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大商ニュース   2019/12/10号



「スタートアップ拠点都市」へ要望
京阪神3商会頭 実現に向け働きかけ

 大阪商工会議所の尾崎裕会頭は11月21日、京都商工会議所の立石義雄会頭、神戸商工会議所の家次恒会頭とともに、3商工会議所が取りまとめた「スタートアップ・エコシステム拠点形成に向けた要望」の実現を働きかけるため、内閣府の竹本直一特命担当大臣、自由民主党スタートアップ推進議員連盟の平井卓也会長を訪問した。政府は、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」を公募し、今年度中に全国で2〜3カ所を選定する。選定都市には、集中支援が予定されている。
 同要望では、同拠点都市の制度設計に関して、複数の地方自治体による共同提案を可能にするよう求めたうえで、既に連携の実績があり、2025年大阪・関西万博に向けたイノベーションの加速が望まれる大阪、京都、神戸の拠点間連携の取り組みを選定するよう要望した。
 尾崎会頭は、「大阪、京都、神戸は、いずれもが拠点都市の形成にふさわしい条件を備えているが、3拠点の連携により、多様で豊富なリソースを活用した大きな仕掛けに取り組める」と訴えた。
 これに対して、竹本大臣は、「世界の拠点となるよう、3拠点がうまく連携し三都物語に」と応じた。また、平井会長は「組むことは大歓迎。シナジーとネットワークを生かしたプランを出してほしい」と述べた。
 大阪では10月31日、大阪府、大阪市をはじめ、経済団体、大学、金融機関、研究機関などの関係団体が名を連ね、「大阪スタートアップ・エコシステムコンソーシアム」を設立し、グローバル拠点都市としての選定を目指す取り組みを進めている。
 大商は、京都、神戸の各商工会議所とともに京阪神の緊密な連携を支援し、関西の将来、日本の将来を担う真の「グローバル拠点都市」の形成に取り組んでいく。

【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


大阪の食の魅力発信 大商と大阪観光局 万博見据え新組織

 大阪商工会議所と大阪観光局は11月26日、オール大阪で大阪の食のブランディング向上に取り組む新組織の設置を発表した。組織の名称は「食創造都市 大阪推進機構」。大商の尾崎裕会頭と、大阪観光局の溝畑宏理事長が共同代表に就任する。
 これまで、大商や観光局を含め多くの在阪団体が食関連事業を推進してきたが、団体間の情報共有が課題であった。また、大阪はインバウンド客の飲食費消費単価が他の主要都市と比べて低く、高級な食のPRを含めて食の多様な魅力を世界にアピールすることも必要。そのためにも、情報の集約・発信の一元化が望まれていた。
 新組織は、2025年大阪・関西万博を見据えながら、大阪の食に磨きをかけることで、食消費の拡大、観光魅力や都市格の向上、地域経済の振興につなげていくことが狙い。世界目線での大阪の食のブランディングをミッションとし、@多様性のある大阪の食の魅力発信Aハイエンドな食に焦点を当てた取り組みの推進B料理人、料理店、美食家などと連携したプログラムを展開する。具体的には、在阪シェフと海外シェフとのコラボレーションレストラン、産地見学ツアーなどを検討する。来年3月下旬、キックオフ事業を実施予定。

【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


自民党・万博推進本部 西村副会頭が出席

自民党の「大阪・関西万博推進本部」(本部長=二階俊博幹事長)が11月18日に東京で開かれ、大阪商工会議所の西村貞一副会頭はじめ地元関係者らが出席した。
 二階本部長は「大阪・関西万博は東京五輪パラリンピックに続く大規模な国際イベントであり、世界各国から来日する方々にしっかりと対応する必要がある。政府や地元自治体、経済界などと協力して開催準備を着実に進めたい」とあいさつした。その後、経済産業省と2025年日本国際博覧会協会から大阪・関西万博の取り組み状況が報告され、意見交換が行われた。
 西村副会頭は「商工会議所も中小企業が活躍できる場となるよう、開催に向け全力を挙げて取り組む」と力強く応じた。

