大商ニュース 平成15年3月25日号

●個性派69店へ4万5000人 天満青物市場の活気再現
【あきない楽市】

 大商は20〜23日、北区の天神天満地域で地域商業活性化事業「あきない楽市」を開催し、期間中4万5000人の人出でにぎわった。大阪天満宮の境内では、“大坂三大市場”のひとつ、天満青物市場の活気を再現した「あきない楽市in大阪天満宮」を開催。野菜や野菜加工品など40テントが出店した。また、天神橋筋商店街やフジハラビルでは、開業希望者による29のチャレンジショップが出店し、商売体験をつんだ。期間中、各会場を回るスタンプラリーを実施。多くの人が、「あきない楽市」のノボリがあふれる商店街を行き交った。

 20日には「天満青物市場から大阪の食文化を考える」をテーマに、シンポジウムを開催。
 基調講演では、長本和子・ict食文化企画社長が「イタリアから学ぶもの〜日々の食事に幸せがかくれている」のテーマで講演。次いで、森下正博・大阪府立食とみどりの総合技術センター都市園芸グループ長や、大阪市中央卸売市場本場市場協会の酒井亮介氏らが「大阪の伝統野菜の復活と今日的意義」について討論した。
 また、昔、地元で栽培されていた天満宮前大根の披露や大阪特産野菜を使った特別レシピの試食会を実施した。
 一方、特設ステージでは、ストリートミュージシャンによる演奏や、伝統紙芝居などさまざまな演目が繰り広げられ、来場者は、楽しいひとときをすごした。
 大正建築が美しいフジハラビルでは、16のチャレンジショップのほか、FM802のカフェや、アート・パフォーマンスが開催され、多くの若者たちが集まった。
 あきない楽市は地域密着型の事業として、来年度も引き続き、地域をかえて開催する予定。
【問合せ】流通担当 Tel. 6944-6493

チャレンジ大賞は 「TOOM」熊谷氏

 最終日には、「あきない楽市チャレンジショップ・アウォード」表彰式が開催され、トンパ文字のジュエリーを扱った「TOOM」の熊谷朋大さん(29)がみごと大賞を射止め、大西副会頭から賞状と副賞10万円が贈られた。
 優秀賞には、商店街でビーズアクセサリーを実演・販売した「K&A」の浅倉愛さん、努力賞には根本香さん、山本佳子さんが輝いた。
 選考委員長の土居年樹・大商小売部会長は、「チャレンジショップの方々の販売風景をみて、商売の原点を再確認できた。なかでも受賞者の方々は、店づくり・まちづくりを学ぶワークショップにも熱心だった。この経験を生かし、ぜひ開業して、商店街でまちづくりに取り組む商業者として次代を担ってほしい」と激励した。


●食品の安全性研究
【5月開始 参加者を募集】

 大商は、5月から開催する「食品安全問題研究会」の参加者を募集している。
 近年、狂牛病(BSE)、食品の偽装表示などの問題が顕在化し、食品衛生に関する国の規制も厳しさを増している。このため食品業界では食品の安全性問題への対応が急務となっている。最新のバイオ技術を活用し、食の安全性に関するリスク評価や食品表示の科学的裏付けを確保するなど、産学で取り組むべき課題は多い。
 そこで、同研究会では、食中毒、BSE、食品アレルゲンなど、食の安全性に関する問題点について最新情報を提供するとともに、産官学の取り組みを紹介。
 また、食の安全性評価に関して早急に取り組むべきテーマを探り、産学協同による研究開発プロジェクトへと発展させることを検討する。
 研究会の座長は荒井綜一・東京農業大学教授、大澤俊彦・名古屋大学教授、吉川敏一・京都府立医科大学教授の3人。
 開催は5月〜04年2月の月1回。
 参加費は、大商会員8万円、一般12万円。
【問合せ】経済産業部ベンチャー振興担当 Tel. 6944-6484


●名簿・会社年鑑など充実
【経営相談室 資料コーナー】

 4月から中小企業振興部経営相談室内に新しく資料コーナーが誕生する。2月末に閉館した商工図書館で特に利用頻度の高かった資料を引き継いだもの。約1400の業界団体名簿、全国の商議所の会員名簿、全国のタウンページ・ハローページなどを所蔵する。
 なかでも名簿は、01年に1000を超す業界団体の寄贈協力により最新版をそろえた。また、全国の商議所の名簿なども02年秋に最新版を収集したばかり。
 その他、会社年鑑、信用録などはもちろん、白書の最新版や全法規集(現行日本法規)、約200の業界新聞、約350種の雑誌なども閲覧可能。
 場所は大商2階。閲覧は午前9時〜午後5時。著作権の許す範囲内でセルフコピーも可能(B4判まで1枚20円)。
【問合せ】中小企業振興部経営相談室 Tel. 6944-6312


