターに、パネリストとしてエール学園、南海電気鉄道、藤本産業、ブローバックが登壇。「外国人材採用の現状と課題」「外国人材が日本企業で働きやすい環境」「外国人との共生」の3テーマで、議論を展開した。
 長谷川惠一・大商人材育成委員長(エール学園総長)が閉会あいさつした後は、参加企業やアジア各国の留学生らが交流し、活発な意見交換が行われた。
 大商は同フォーラムを皮切りに、ミャンマーやバングラデシュの人材関連セミナーや視察団の派遣など、外国人雇用に関する各種イベントを開催していく。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


大学等と企業が情報交換
10月8日 テーマは就職

 大阪商工会議所は10月8日、「第8回大学等と企業との就職情報交換会」を開く。
 新規学卒者の採用には、大学などとの連携を深めることが重要。今回は、関西などの57大学・短期大学が出展する。企業の経営者・採用担当者は各大学ブースを訪ね、採用に関する情報を交換する。また、参加後のアンケート回答者には、各大学の就職支援担当者の連絡先一覧をダウンロードできる特典もある。
 午後1~5時、マイドームおおさか(大阪市中央区)で。無料。定員250社(1社2人まで)。大商会員または大阪府内事業者に限る。事前申込制。
 参加希望者は、事前に案内される「新卒採用支援セミナー」のオンデマンド動画を視聴し、アンケートへの回答が必須。

【問合せ】研修・採用支援担当TEL6944・6499


繊維製品の国際認証制度
主な3機関が取得方法を解説

 大阪商工会議所と協同組合関西ファッション連合は9月19日、「国際認証制度」をテーマにプレゼン&交流会を開く。
 欧米では、技術力の高い日本製の繊維やファッション製品に注目が集まっている。一方、SDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりから、人権への配慮、環境や労働安全などへの対応に関する国際認証の取得を取引先企業に求める企業が増加しており、国際認証を取得していない企業は、取引の機会を逃す可能性がある。
 今回は、繊維製品の主な国際認証制度「エコテックス」「GOTS」「テキスタイルエクスチェンジ」の認証機関の担当者が制度概要や取得方法を説明。プレゼン企業を交えた交流会も行う。午後2~4時、大商で。無料。事前申込制。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6493


売り上げ拡大に口コミ活用
9月27日 事例やツール紹介

 大阪商工会議所は9月27日、「口コミを売上アップにつなげる方法~第2回販路拡大のためのIT・デジタル活用セミナー&相談会~」を開く。
 SNSの発展とともに、消費者の口コミや商品レビューは重要視されている。そこで、コマースフォースの小野瀬冬海社長が、口コミやレビューを売り上げ拡大につなげる方法について、レビュー投稿支援ツールやUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用ツールの活用事例を交えながら紹介する。セミナー後、相談会も設ける。午後2~5時、セミナー、相談会ともにオンラインで。無料。事前申込制。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6440


女性起業家27人集う
メンターなどから助言

 大阪商工会議所は6月29日、女性起業家の中長期的なキャリア形成とエンパワーメントの推進を目的に、ビジネス運営ノウハウ勉強会「女性起業家カフェ」を初めて大商で開いた。
 創業前や創業間もない女性起業家27人が参加。一般社団法人日本フリーランスウーマン協会の長谷川徳子代表理事のコーディネートのもと、永井俊二中小企業診断士が起業の成功事例とその要因を講義した。その後、参加者は課題や不安を打ち明け、業種が異なる参加者やメンターがアドバイスし合った。
 9、11月、来年3月にも同カフェを実施する。

【問合せ】経営相談室TEL6944・6472


事業承継の相談
3機関が連携して対応

 大阪商工会議所は、「大阪府事業承継・引継ぎ支援センター」を設置、事業承継に詳しい専門家が相談に応じている。ただ、事業承継の場面では、経営改善や販路開拓なども同時に経営課題になることがある。
 同センターと大阪府中小企業活性化協議会、大阪府よろず支援拠点は6月19日、3機関のアドバイザーが同席して相談対応を行う「3機関連携・無料相談会」を開いた。8社の相談対応を行い、販売方法の改善、親族内承継の進め方、資金繰り、リスケなどの経営課題に対してアドバイスした。
 3機関連携の無料相談会は、9、11月、来年2月にも開催する。