【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


尾崎会頭が現場視察 外国人向け就労支援施設など

 大阪商工会議所の尾崎裕会頭は11月22日、9月末に大阪市浪速区に開業した外国人向け就労支援施設「YOLO BASE」を視察した。同施設は、南海電気鉄道が建設し、YOLO JAPANが運営。施設内には、ホテルやレストラン、イベント会場などがあり、そこでの就労を通じて、外国人の業務スキルや知識・語学の習熟度の向上、実務経験の増進を支援している。ワーキングスペースも設け、外国人の起業支援も行っている。
 運営会社の加地太祐社長は、「特定技能資格で求められる外国人就労者の需要はますます高まる。IRの開業も期待されており、大阪の企業に即戦力の外国人を紹介できるよう取り組みたい」と同施設の果たす役割について説明。大商が4月に発表したグレーターミナミに関する14の提言の一つに盛り込まれた、ビジネスアクセラレーターの拠点の一つとしても期待される。
 同施設の視察後、簡易宿舎がホテルへとリノベーションされ、若者を中心にインバウンドの宿泊拠点となっている新今宮駅、動物園前駅周辺も併せて視察した。


大阪発・光が文化になる季節 光の饗宴、来年1月末まで

 大阪・光の饗宴実行委員会(構成=大阪商工会議所、大阪府、大阪市など)は、来年1月31日まで「大阪・光の饗宴2019」を開催している。
 大阪のシンボルストリート・御堂筋を美しく彩る「御堂筋イルミネーション」、中之島で繰り広げられる光のアートフェスティバル「OSAKA光のルネサンス」を開催。御堂筋沿線に設置されるフォトモニュメントや大阪市中央公会堂のプロジェクションマッピングなど、この時期にしか体験できないプログラムを多数実施するほか、府内各所でも25のプログラムを実施している。なお、今年は観光客の満足度向上に向けた社会実験として、指定ツアーの参加者限定で市内中心部4エリアを周遊するバスを臨時運行する。詳細はHP(https://www.hikari-kyoen.com/)に掲載。

【問合せ】大阪・光の饗宴実行委員会事務局TEL6441・0071


◆年末年始の休館

 大阪商工会議所(支部を含む)は、12月28日〜1月5日、休館します。大阪企業家ミュージアムは、12月27日〜1月6日、休館します。

◆休刊のお知らせ
 本紙12月25日号は休刊します。

◆ご注意下さい
 アポなしで企業を訪問し「商工会議所の調査です。御社のパソコンを触らせてほしい」という事案があるようですが、大阪商工会議所ではそのような調査は実施しておりません。ご注意下さい。


マクロミクロ――会社の成績表

 簿記の勉強でつまずいた方にも、分かりやすく会計の勉強をしてもらいたい――。そういう思いから、大阪商工会議所の企画検定としてスタートしたビジネス会計検定試験(財務諸表理解力検定)。今年で13年目を迎えました。初年度の第1回、第2回試験は東京と大阪の2カ所のみの施行でしたが、今では全国17カ所の会場で年間1万5千人の方に受験申し込みをしていただいています。
 子どものころの成績表を思い出してください。国語が「5」で、算数が「1」と評価されているとき、その数字が何段階評価の数字なのか、「1」と「5」だと、どちらが良い数字なのか分からなければ国語と算数どちらが苦手なのかすら分かりません。分からなければ改善もできません。
 財務諸表(決算書)は会社の成績表です。せっかく、成績表があるのにその数字の意味がわからなければ活用はできません。数字が分かれば社内の意識も共有でき、とるべきアクションをともに考えることができます。
 来年はビジネス会計検定試験の学習を通じて、会計に関する知識や分析力を身につけてみませんか。(K)


北米東海岸に視察団 来年3月 先進的スタートアップ

 大阪商工会議所は来年3月8〜15日、北米東海岸(モントリオール、ボストン)に、先進的スタートアップの発掘を目的とした視察団を派遣する。大商は海外のイノベーション創出先進地域と連携し、人工知能(AI)、あらゆるモノがネットにつながるIoTなど「第4次産業革命」分野で先端技術を有する、海外スタートアップとのオープンイノベーション交流事業を推進している。今回の視察団はこうした交流事業の一環。
 カナダ・ケベック州最大の都市でありAI人材が豊富で、2000社以上の先進的スタートアップが存在するモントリオールでは、大商と提携関係にあるモントリオール商業会議所の支援を受けて、現地のAI研究所やスタートアップを訪問するほか、日本企業からのニーズ発表・個別商談会を行う。
 ベンチャーキャピタル(VC)など投資家からの投資資金がシリコンバレーに次いで豊富で、3000社以上の先進的スタートアップが集積する米国マサチューセッツ州ボストンでは、マサチューセッツ工科大学(MIT)や現地のアクセラレーターを訪問するほか、日本企業からのニーズ発表・交流会を行う。
 今回は、こうしたスタートアップや支援機関との交流を通して、現地最新技術動向について学ぶとともに、新規製品の開発につなげることを狙いとする。
 参加費は、伊丹空港発着でエコノミークラス利用は1人あたり約62万円、ビジネスクラス利用は1人あたり129万円。定員20人程度。申し込み期限は2月7日。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