観光3団体統合へ
【集客とコンベンション誘致に力】

 大阪の観光関連3団体を統合して4月に発足する新団体「大阪観光コンベンション協会」の概要が決まった。
 統合するのは、大阪府観光連盟、大阪観光協会、大阪コンベンション・ビューロー。国内外からの一層の集客機能強化を目的に、大商、大阪府、大阪市などが中心となり進めてきたもの。存続団体となる同ビューロー(会長=田代和・大商会頭)の理事会で18日、決定された。
 府県と政令指定都市の観光団体及びコンベンション誘致団体の統合は、国内では前例がなく、大阪が全国初。
 新団体会長には、津田和明・サントリー相談役が就任。観光振興とコンベンション誘致を連携させた戦略的PR活動を展開する。
 事務所は、観光客が多く集まる心斎橋に設置し、来訪者の利便性をはかる。
 一方、組織体制面では、会員のニーズに合う専門部会を設置し、会員相互の情報交換の機会を積極的に増やす。
 さらに、専門家を参画させながら調査・研究を行う「集客戦略研究所」を新設する。また、プロモーション機能を強化するため、マーケティング本部長などに民間人を登用する。
【問合せ】地域振興部 Tel. 6944-6323


●10支部に再編
【新年度 機能・サービス強化】

 大商は4月1日から10支部体制となる。支部の事業を活性化し機能を一層強化するため再編する。
 新支部は、地域経済振興の拠点(エリア・チェンバー)としての機能を一層拡充し、新たな交流事業やビジネスイベントを積極的に展開する(所在地など詳細を掲載)。

支部休業のお知らせ

 新支部への移転のため、(1)支部業務を31日は休業(2)支部での新幹線きっぷの販売は3月28日午後3時で終了、4月1日から平常通り。
 なお本部は通常通り業務を行います。


●4月から新紙面
【企業経営に役立つ情報・解説が満載】

 本紙は4月から、大商と大阪工業会の統合を機に、紙面を刷新します。また、発行は10・25日の月2回とし(5月10日号は休刊)、6ページ立てで発行します。なお、年13回(毎月25日号と1月10日号)は、1・6面がフルカラー印刷になります。

大商の活動と視座
 大商の事業、要望・提言などについて活動状況、背景や必要性などを解説する「大商Now」、大商の専門委員会委員長や支部長らが、リレー執筆する「オピニオン」などの連載を開始します。また、新入会員を紹介するコーナーを設けます。

ビジネスを伸ばす鍵
 経営にすぐに役立つ「経営相談Q&A」「経営者のための法務講座」「売上UP虎の巻」「経営革新のツボ」や、業務改善のポイントを指南する「カイゼン講座」などを連載。また、省エネ、税務申告など月替わりの実務トピックを「ビジネス歳時記」として新しく連載します。
 大商主催のセミナー・講習会、部会、イベント、サービス事業などの案内記事は、3・4面へ移し、読みやすくします。

新潮流や先進事例
 新しいビジネスモデルや独自の販売戦略で事業を展開する企業・商業者が「あきないニューウェーブ」に、新分野開拓や新製品開発に果敢に挑む中小メーカーが「モノづくり最前線」に登場します。
 また、最終面は特集ページとし、経済や社会の新たな動きを大商の事業とリンクさせ事例を紹介しながら分かりやすく解説します。

◇次号の4月10日号は大商・工業会統合特集号として、8ページ立てでお届けします。


●大阪新世紀 集客の課題 -18-
【カジノに文化施設加え集客を】

大商集客機能強化委員長 中邨 秀雄

 1932年生まれ。55年関西学院大学文学部卒業後、吉本興業に入社。数多くのタレントを育成し、舞台とテレビの相乗効果で「吉本の笑い」を全国に広めた。91年に社長就任、99年から会長。2000年3月から大商集客機能強化委員長。著書に『元気と勇気とやる気がわきでる本』など。