【問合せ】事業承継・再生支援担当TEL6944・6257


祝 大阪企業家ミュージアム 来館者数36万人を達成

 次代を担う企業家精神あふれる人材育成に取り組んでいる大阪企業家ミュージアムは6月22日、開館以来の累計来館者が36万人を突破した。
 36万人目は、大阪府印刷工業組合東和支部(支部長=溝口剛司・レスター工業社長)11人の一行。溝口氏は、「支部長になって最初の勉強会で36万人という節目に見学できて幸運だ。私は3回目の来館だが、展示物や資料が充実して見応えがある。志を持ち挑戦し続けた企業家たちから勇気と元気をもらえるので、若者にも学んでほしい」と述べた。

【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


動画を活用し売り上げ増へ
セミナーに70人超

 大阪商工会議所は6月20日、「動画制作促進セミナー&相談会」を大商で開き、73人が参加した。
 いろはの竹内謙礼代表が、売り上げアップにつながる動画広告のメリットや活用法を解説。動画制作会社3社「angenic」「思創堂」「メディアラボ」が、自社の特徴や動画の制作事例、大阪府内の商工会議所・商工会会員限定の特別サービス内容を紹介した。セミナー後は、各社との個別相談会も行った。
 参加者からは「動画の重要性や活用方法がよく分かった」などの感想が寄せられた。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6493


大商のがんばる会員さんを紹介します!

■若手女性スタッフ発案の創作練天で農林水産大臣賞を受賞!
 魚竹蒲鉾店(平野区、森山けい子社長)は1953年に創業した魚肉練り製品の製造販売業者。
 百貨店・スーパーに加え、本社直売所、イトーヨーカードーあべの店、八尾店、アリオ鳳店の専門店でも販売している。昨年、先代が不慮の事故で逝去したことで、森山代表(第5回大阪サクヤヒメ表彰活躍賞を受賞)が社長に就任した。突然のことに事業継続が危ぶまれたが、先代が開発した「大阪八彩天」を基に若手女性スタッフが中心となり「大阪産大根人参こんにゃく天」を新開発、「第67回全国水産加工たべもの展」に出展。地元農産物と軟らかめのすり身が絶妙な歯応えと味に仕上がっていることが評価され、同商品は農林水産大臣賞に選定された。今後の展開が楽しみな企業である。

■「未来を生きる人々へ」バトンをつなぎ、持続可能な社会をつくる
 dug(北区、松本卓也代表、https://webweb-design.com/)は、個人事業主・小中規模事業者向けにホームページやECサイトの制作をメインにデザイン業を営む。出身地の福知山市を中心に活動してきたが2024年に大阪にも広げた。
 良い商品やサービスを提供する小規模事業者はたくさんあるが、「本業の傍ら、Web・SNSでの商品PRや従業員の採用活動はとても大変」という相談をよく受ける。松本代表は、「お客様が本業に専念できる環境をつくり、売り上げ拡大や採用増加を促し企業の活性化を支援することが、持続可能な社会の創出につながり、未来を生きる人々へバトンをつなぐことができる」と考えている。今後も専門性の高いWebの担当者としてお客様に貢献していく。


常議員会開く

 大阪商工会議所は19日、第8回常議員会を開き、①会員加入②「2023年度事業報告書(案)」③「2023年度決算書(案)」④京阪神三商工会議所ライフサイエンス振興懇談会開催報告及び2024年度関西圏におけるライフサイエンス産業振興にかかる要望⑤株式会社商工組合中央金庫の政府保有株式の売却に係る一般競争入札への応募⑥参与委嘱の承認⑦副支部長の選任の同意⑧退任議員への感謝状贈呈――について審議し、了承した。
 また、①議員の就任②女性会正副会長の選任③医療機器開発事業における新展開④大阪城東部地区のイノベーション・フィールド・シティ具体化に向けた取り組み⑤「バングラデシュ経済・現地人材視察団」の派遣⑥第14回関西3空港懇談会の開催⑦2025年大阪・関西万博懇話会による(公社)2025年日本国際博覧会協会への提案――について報告した。
 なお、常議員会後の会員数は、法人2万2310、団体989、個人7151の合計3万450となった。