事業リスクを包括的に補償 ビジネス総合保険制度

 大阪商工会議所は「ビジネス総合保険制度」の加入企業を募集している。同制度は第三者からの損害賠償請求をはじめ、自然災害による休業、財産や工事損害など、企業活動にかかわるリスクを包括的に補償。事業リスクに対する様々な補償を一本化でき、一般の保険に比べ割安な保険料で加入できる。
 近年、情報漏えいやPL事故をはじめ、業務中や自社施設内の事故など、損害賠償が多様化、高額化する中、事業継続を図るうえで様々な賠償リスクに備えることが不可欠となっている。加えて台風、地震など自然災害によって休業せざるを得なくなる事態への備えも重要。
 同制度では、PL補償、施設賠償、情報漏えい賠償など、第三者に対する損害賠償を補償するほか、自然災害による事業休業、自社の建物・設備機械・製品などの財物損害なども補償する。事業リスクに備えるためにも、同制度へ加入のご検討を。

【問合せ】共済事業室TEL6944・6352


回収不能リスクに備える 売上債権保全制度

 大阪商工会議所は、取引先の倒産や支払い遅延などによる、売掛債権の回収不能リスクに備える、「売上債権保全制度」の新規加入企業を募集している。
 同制度には、補償対象先の選定方法の違いなどにより、「保険プラン(取引信用保険)」と「保証プラン(債権保証サービス)」の2つのプランがある。
 「保険プラン」は保全する対象取引先の一定数の包括加入が必要だが、取引先1社あたりの保全コストは安い。
 一方、「保証プラン」は任意に対象取引先を選定できるが、保険プランに比べ取引先1社あたりの保全コストが高くなる場合がある。
 同制度に加入すれば、保険会社や保証会社による取引先の与信チェックも受けられるので、債権保全機能の強化も図れる。
 債権回収不能リスクへの備えや債権保全機能の強化のため、ぜひとも同制度への加入のご検討を。

【問合せ】共済事業室TEL6944・6352


大阪発デザイン性高い商品 百貨店の催事に出店「期待以上の成果」

 大阪商工会議所は「第4回大阪クリエイトフェア」を11月20〜26日、あべのハルカス近鉄本店(大阪市阿倍野区)で開いた。同フェアは、大阪にゆかりのあるデザイン性の高いリビング製品や服飾雑貨、食品などを一般消費者向けに販売することで、大阪らしいライフスタイルを発信し、創造力にあふれデザイン力の高い関連事業者の販路開拓、企業成長を支援するもの。今回は、53社から応募があり、厳正な審査を経て選ばれた21社が出品。期間中は多くの人が訪れ、商品のデザインや作り手の作品に込めた思いを感じながら、買い物を楽しんでいた。
 出品者からは、「初めて百貨店の催事に出品したが期待以上の成果があった」「これまで消費者の声を直接聞く機会はなかったので大変勉強になった」「お客様のご意見から新たな販売先のヒントが得られた」といった声が寄せられた。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6493


中小企業の海外展開支援へ コンサル探しマッチング会 来年1月

 大阪商工会議所は1月16日、国際協力機構(JICA)と共催で、「中小企業×コンサルタントマッチング会」を開く。海外展開時のリスクを軽減するには、公的機関の支援策を活用することが有効。そのためには、申請書の作成や海外での展開手法などに精通したコンサルタントと連携することが近道となることが多く、このほど、理想のコンサルタント探しのためのマッチング会を開くことにした。マッチング会には、14社のコンサルタントが参加。セミナーも同時開催し、中小企業の政府開発援助(ODA)など海外展開の支援制度や事例を紹介する。
 午前11時〜午後5時、大阪産業創造館(大阪市中央区)で。無料。事前申込制。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201911/D11200116019.html)に掲載。グランフロント大阪(大阪市北区)にあるJICAコラボデスクでの事前相談も随時受け付けている。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


中小企業の海外展開支援へ コンサル探しマッチング会 来年1月

 大阪商工会議所は1月16日、国際協力機構(JICA)と共催で、「中小企業×コンサルタントマッチング会」を開く。海外展開時のリスクを軽減するには、公的機関の支援策を活用することが有効。そのためには、申請書の作成や海外での展開手法などに精通したコンサルタントと連携することが近道となることが多く、このほど、理想のコンサルタント探しのためのマッチング会を開くことにした。マッチング会には、14社のコンサルタントが参加。セミナーも同時開催し、中小企業の政府開発援助(ODA)など海外展開の支援制度や事例を紹介する。
 午前11時〜午後5時、大阪産業創造館(大阪市中央区)で。無料。事前申込制。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201911/D11200116019.html)に掲載。グランフロント大阪(大阪市北区)にあるJICAコラボデスクでの事前相談も随時受け付けている。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