 当掲載は今号をもって終了します。


マクロミクロ
【大相撲】

 この原稿を書いている今、大阪では春の恒例行事・大相撲春場所の熱戦が展開されている。今場所は大相撲の象徴である横綱が二人とも外国人である。国技だから日本人にも頑張ってもらいたいが、他方で相撲でさえ市場開放がここまで進んだかと思うと嬉しくなる▼市場開放といえば、ウインブルドン現象が有名だ。これは英国が市場を開放した結果、外国企業の参入で国内企業が淘汰されたことで、ウインブルドンを会場とするテニス大会で外国人の参加を認めたところ選手のほとんどが外国人になってしまったことに由来する▼英国はかつて英国病といわれ、長年に亘り国際収支危機、インフレ、低生産性、失業、労働争議などで苦しみ、そこから立ち直れたのは市場を外国に開放したからだ。日本のメーカーが英国から撤退しようとすると、ブレア首相自ら社長に引き止めの電話をかけてくることもあるらしい。それほど外資誘致に熱心なのだ▼日本では漸く官民ともに外資誘致に熱心になってきた。しかしまだまだ規制は多いし、インセンティブは少ない。外資誘致も国際競争であり、・^剣に取り組まないと外国企業の誘致は難しい。
(海)


景気悪化幅広がる 設備投資にも依然慎重
【BSI調査】

 大商など在阪経済3団体は、このほど「経営・経済動向調査」の結果を取りまとめた。これは、四半期に1度実施している企業経営者の景況感を尋ねるアンケート調査で、568社から回答を得た(回答率26・4%)。同結果によると、1〜3月期の自社業況は前期に比べて悪化幅が広がり、回復感に遅れが出ている。また、平成15年度の設備投資については、現時点では5割強の企業しか計画しておらず、目的も老朽施設の更新や合理化が中心で、能力増強など前向きな回答は少ない。さらに、約4社に1社が何らかの海外での設備投資を計画しており、国内経済にとって厳しい結果となっている。

 1〜3月期における自社の業況について、前期(平成14年10〜12月期)と比較して「ほぼ横ばい」と答えた経営者が半数弱(46・4%)、「下降」が3割台(35・2%)で、「上昇」は18・3%に止まった。この結果、BSI値(「上昇」回答割合マイナス「下降」回答割合)は▲16・9となり、前期(▲7・9)と比べて悪化幅が大きくなっている。先行きについては、4〜6月期はBSI値が▲19・1であるが、7〜9月期には▲7・2と悪化幅が縮小に向かうとの期待感もうかがえる。
 企業規模別に見ると、1〜3月期のBSI値は大企業0・0であるのに対し、中小企業では▲32・3と、大きな開きがある。
 次年度の設備投資計画については、「15年度は実施しない」(20・1%)、「14年度実績より減額して実施する」(18・0%)といった慎重な姿勢が目立っている。一方、「14年度実績とほぼ同額で実施する」は22・7%、「14年度実績より増額して実施する」が14・8%という状況。「現時点では未定」という企業も2割強(22・2%)に上った。
 設備投資を実施する場合、その場所については、約7割(69・8%)の企業が「国内のみ実施」と回答した。一方、「国内外とも実施するが、国内に重点を置く」(18・7%)と、「国内外とも実施するが、海外に重点を置く」(7・6%)とを合わせた、4社に1社が海外での投資を計画している。
 設備投資の目的については(複数回答)、6割弱(58・7%)が「老朽施設などの更新・補修」と回答し、次いで「合理化・省力化」(49・5%)、となっている。一方、「能力増強」(35・9%)や「研究開発・新分野進出」(35・6%)といった前向きの投資目的は3割台に止まっている。
【問合せ】経済産業部経済担当 Tel. 6944-6304


●182カ国・地域が活発に議論
【世界水フォーラム】

 世界水会議が主催し、日本政府が支援する「第3回世界水フォーラム」が16〜23日、大阪・京都・滋賀で開催された。
 世界で起こるさまざまな水問題の解決策を探ろうと、各国政府や国際機関、NGO、専門家、企業など、世界182カ国・地域から延べ約2万4000人が参加し、活発な議論が展開された。
 同フォーラムの開催に対し、田代和会頭は、「大阪は淀川河口を中心に発達した都市であり、民衆一人ひとりが水とともに街づくりを行ってきた街。フォーラムでの議論が、水問題の解決にむけた具体的な行動に結びついていくことを期待したい」とコメントした。
 大阪では、国際会議場でフォーラムのうち「水と都市」「水と情報」などをテーマとした57の分科会が行われ、インテックス大阪を会場に、水に関する先端技術を展示する「水のEXPO」が開催された。また、船で市内河川を巡るツアーなどが催され、内外の参加者に「水の都・大阪」をアピールした。