◆副支部長の選任(7月19日)
◎北支部(東淀川区)=石原幸二・東淀川区商店会連盟会長


特集 ビジネス会計検定試験で学ぶ企業の「今」と「未来」を読み解く力
「お金」の情報が分かる人材へ 管理職への昇格要件にも

 大阪商工会議所は、財務諸表に示された会計情報を理解・分析し、企業の経営実態を正しく把握するための「ビジネス会計検定試験」を実施している。財務諸表を読み解くことができれば、取引先の成長性や潜在的ニーズの掘り起こし、突然の倒産や売掛金・債権の未回収に伴うリスクを予測するなど、ビジネスシーンの「攻め」と「守り」の両面で活用できる。「財務諸表を読み解く」力は、経理担当だけでなく、ビジネスパーソンの常識として求められるようになり、同検定試験の学習を通したスキルアップを奨励する企業も増えている。
 近年、様々なビジネスシーンで財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書など)を目にする機会が増加している。一見、専門用語と数字の羅列に見える財務諸表だが、数値の表す意味やポイントを理解すれば、様々な企業情報を読み取ることができる。

■財務諸表を読み解く力
 財務諸表には、企業の取り組みや課題、将来性などを示す事業に不可欠な「お金」の情報が詰まっている。
 例えば、ある製造業の会社で、売り上げ・利益ともに確保、固定資産(生産設備)が増え、借り入れも増加している場合は、売り上げ増加への対応や将来を見据えた設備投資を行っていることが想像できる。
 一方、売り上げ・利益ともに減少しているが、借り入れをせずに不動産などの売却により資金確保している場合は、財務体質の改善に取り組んでいることが想像できる。このように財務諸表から企業の状態や取り組みを想像する力、これが「財務諸表を読み解く力」である。

■職種を問わず人気
 昨年度の同検定試験の申込者数は、1万3231人で、試験開始以来15年で2倍に増加している。職種を問わず、新入社員研修や管理職への昇格要件など人事考課の評価項目の一つとして導入する企業が増加している。いまや、会計の知識は、英語や法律知識とともに社会人必須の知識となっている。

■簿記の知識は必須?
 簿記検定を「地図を作る力」を問う検定と例えると、ビジネス会計検定は「地図を使って、目的地へたどり着く力」を問う検定である。利用者が「地図を作る」ことができなくても、「地図を読んで目的地にたどり着く」ことができることと同じように、簿記検定の「財務諸表を作る」知識がなくても、ビジネス会計検定で必要とされる「財務諸表を読み解く」ことはできる。
 同検定の学習を通じて財務諸表の仕組みを理解し、日々のビジネスで活用を。

■財務諸表セミナーも
 大商は8月21日、自社や他社の財務諸表を分析して仕事に役立てたい方を対象に、「会社の数字に強くなろう!~財務諸表の読み方・活かし方~」セミナーを開く。
 午後7~8時、オンラインで。無料。事前申込制。

《簿記検定とは異なる知識を習得》
    簿記検定の主な範囲:     日々の取引を記録し仕訳などを通して
                   財務諸表を作成する能力
    ビジネス会計検定の主な範囲: 財務諸表を分析・利用し、安全性や収益性
                   などの企業状況を把握する能力

《2024年度 試験要項》

  第35回
  [試験日] 2024年10月20日(日)
  [実施級] 2級、3級
  [申込期間]団体受付:8月5日(月)~8月21日(水)
        一般受付:8月23日(金)~9月12日(木)
  [試験会場]札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、京都、
        大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山、福岡
  [受験料(税込み)]2級:7,480円、3級:4,950円

  第36回
  [試験日] 2025年3月9日(日)
  [実施級] 1級、2級、3級
  [申込期間]団体受付:12月18日(水)~2025年1月8日(水)
        一般受付:2025年1月10日(金)~1月30日(木)
  [試験会場]札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、京都、
        大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山、福岡
  [受験料(税込み)]1級:11,550円、2級:7,480円、3級:4,950円

■企業の声: 人材育成に検定活用 会計的な視点でお客様を理解
  クリエイト 取締役管理本部長 五十嵐昭彦さん

 管工機材を中心に、製造、組立・加工、販売、物流、建築に至るまで、一連のサプライチェーンをグループで展開しているクリエイト(大阪市西区)の五十嵐昭彦・取締役管理本部長にビジネス会計検定試験の導入について話を聞いた。