ウエルネス産業新潮流<10> キリン堂ホールディングス
健康寿命の延伸に貢献 健康相談サービス提供

 超高齢社会となり、健康寿命の延伸が社会としても、個人としても求められる世の中になっている。そんな中、1955年の創業以来一貫して「未病対策」をテーマとして掲げ、地域住民の健康を支え続けてきたのが、ドラッグストア「キリン堂」を運営するキリン堂ホールディングス(以下、キリン堂)だ。地域の住民が健康で美しく楽しい快適生活を送れるように様々なサポートを提供することで、地域コミュニティーの中核となるドラッグストアを社会的インフラとして確立することを目指している。
 キリン堂には未病医療サポート室という部署がある。たぶん日本のドラッグストアのみならず薬局などを合わせてもこのような部署は聞いたことがない。医師や医療関係者に取得者の多い未病の専門資格「未病専門指導師(日本未病システム学会認定)」を持つ杉本幸枝氏が室長として社内外に向けて未病対策を発信している。「未病」という東洋医学的観点からの健康維持・増進を包括的に見ることができるのが強みだ。
 また、キリン堂では草創期から、近畿大学の東洋医学研究所などとの学術的な連携を元に、健康相談のサービスを提供してきた歴史がある。草創期の時代では当たり前のように健康に関する相談を近所の薬局が受けていたが、ドラッグストアチェーンが主流となった現在では地域に根差したキリン堂ならではの活動となっている。さらに、そのソリューションの一つとして、個人の悩みに合わせて自社ブランドの医薬品や健康食品の提供を行っていた。その延長線上で現在でも商品開発型企業として継続されており、全商品売り上げに対するPB商品の割合は10%を超すという。このPB商品はリピート率も高くキリン堂の基幹商品の1つとなっている、ちなみに最初のPB商品は当時では市場に流通していなかった豆乳や青汁(タンGグリーン)であった。現在のそれぞれの市場でのポジションを考えると、キリン堂の先見性の高さがうかがえる。また、これらの健康相談などの結果を学会で発表し、アカデミアに健康相談の現場の状況をフィードバックする活動も続けている。

大阪府と健康など6分野で包括連携協定を締結

 「現在でも定期的に健康フェアを開催して地域の皆様に未病を知っていただき、結果を見える化してお客様の悩みを具体的に解決することを第一に心がけています」(経営企画部IR・広報室引地真室長)。健康フェアの前身の健康相談会を始めた当初は体組成計もなく口頭でのやり取りではあったが、技術の進歩とともに様々な機器を取り入れて見える化を実現してきた。今年7月には日本で初めて、指先で野菜の摂取状態を数値化できる「ベジメータ」も導入した。現在は行政と連携してショッピングモールなどで健康相談を行う機会も増えてきており、今後は特定検診や健康経営と連動した企業への出張健康相談も視野に拡大を検討している。
 キリン堂では今年7月31日に大阪府と健康、子ども・福祉、環境、府政のPR、安全・安心、雇用の6分野にわたる連携と協働に関する包括連携協定を締結した。締結式では吉村洋文大阪府知事が「キリン堂さんの未病対策のノウハウや、府内店舗のネットワークをお借りして大阪全体が健康になっていくように取り組んでいきたい」と連携への期待を語った。

 関西地域の健康を産業が支えるプラットフォームづくりを目指して、大阪商工会議所が京都・神戸の商議所とともに進める「関西ウエルネス産業振興構想」。当欄では、様々な企業、自治体のウエルネスに関する新たな製品・サービス、取り組みについて紹介する。


数字に強い人材育成へ ビジネス会計検定 年末から申し込み受け付け開始

 大阪商工会議所は、財務諸表に示された会計情報を理解・分析し、企業の経営実態を正しく把握するための「ビジネス会計検定試験」を実施している。ビジネスの現場では、経理など会計を専門とする部門以外でも財務諸表を読み解く力が求められ、同検定試験の学習を通したスキルアップを奨励する企業も増えている。今回は、本紙でコラム「実践!ビジネス会計 社長の目のつけどころ」を連載中の公認会計士・税理士の西川哲也氏にインタビューした。
 会社の現状を理解し、業績を良くしていくためには、何にどう手を打つことが必要か――。ビジネスの現場で、それを把握するには、財務諸表に示された会計情報の理解が求められる。公認会計士・税理士の西川哲也氏は、「会社が成長していくには、社長だけでなく、幹部や一般社員も含めた広い階層が、会社の未来を数字で考える力を身につけることが必要です」と話した。