M&A活用促す
【セミナーで相談呼びかけ】

 大商は14日、「企業経営に役立つ! M&Aセミナー」を開催した。約130人の企業経営者らにM&Aへの理解を深めてもらい、活用を促した。
 講演では、レコフの吉田允昭社長が、日本のM&Aの推移や特徴を概説しながら、「大阪では、バブル期以前から、中小企業のM&Aが盛んに行われていた」と指摘。その上で、「買い手は、M&Aの目的とスキームが明確であればあるほど成功する。売り手は、経営資源の集中(リストラ)や後継者難の理由で売却することが多いが、売るタイミングを間違えないことが大事だ」と強調した。
 吉田氏の講演後、大商などで運営している「非公開企業のM&A市場」の概要やメリットを説明。「M&A市場では、公的機関で全国最多の16件の成約実績をあげており、そのほとんどが中小企業。M&Aはうまく活用すれば、中小・零細企業にとっても大きなメリットがあるので、ぜひ気軽に相談してほしい」と呼びかけた。
【問合せ】経営相談室 Tel. 6944-6471


●中国の高成長続く
【朱首相ブレーンと懇談】

 大商は2月28日、中国の朱鎔基首相(当時)の経済ブレーンの陳東h・中国国家発展計画委員会経済研究所長を迎え、懇談会を開催。大商側は、西田健一・国際ビジネス委員会委員長らが出席した。
 陳所長は、「中国の国内総生産(GDP)成長率は昨年8%に達し、今年も同程度の高成長が見込まれる」と述べる一方、「一部には不動産バブル発生も指摘されており、不動産向け融資は抑制されている」とした。
 人民元レートについては長期的視点が必要と強調。中国の成長を支える輸出が、WTO加盟後の輸入急増を受けて1月には貿易赤字となったことに懸念を示し、中国企業の技術力・輸出競争力が依然として低いことなどから、現在はレートを調整する環境にないと述べた。
 また、中国の統計の信頼性については、(1)中央と地方の統計のかい離は、サンプリングの違いがある、(2)財政、輸出など統計との整合性をみると、大きな水増しはないとの見方を示した。


●支部トピックス〈最終回〉

◆2度目の革新に企業経営革新計画を作成
 最近元気で前向きな女性経営者がよく見受けられる。山創(代表者=山本恵子、天王寺区寺田町1-6-32)はその代表的な企業で、二度目の革新に向けて中小企業経営革新支援法の認定を受けるため、パソコンを駆使して計画書を作った。
 同社は内装業を営んでいるが、建築業界は全般的に低迷しており、今までの延長線上の経営努力だけでは業績の安定は図れない。そこで一度目の革新策として、ゼネコン外との取引比率を向上させるため、施主との直接取引を目指した。主な取引先はホテルとパチンコ店であるが、受注を獲得するための差別化ポイントとしてシックハウス症候群が注目される中、化学物質の毒性を排除した環境にやさしい接着剤を使用した。ホテルは多数のお客さんと関わることから好評で、順調に売り上げを伸ばした。
 しかし、経営環境は絶えず変化するもので、これに甘んじることなく今二番目の革新を目指している。この計画を進める中で法的支援を受けるためと、この計画の全体構想を明確にするために中小企業経営革新支援法の認定の計画書を作成した。
 計画は、「暮らしと技術を結ぶ」をテーマに、環境にやさしい材料を、最新技術を駆使して、豊かなデザインで特に自然に人が集う生活シーンをイメージした内装提案を行おうとするものである。ターゲットは、一般顧客を中心に店舗オーナー、賃貸オーナー、そして事業所など。これらの顧客獲得のために、特に介護施設団体、賃貸業者団体とは関係を密にし、定期的に講演活動なども行っている。
 さらにビジュアルな仕掛けとして、同社ビル1階をショールーム(この設置のためマル経融資を活用)に改装し、技術と作品発表の場作りも行う。展示は年4回を計画しており、第1回目としてはすでに「KIGU」というブランドの手作り家具展示が4月に予定されている。

(天王寺東成)

◆マーケティング志向の経営
 東住吉区の南田辺本通商店街に総本店があるこうはら本店養宜館(代表者=鴻原正一、東住吉区田辺4-12-1)は、マーケティング志向の経営戦略(商品開発と顧客創造)で事業を発展させている。
 事業経営のポイントは、優れた品質の商品づくりと効果的な販売方法を複眼的な思考で統合し改良していくことである。同社は売れ筋商品の「とろける塩昆布しいこん」を始めとして10品以上の昆布商品がある。また、その煮汁を用いた佃煮商品が20種類以上あり、顧客はそれらを幅広く組み合わせて贈答用にしたり家族の食卓のおかずにすることができる。
 特に、同社は販売方法が多様である。一つは店舗を商店街や繁華街に出店し、商品の展示販売で商圏を拡大している。この商店拡張は親族や従業員の独立によるチェーン展開である。二つ目はこれらの店舗を地域密着型と位置づけ、来店客だけでなく宅配による高齢者らの生活支援を展開している。
 三つ目は全国的に商圏を広げる方法として、ダイレクトメールによる通信販売で顧客の拡大を図っている。この方式は社長が自ら工夫してノウハウを築き上げた。
 四つ目はインターネットによる販売をホームページ上で行っている。
 五つ目は多角化事業として、ラーメン店や総菜・弁当店を開設し総合力を強化している。六つ目はデパートでの販売はせず、自分の店舗で売ることを信条としている。
 これらの積み重ねられた経営努力は、農林水産大臣賞、水産庁長官賞、大阪府知事賞の受賞や郵政省の年賀くじ景品採用に結実している。鴻原社長は将来の構想として、農園工場や観光事業と組み合わせて事業を発展させたいと語っている。なお、同社の経営理念は、「人の心の温もりを、食を通して演出する」である。