――ビジネス会計検定試験の導入の背景をお聞かせください。
 「マネジメント層を中心に与信管理の研修を定期的に開催していましたが、年に1回程度の研修では本質的な底上げができないという状況の中でたどり着いたのが『ビジネス会計検定試験』です。実は導入の検討段階で、私自身がこの検定試験を受験してみて、『これは自己研鑽・自己啓発のツールとして使える!』と実感できたことが、何よりも大きなきっかけでした。この検定試験の難易度や扱う範囲が財務・会計の初心者でも取り組みやすく、営業職のスキルアップに最適なだけでなく、試験に合格できたときの達成感も味わえる点で、自己啓発としての可能性を確信しました」
 「とはいえ、当時の私は中堅社員。ビジネス会計検定試験はビジネスパーソンに必要な会計知識を体系的に学べる良い教材であると訴えましたが、上層部を説得するのに苦労しました(苦笑)。いざ導入できても、『営業担当者は仕事で鍛えられる経験が何より大切。検定なんかいらない』という厳しい声もありました。それから15年――。地道に検定受験の呼びかけを続けたことで、管理部門から始まった受験の輪も徐々に営業部門へと広がり、今では全社的に受験を推奨する環境を整えることができました」

――ビジネス会計検定試験を従業員教育でどのように活用していますか。
 「ビジネス会計検定の推奨を契機に、当社では『自己啓発支援規定』を制定し、取得費用を支援しています。具体的には、教材費(公式テキスト・過去問題集)や受験会場までの交通費、受験費用(合格者のみ)を支給したり、勉強スケジュールの策定や学習方法の相談を受け付けたりしています。受験対象者は、全社員で新卒内定者も含めています。内定者には入社まで半年以上の期間がありますので、その期間の過ごし方の一つとして受験を勧めています」
 「当社は人的資本経営として役員のスキルマトリックスにつながるピラミッドを意識しており、『財務・会計・ファイナンススキル』として『ビジネス会計検定試験』を位置づけ、他の経営スキル(法務・リスクマネジメント、営業・マーケティング、サステナビリティ、サプライチェーンマネジメントなど)や自身の専門分野、趣味など多岐にわたる自己研鑽・自己啓発に取り組める人材を育成したいと考えています。そうした背景もあり、2024年度から管理職の昇格要件としてビジネス会計検定試験の資格取得を採用しました。経営姿勢や財務内容から将来性の高いお客様を見極めて積極的な営業を展開したり、会計的な視点からお客様をよく理解し、信頼されるパートナーになることを目指す営業スキルに加え、上位級合格によるマネジメント意識の醸成に活用しています」

――ビジネス会計検定試験の導入を検討されている企業へメッセージをお願いします
 「ビジネス会計検定試験の導入を検討されている企業の経営者様や教育部門のご担当者様におかれましては、導入目的の設定や教育制度の整備などのご苦労があるかと思いますが、当社の取り組みが少しでも参考になれば幸いです。この検定試験の導入を通じて、社内での学びの意識や資格取得の達成感の芽生えを実感しております。ビジネス会計検定を通じて芽生えた『自己研鑽の文化』が社員から社員へ伝播していく社内風土を理想に掲げ、今後も人材育成にいっそう力を入れていきます」


【問合せ】ビジネス会計検定試験センターTEL6944・6295
(土日、祝休日、8月15日、年末年始を除く10:00~17:00)


親子で楽しむ夏の体験 リアルとオンライン両方で
あべの天王寺・サマーキャンパス2024

 大阪商工会議所南支部(支部長=秋田拓士・近鉄百貨店会長)は8月24~25日、「あべの天王寺・サマーキャンパス2024」を開催する。職業体験やワークショップなど親子を対象とした様々なイベントを通じて地域の活性化を図る。
 これは阿倍野・天王寺ターミナル周辺エリアの主要な商業施設や商店街・商店会が一致協力して開催する夏の恒例事業。「映画館バックヤードツアー」「信託銀行をのぞいてみよう!」など地元のお店や企業が企画したユニークな「体験プログラム」をリアルとオンラインで開くほか(オンラインは8月17日から実施)、スタンプラリーや280店を超える店舗が対象の抽選会も実施する。今年の目玉は「ミニらいとモルックNo.1決定戦inあべの天王寺」。