数字への理解深めて職場の活気引き出す
――ビジネス会計検定は、どういった点が優れているのでしょうか。
 「ビジネスの現場にいるかぎり、経理部門以外でも数字を読み解く力が求められます。ビジネス会計検定の良いところは、決算書の数字を読み取って会社の状況を理解することにフォーカスしている点です。数字を通して会社の状況を理解するための基本的な知識や思考を身に付けるのに、適しているといえます」

――数字に強い人材が社内に増えると、どんなメリットがありますか。
 「経営者の皆様から業績が好調でも将来に向けての危機感があるといった話をお聞きすることがよくあります。数字に強い人材が経営者以外にも社内にいると、決算書をもとに危機感を共有し、将来の会社の成長に向けて、とるべきアクションをともに考えることができます」
 「幹部だけでなく一般社員も数字に強くなると、会社や仕事への関心が高まります。新しいアイデアを出したり、仕事を工夫したりできる人材が増えて、将来、会社が大きく飛躍する足がかりにもなります」

――多くの中小企業で世代交代の時期を迎えています。
 「中小企業の後継者はもちろん、次世代の社長やその幹部の受験もおすすめです。後継者本人が数字に強い場合は幹部に勉強していただいて頼れる相棒にするとよいでしょう」
 「中小企業の後継者から、数字が分かるようになると、『こう考えると事業の可能性が高まる。これをやればいいのか』と気づいて仕事が面白くなってきたといった声もよくお聞きします」

――とりわけ中小企業では、どう活用できますか。
 「中小企業では職場内訓練(OJT)で社員に力をつけてもらうケースが圧倒的に多いです。その基礎体力として数字の構造が分かって日々の業務に取り組んでいるのとそうでないのでは伸びが全然違います。これから力をつけてほしい社員に基礎知識としてビジネス会計をマスターしてもらい、仕事の面白さを実感してもらうのがよいでしょう」

――学習の進め方は。
 「ビジネス会計の勉強は、簿記の知識がなくても始められます。試験には財務諸表の相互の関係性の理解を問う出題が多いです。そのため過去問題をたくさん解くのが有効な対策になります。なんとなく数字が分かっていると思っている人も3級を受けて体系的に学ぶのがおすすめです」

ディーファ 代表取締役 公認会計士・税理士 西川 哲也 氏
にしかわ てつや 中小企業で長年経理を担当していた父親の背中から公認会計士になることを志し、1994年公認会計士試験に合格。以後13年間大手監査法人に勤務、上場を目指す非上場の中堅オーナー企業の支援を中心に従事。2007年ディーファ/西川哲也公認会計士・税理士事務所を設立。中小企業の健全な発展のための財務体質づくり・目標設定から、仕組みづくり・組織づくり・人づくりを支援している。

◆会計はビジネスに必須 受験者は12年で2.5倍

 近年、さまざまなビジネスシーンにおいて財務諸表を理解する能力が求められている。一見、専門用語と数字の羅列に見える財務諸表も数値の表す意味やポイントを理解すれば、いろいろな企業情報を読み取ることができる。

財務諸表を読み取る力
 取引先の財務諸表から経営状況を把握していれば、突然の倒産や掛け売り・債権の未回収に伴うリスクを予測することができる。自社の財務諸表を読めば、経営課題や将来性などを知ることができる。

職種を問わず人気
 財務諸表を読み取る能力は経理担当者だけではなく、むしろ一般のビジネスパーソンの常識として要求されるようになってきた。ビジネス会計検定試験は、財務諸表を読み取り、分析する力を問うもので、「財務諸表を作成する力」を測る簿記検定とは相互補完の関係にある。
 昨年度の同検定試験の申込者数は、1万5051人と、この12年で約2・5倍に急増している。
 最近は、新入社員研修の一環としたり、人事考課の評価項目(昇格要件)の一つとして、導入する企業が増加している。会計の知識は、英語や法律知識とともに社会人必須の知識となってきた。同検定試験を通じて、数字に強い人材の育成を。