(東住吉)


どう取り組む?環境 〈最終回〉
【環境ISOの有効活用と環境経営】

トーマツ 主席コンサルタント・シニアマネジャー 小野木 正人

関西環境管理技術センター ISO推進室 室長 佐川 直史


あきないニューウェーブ
【こだわりのモダン家具で売上アップ】

大弥リビング

 カルロス・ゴーン社長率いる日産自動車が自信を持って市場に投入する高級セダン「ティアナ」。ウリはモダンリビングを思わせるインテリア。
 ヤコブセン、イームズといったインテリア・デザインの巨匠が生み出した50年代のモダンな家具が流行っている。学生食堂の椅子と見分けがつかないようなグラスファイバー製の椅子が人気と言う。脚がさびた中古の方がビンテージものとして高く売れる。興味のない人には理解しがたい世界だ。
 そんなインテリア家具にこだわる若者たちが集まる店が「スケール」。椅子、テーブル、照明などのインテリアに混じって、Tシャツや食器、チェス。誰が買うんだろうと首を傾げたくなるようなミニチュア家具まで、雑多な小物がところ狭しと陳列されている。
 「当社は百貨店に商品を卸したり、うどん屋の椅子をはじめさまざまな業務用の商品も取り扱ってますが、売り上げが伸びているのはスケールだけですね」と語る大弥リビングの能口仁宏社長。
 若者の人気スポット・南堀江再生の仕掛け人とも言われる能口さんだが、家業の家具屋で働きはじめたころは、3日でやめたくなったと言う。学生時代から音楽やデザイン、情報誌の編集にのめり込んでいた能口さんと旧来の家具屋は周波数が合わなかった。
 そこでDCブランドがブームになっていた86年、心斎橋のファッションビルにデザイナーものの椅子を扱う店をオープン。
 「お洒落で格好いいもんを置いたら、人は集まるやろうと始めたんですが、そんなに甘くはありませんでしたね」
 東京の人気インテリア・ショップ「イデー」とフランチャイズ契約をしたが、これ以上損失を大きくできないこともあって、立花通りの西端にあった倉庫を改築して店舗を構えた。
 「でもね。やっぱり東京の店のフランチャイズでは、全国紙に取り上げてもらえないんですよ。94年の神戸ハーバーランドへの出店を機に、関西独自の店にしていこうと、店名をスケール(定規)に改めました。家具を買う時は寸法が大事でしょう」(笑)。
 以来年20%アップで売り上げを伸ばす。その人気の秘密を問うと、
 「映画やファッション雑誌に載っているような家具がここへ来れば簡単に見つけられるということでしょうか。高級店ではありませんから、ふらっとジーンズ姿で気軽に商品を手に取れます。顧客と同世代の若いスタッフをそろえ、何でも話し掛けやすい雰囲気づくりにも気を使っています」
 昨年10月には「スタイリング・ラボ」という店名で大丸・梅田店にも売り場を構えた。
 「50平方メートルの小さなスペースです。大きな売り場面積が必要な家具は、デパートではやっかいものになりつつありますが、これを成功させてデパートの売り場づくりの範となりたいですね」
 デザイナーを志したと言う能口さん。ラフなスタイルで店頭に立つことも。時代が能口さんの感性に追いついたというところか。

(中川)

<メモ>
▽所在地=大阪市浪速区敷津西1-12-18
▽ Tel. 6632-0101
▽代表者=能口仁宏
▽URL=http://www.scale.ne.jp/
▽資本金=2000万円
▽従業員数=110人


企業経営 経営革新のツボ -16-

市場ニーズから新規事業を探索 -環境変化にビジネス機会-


駅ものがたり -15-
【新大阪駅(JR東海道・山陽新幹線、東海道本線)】

(追手門学院大学教授 宇田 正)





 
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