【問合せ】南支部TEL6771・2211


チェンバーカレンダー2025
早期割引の申し込み締め切り迫る 8月8日まで

 大阪商工会議所は、地方独立行政法人大阪市博物館機構の協力を得て、「チェンバーカレンダー(2025年版)」を販売している。
 大阪市立美術館と大阪歴史博物館の所蔵品である葛飾北斎や長谷川等伯らの名画12点を掲載。「壁掛型」と「卓上型」の2種類があり、各種50部以上の申し込みで社名などの名入れ印刷が可能。会員限定で新規購入者は名入れ価格から5,500円(税込み)を割り引く。8月8日までに申し込むと早期割引が適用され、会員向けの価格は50~199部の注文で、壁掛型760円、卓上型510円(税・送料込み)。部数に応じて価格が異なる。

【問合せ】会員組織担当TEL6944・6274


買いまっせ!売れ筋商品発掘市
約80社の大手バイヤーが参加

 大阪商工会議所は11月14日、「第28回買いまっせ!売れ筋商品発掘市」を大阪府立体育会館(大阪市浪速区)で開く。
 今回は新規約20社を含む約80社の買い手企業が参加予定。百貨店やスーパー、通販などの大手流通業のバイヤーが買い手企業としてブースを構え、そこに中小製造業、卸売業が売り手企業として直接売り込みをかける。商談分野は食品、食材(一次産品含む)、住・生活雑貨、衣料、家具、地域特産品など。売り込み型商談会としては日本最大規模。締め切りは10月28日。先着順で定員1000人。参加費は会員1人9,000円、一般同18,000円。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6440


IR開業による商機獲得
8月20日、セミナー

 大阪商工会議所は8月20日、大阪府・大阪市とともに「IRビジネスセミナー」を開く。これは、地域経済の担い手である地元企業を対象に、2030年に夢洲で開業を予定しているIRの実現により得られる効果について理解を深めてもらうことが目的。
 大阪観光局の溝畑宏理事長が「大阪IRを起爆剤に、大阪がアジアNo.1の国際観光文化都市をめざすための、都市魅力、ビジネスの活性化について」をテーマに講演するほか、大阪府・大阪市のIR推進局職員が「区域整備計画」などについて説明する。
 午後2時30分~4時15分、大商で。無料。定員100人。事前申込制。

【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


内定者研修に団体見学を
大阪企業家ミュージアム

 大阪企業家ミュージアムは、大阪を舞台に活躍した企業家の高い志、チャレンジ精神、創意工夫などの「企業家精神」を伝える施設。先人たちの仕事に対する思いや英知に触れることは、貴社の内定者が「仕事とは」あるいは「社会人に必要な心構え」などを考える良いきっかけになる。
 10人以上の団体で申し込むと、スタッフによる企業家精神の説明と館内案内を実施。事前申込制。会員1人200円、大学生同100円。

【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


簿記検定事業 功労者に感謝状を贈呈

 大阪商工会議所は6月29日、長年、簿記検定試験において試験委員などをお務めいただくなど多大なご尽力を頂戴した方々に対して、大商の井内摂男専務理事より大商会頭名の感謝状を贈呈した。
 対象者は次の3人(敬称略)。
 青山一夫、谷口武、松井健三


検定にチャレンジ! ビジネスマネジャー検定試験
チームとして成果を出すマネジャーの育成に

 企業において、優秀なマネジャーの育成は業績を左右する重要な課題だ。商工会議所ではマネジャーとして活躍が期待されるビジネスパーソンに対し、その土台づくりのサポートを目的とする「ビジネスマネジャー検定試験」を実施している。
 同検定試験では、マネジャーのミッションを「チームとして成果を出すこと」と位置づけ、ミッションを果たすために必要な知識を3つのカテゴリーに分類。「①人と組織」では、コミュニケーションや人材育成、チームビルディングなど、「②業務」では、事業管理や課題に応じた戦略の立案など、「③リスク」では、リスク管理やコンプライアンス、メンタルヘルスやハラスメントの職場管理など、実践的な知識を系統立てて効率的に学習できる。導入企業は、①実務的な研修に注力できる②管理職育成の費用・時間・労力が軽減できるなどのメリットが期待できる。
 また、マネジメント知識の習得度を測定する「ビジネスマネジャーBasic Test」も実施。24時間365日(メンテナンス時を除く)いつでも好きな場所で受験することが可能なため、管理職への昇進・昇格の判断に、中途採用試験に、管理職・管理職候補者への研修の一環に、利用するなど様々な場面で活用できる。
 ビジネスをめぐる環境変化のスピードが加速するなか、経験に基づくマネジメントだけでは対応が難しくなっており、同検定試験を活用する企業は今後拡がるものと見込まれている。