次回試験は来年3月8日
 来年3月8日に実施される第26回ビジネス会計検定試験の申し込みは、12月24日から来年1月31日まで。



◆合格者の声 森岡 裕登さん 近鉄グループホールディングス
 企業を会計の側面から支えられる人材をめざしたい

 私は、会社の研修で「会計知識はビジネスマンにとっての共通のコミュニケーションツールである」と学び、ビジネス会計検定3級の試験勉強に力を入れ始めました。
 学習方法としては、公式テキストを繰り返し読み、内容を正確に理解するように努めました。また、試験の約3週間前から公式問題集を解き始めました。間違えた問題に関しては、テキストの該当箇所を読み返し、問題の解きなおしを行いました。地道に学習を続けることが合格への鍵であると思います。
 そして、なにより一番大切なことは学習内容に興味を持つことだと思います。学習内容をニュースや新聞の内容に関連付けてみる、自分が興味のある企業を、財務諸表を通して分析してみるなど、学習内容を生活と関連づけると試験勉強も楽しくなると思います。また、そうすることで、ビジネス会計検定が非常に実践的な検定であるという感覚を持ちながら試験勉強に臨むことができるため、モチベーション維持にもつながります。
 ビジネス会計検定3級は、財務諸表分析の基礎を身に付けるには最適だと思います。私自身もこの検定を通して、テレビや新聞の内容が以前より理解できるようになり関心の幅が広がりました。
 これからどのような部署で仕事をするにしても、会計の側面から企業を分析する力は必要不可欠になってくると思います。今後はさらに会計に関する理解を深め、分析力・判断力を高めるべく学習を続けたいと思っています。そして、企業を会計の側面から支えられる人材をめざしたいです。


優良商工従業員268人を表彰
真摯な努力と社業への貢献たたえる

 大阪商工会議所の優良商工従業員表彰式典が11月15日、大商・国際会議ホールで盛大に執り行われた。
 同事業は、会員企業・団体で業績向上に貢献した従業員の労に報いるとともに、一層の士気向上と組織活性化を図る目的で1970年に開始されたもの。表彰は、満25年以上勤務し、業績向上に貢献された従業員を表彰する「永年勤続優良従業員表彰」、満10年以上勤続する従業員を表彰する「中堅優良従業員表彰」、満3年以上勤務し、前年度に社内で最も高い評価を受けた従業員を表彰する「年度最優秀従業員表彰」の3種類。制度創設以来の被表彰者数は2万486人に上る。
 表彰式では、大商の尾崎裕会頭が式辞を述べ、長年わたる真摯な努力と社業発展への大いなる貢献に敬意を表した。さらに「企業・職場における模範として、引き続き業務に精励され、ますますのご活躍を期待する」と激励した。
 続いて、大商の長谷川惠一・人材育成委員長(エール学園理事長)から審査経過に関する報告があり、永年勤続161人、中堅優良58人、年度最優秀49人の計268人が栄えある表彰を受けた。
 最後に、表彰者を代表して、大鉄工業の山田吉博氏が、「持てる力を十二分に発揮し、より一層、社業の発展はもとより、社会の貢献に尽くしたい」と謝辞を述べ、式典を締めくくった。

【問合せ】研修・採用支援担当TEL6944・6421


ルーマニア商工会議所と大商 業務提携覚書を締結

 大阪商工会議所は11月15日、ルーマニア商工会議所と業務提携覚書(MOU)を大商で締結した。このMOUは、両国間のさらなるビジネス関係の発展を目的とし、1994年10月27日に両商工会議所によって署名された「交流促進のための合意書」の協力条項を更新したもの。
 MOUには、大商の尾崎裕会頭とルーマニア商議所のミハイ・ダラバン会頭が署名。大商の古川実副会頭、ルーマニア商議所のトレイアン・カラマニアン事務局長らが同席した。
 尾崎会頭は、「日・EUEPA発効後は日ル間のビジネスは拡大傾向にある。今回のMOU締結を機に、両会議所間の連携を深化させ、両国企業間のビジネスの発展を図りたい」と述べた。
 古川実副会頭は、「2014年に貴国を訪問したが、勤勉で豊富な若年労働力に感銘を受けた。貴国は欧州連合(EU)の極東に位置し、EUへの最も近いゲートウェイとなる。日EU経済連携協定(EPA)の発効もあり、貴国のプレゼンスはますます高まっている」と話した。
 ダラバン会頭は「日本とのつながりは古く、自国の商業船やタンカーの多くは、70年代に日本で製造されたもの。現在ルーマニアでは自動車産業が盛んで、自動車部品メーカーをはじめ378社の日系企業が進出している。とりわけ、同国のコンスタンツァ港をハブとし、ロシアや、独立国家共同体(CIS)諸国への展開も考えられるので、日・EUEPAを機にさらなる投資拡大と貿易促進に期待する」と述べた。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


イタリア貿易促進機構会長が来訪 伊大使館貿易促進部が大阪にデスク

 イタリア貿易促進機構のカルロ・フェッロ会長は11月13日、ルイージ・ディオダーティ在大阪イタリア総領事とともに、大阪商工会議所の古川実副会頭を表敬訪問した。
 フェッロ会長は、「このほど、イタリア産業総連盟加盟の食品・アパレル企業54社とともに初めて来阪し、大阪市内のホテルで展示会を開いた。これまでイタリアの伝統工芸品などは日本市場でも高い評価を得てきたが、食品の輸出に関してはまだまだ拡大の余地があるのでぜひご支援いただきたい」と述べた。
 古川副会頭からは、「日本では、かねてよりイタリアの食品やアパレルの人気は決して低くない。今回のイベントを契機にビジネス拡大につながることを祈念する。一方、大商は10月、世界8カ国からスタートアップを招聘した『グローバル・イノベーション・フォーラム』を開いた。ディオダーティ総領事には開会式にご出席いただいたが、来年は伊スタートアップにもご参加いただきたい」と述べた。
 これに対し、ディオダーティ総領事は「イタリア政府も関西にもっと注目したいと考えている。来年のグローバル・イノベーション・フォーラムにはぜひとも参加したい」と応えた。
 翌日、イタリア大使館貿易促進部の大阪デスクの開所式が行われ、イタリア外務省イヴァン・スカルファロット副大臣、ジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使が臨席。大商からは古川副会頭が出席した。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


駐日コロンビア大使 古川副会頭を表敬

 コロンビアのサンティアゴ・パルド駐日大使は11月27日、大商の古川実副会頭を表敬訪問した。
 古川副会頭は「貴国の投資誘致ではライフサイエンスやエネルギー分野などに重点を置いていると伺っている。また、貴国との経済連携協定(EPA)は日本が交渉中のEPAの中でも、もっとも近いうちに合意されるものの一つと認識している」と述べた。また、「東京五輪・パラリンピックでは大阪府大東市が貴国のホストタウンに選ばれたほか、1970年大阪万博では、『コロンビア館』が出展されたなど、大阪と貴国は交流がある。2025年大阪・関西万博でも出展いただき、ますます大阪・関西とのビジネス交流が深まることを願っている」と話した。
 これに対し、パルド大使は「EPA締結は日本への投資誘致・貿易にとって大変重要になると認識している。日本からは約100社の企業が進出しており、またわが国は万博にも重きを置いている。近年日本の政府・ビジネスでの交流が密になり、大阪・関西の経済はわが国にとって重要。今後も両国間の関係強化に努めていく」と述べた。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


近大流広報テーマに講演 来年2月26日

 大阪商工会議所東支部(支部長=有光幸紀・有光工業社長)は来年2月26日、経済講演会・交流会をホテル京阪京橋グランデ(大阪市都島区)で開く。
 近畿大学の世耕石弘総務部長が「知と汗と涙の近大流コミュニケーション戦略」をテーマに講演する。近畿大学の広報は戦略的なPR活動とメディア戦略を常に意識し、大学界の常識にとらわれない広報を展開。これまでの実例を中心に近大流コミュニケーション戦略を紹介する。
 講演会は午後3時30分〜5時。無料。定員150人。交流会は午後5時10分〜6時。会員1000円、一般3000円。定員50人。1社2人まで。事前申込制。

【問合せ】東支部TEL6358・6111


支部に密着 支部の活動

◆取引先とのトラブルを回避する契約書実務※ 
東支部=来年1月10日午後2〜4時、ニッセイ京橋ビル
南支部=同14日午後6時30分〜8時30分、同支部
北支部=同22日午後2〜4時、同支部
中央支部=同27日午後2〜4時、大商
北支部=同2月7日午後2〜4時、淀川工業会
西支部=同14日午後2〜4時、大阪トヨペットビルで。

会員無料、一般5000円。中小企業で取り扱われることが多い売買や業務委託の契約書サンプルを用いて各条項の内容や見直しのポイントを解説する。リスク対策についての基本的な契約書の知識も学ぶ。

【問合せ】経営相談室TEL6944・6451

◆新規顧客を獲得する商談のコツと営業のしくみづくり※ 
南支部=来年1月16日午後2〜4時、同支部
中央支部=同21日午後2〜4時、大商
東支部=同28日午後2〜4時、ニッセイ京橋ビル
北支部=同2月5日午後2〜4時、同支部
北支部=同13日午後2〜4時、淀川工業会
西支部=同21日午後6〜8時、大阪トヨペットビルで。