《第20回 ビジネスマネジャー検定試験》
 [試験期間]10月25日(金)~ 11月11日(月)
 [申込期間] 9月20日(金)10:00 ~ 10月1日(火)18:00
 [受験方式]IBT方式(受験者自身のパソコン・インターネット環境を利用
       して受験する方式)かCBT方式(テストセンターのパソコンで
       受験する方式)
 [受験料(税込み)]7,700円 ※CBT方式は、利用料2,200円が別途必要
 [合格基準]70点以上(100点満点)

《ビジネスマネジャーBasic Test》
 [試験期間]24時間365日 ※メンテナンス時を除く
 [申込期間]24時間365日 ※メンテナンス時を除く
 [受験方式]インターネットを通じパソコンで個別Web試験
 [受験料(税込み)]4,400円
 [合格基準]スコア表示(自社で設定可能)


【問合せ】東京商工会議所検定センターTEL050・3150・8559


商工会議所の会員限定団体受験で5%を割引

 東商検定は受験割引制度があります。
 以下の5つの東商検定は、商工会議所会員企業が3人以上の団体で受験を申し込む場合、受験料が5%割引されます。
  ●カラーコーディネーター検定試験
  ●ビジネスマネジャー検定試験
  ●環境社会(eco)検定試験
  ●福祉住環境コーディネーター検定試験
  ●ビジネス実務法務検定試験
 大商の会員企業の団体申し込み方法については、下記担当に問い合わせを。

【問合せ】大阪商工会議所検定担当TEL6944・6430


「大阪まちごとバル」始動
くうぞ、万博。 飲食街をエリアごとにプロモーション

 大阪商工会議所は2025年大阪・関西万博に向け、SNSを活用して大阪の食の魅力を発信する「くうぞ、万博。プロジェクト」を推進している。その第2弾としてこのほど、大阪府内の飲食街をエリアごとにプロモーションする「大阪まちごとバル」を開始。6月に始めた第1弾「万博メニューでおもてなし」と両輪で食のまち・大阪のブランド向上に取り組む。
 「大阪まちごとバル」は、地元ならではのおすすめグルメスポットやまち歩きのモデルコースなどを紹介するショート動画を制作して大商のインスタグラムなどで発信するプロジェクト。既に多くの観光客でにぎわっている有名なエリアではなく、相対的にまだよく知られていないエリアに焦点を当てることで、観光客の周遊分散を促進し、オーバーツーリズム解消や飲食消費向上を図ることを狙いとしている。
 始めに紹介するのは、東横堀川・道修町(大阪市中央区)。周辺に軒を連ねるスパイスカレー専門店を紹介する「スパイスカレー3選」や世界的な評価も受ける「チョコレート3選」、21年に整備されたにぎわい施設β本町橋を拠点にした「東横堀川で楽しむ水上アクティビティ」など6本の動画を順次投稿。
 今後はグレーターミナミ(大阪府南部地域)など、25年2月までに5つのエリアをショート動画で紹介する計画。
 「大阪まちごとバル」と「万博メニューでおもてなし」の2つのプロジェクトを通じて、大阪の食の魅力発信を強化し、万博期間中、国内外からの観光客を大阪各地の飲食街や個々の店舗へ誘導し、まちなかでの食べ飲み歩きを促していく。