会員無料、一般5000円。顧客獲得に向けて営業活動を起・承・転・結の4つのステップで組み立てる方法を学ぶ。

【問合せ】経営相談室TEL6944・6451

※印は大阪府の補助金を受けて実施。


初心者のための貿易ビジネス英文Eメール【入門編】 貿易実務セミナー

 大阪商工会議所は来年1月21日、「初心者のための貿易ビジネス英文Eメール【入門編】」を開く。
 取引のオファーから代金請求まで、貿易実務の様々な場面において、「英文Eメールではどのように表現したらいいの?」「今まで自己流で進めてきたけど、もっとスムーズに実務をこなすために知っておくべき表現は?」など、英文Eメールを使ったビジネスの入門者や貿易実務の初心者も明日から使える基本英文やコミュニケーションの工夫についてみね事務所の峯愛代表が実践を交えて解説する。また、実際の現場からの実例やちょっとした工夫のアドバイスも行う。
 午前9時30分〜午後4時30分、大商で。受講料は会員1万8700円、一般3万5200円。定員40人。事前申込制。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201911/D11191024027.html)に掲載。

【問合せ】国際部TEL6944・6411


都リゾート 志摩 ベイサイドテラス ゴールデンウィーク予約受け付け開始 来年1月1日から

 大阪商工会議所は福利厚生支援メニューとして、会員限定で「宿泊優待サービス」を実施している。このほど、提携施設「都リゾート 志摩 ベイサイドテラス」のゴールデンウィーク期間(来年4月27日〜5月5日)の予約をホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/Jigyou/Fukurikousei/hotel/kashikojima.html)で受け付ける。
 申し込みは1会員1回とし、抽選結果を電話連絡する。第1抽選申し込みは来年1月1〜20日、第2抽選申し込みは同1月21日〜2月20日。
 3月1日以降は同ホームページまたは電話で受け付ける。上記期間以外の予約は随時受け付けている。

【問合せ】会員組織担当TEL6944・6570


会員の皆様に大商手帳進呈

 大阪商工会議所は、2020年版「大商手帳」を会員の皆様に無料で進呈します。一般の方は対象外です。
【期間】来年1月17日まで。在庫がなくなり次第、終了させて頂きます。
【冊数】1会員あたり3冊まで。残数によって冊数を制限させて頂く場合があります。
【方法】会員部会員組織担当と5支部でお渡しします。お受け取りの際に会員証をご提示下さい。また、郵送をご希望の場合は、@会員番号A社名・団体名B担当者氏名C希望冊数を書いた紙と返信用切手(1冊=140円分、2冊=215円分、3冊=310円分)を「大阪商工会議所 会員組織担当 大商手帳係(〒540-0029 大阪市中央区本町橋2の8)」までお送り下さい。

【問合せ】会員組織担当TEL6944・6277


大阪企業家ミュージアム 大阪と北御堂の歴史を振り返る

 大阪企業家ミュージアムは2月7日、講演会「商都大阪と共に〜北御堂からのメッセージ」を開く。
 本願寺津村別院(北御堂)は、1878(明治11)年9月2日に大阪商法会議所(現・大阪商工会議所)の第1回総会が開かれ、五代友厚が初代会頭に選出されたゆかりの地。
 江戸時代から南北両御堂の近隣には仏心に篤い商人が集まり、「船場」の町を築いたと言われている。「御堂さんの鐘の聞こえるところで商売を」は商人の目標となり、商いに精を出したという。
 同講演会では、本願寺津村別院の藤原慶人広報企画室室長が、大阪と北御堂の歴史を振り返り、商都大阪の成り立ちについて講和する。ぜひご参加を。
 午後2〜3時、同ミュージアムで。参加無料。定員80人。事前申込制。

【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


中小企業などの法的課題を解決 無料「法律」相談

 大阪商工会議所の経営相談室は、大阪府内の中小企業や個人事業主、創業志望者などを対象に、経営に関する様々な法的トラブルの相談(要予約、面談のみ)を無料で実施している。
 取引先や顧客とのトラブル、クレーム対応、契約や取引条件、損害賠償の請求、秘密保持、競業避止、商法改正への対応、債権回収、債務整理(任意整理、民事再生、破産など)、事業や株式の譲受・譲渡など、「会社と従業員」「会社と役員」「株式」に関する法律問題など、豊富な経験と知識のある弁護士が親身になって応談する。開設は、月〜金曜日(祝日など休館日を除く)の午後2〜4時。1回の相談時間は30分。予約電話の受け付けは午前9時〜午後5時15分。

【問合せ】経営相談室TEL6944・6472


2019.12.16
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