【問合せ】地域振興担当TEL6944・6323


「まちごと万博」第1回特集記事 公開
登録プロジェクト受け付け

 大阪商工会議所は4月、大阪府・大阪市万博推進局、関西経済連合会、関西経済同友会とともに構成する「大阪まちごと万博共創プラットフォーム」をスタートさせた。2025年大阪・関西万博を好機ととらえ、まちなかで行う様々な取り組みを一体的に情報発信することで、都市魅力の向上、国際競争力の強化を目指す。
 5月には「まちごと万博」公式サイトを本格稼働。「まちのパビリオン」として登録された「イベント」「プロジェクト」「人」の情報を一堂に掲載。7月に公開した第1回特集記事では、ものづくりの街・八尾市でオープンファクトリーを立ち上げ、今も運営に関わる八尾市内企業の若手社員に焦点を当て、町工場のある街の魅力をいかに可視化し、深化させていくかについて紹介している。
 現在、企業・団体からのまちごと万博への登録を受け付けている。2025年以降も発展することを前提とした、大阪・関西万博に関するプロジェクトやイベントを大阪府内で実施している企業・団体などは登録を。

【問合せ】万博協力推進室TEL6944・6323


万博出展2社と大商が出展
デジタルものづくりイベント

 大阪商工会議所は、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンで披露するリボーンチャレンジ「Series A;セレクション~輝く未来社会の創り手ここにあり~」の出展企業であるエーエスピーとRIDE DESIGNとともに、6~7日、大阪市で開かれたデジタルものづくりイベント「テックシーカー コレクション2024」に出展した。
 これは子どもとその家族を対象に、未来社会に向けた最新技術やイノベーションを紹介するもの。参加した2社は万博に来場する子どもやその家族を想定し、展示やワークショップを実施。
 大商は今回の来場者の意見も参考に、万博会場での展示内容の磨きをかけるとともに、出展企業・団体のビジネスマッチングやプロモーションなど出展に向けた支援と、万博後も見据えた事業化などに取り組んでいく。

【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


観光コンテンツ 最短の販売戦略
8月2日、セミナー

 大阪商工会議所は、観光の高付加価値化・長期滞在化と周遊分散を図るため、「大阪観光コンテンツ造成支援事業」を開始する。コンテンツを旅行商品として販売する際の基礎資料として使われる「タリフ」の作成・添削から旅行会社などに向けたピッチまでを一気通貫で行う連続ワークショップを開く。
 キックオフとして8月2日、セミナーを開く。訪日外国人向けツアー造成で豊富な実績を持つジェイ・リンクスの金馬あゆみ氏が「観光コンテンツの最短販売戦略」と題して講演。午後2時~3時30分、大商で。無料。定員50人。事前申込制。

【問合せ】地域振興担当TEL6944・6323


CHANGE FASHION チェンジファッション 大阪・関西万博に出展 <5>
桃谷順天館: 美肌求め繊維企業と共創

 今や、女性のみならず男性も生活に欠かせない化粧水。その先駆けとなる商品を生み出したのが大阪の老舗企業であることをご存知だろうか。
 桃谷順天館(大阪市)は1885年創業の化粧品を企画・製造する企業。同社の超ロングセラー化粧水「にきびとり美顔水」は、日本化学会の化学遺産にも登録されている。
 長い歴史を有する企業であるが、更なる飛躍のため、オープンイノベーションにも積極的に取り組む。社長直轄部署として「桃谷総合文化研究所」を設置し、インターンシップの受け入れ、他業種との連携を通じ、新規事業開発に挑んでいる。
 そのような取り組みの中で生まれたのが、着用するだけで肌にうるおいを与える「モイストファイバー」。繊維企業との共同研究で誕生したこの繊維は、化粧水成分を練り込んであり、肌の常在菌の集まり「スキンフローラ」に作用する。杉野哲造桃谷総合文化研究所長は「肌に直接ふれるという意味では、繊維も化粧水も同じ。その両方の技術で肌の悩みを少しでも解決できれば」と語る。
 大阪・関西万博では「モイストファイバー」を使用した衣服の他、自社の調香技術を活かした「香りをまとうファッション」も共創する。記憶と結びつきやすい「香り」をファッションに取り入れることで、短時間で強い印象を与える展示とする。例えば、関西各地の観光地の「香り」を用いることで、来場者へ地域の魅力もアピールする。
 杉野氏は「当社の使命は『美しさ』の追求だけではない。肌に悩みを抱える人も自信が持てるよう多様な方法で背中を押し続けたい」と意気込む。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6493

2024.08.08
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