大商ニュース 4月25日発行
●めざそう!オンリーワン都市(22)
『人類と都市の共生問う "人工の森" 』
〜環境事業計画研究所所長 吉村 元男〜
フランスの国立社会科学高等研究院教授で現代日本研究所長のオギュスタン・ベル
ク博士が先日、日本文化の国際性を高めた功績者に与えられる大阪府創設の第16回山
片蟠桃賞を受賞された。博士が日本滞在中に、小生の設計した新梅田シティの「中自
然の森」をぜひ見学したいとおっしゃられたので、ご夫妻を案内した。博士とは随分
前からお互いに知っていたが、この度、受賞対象のひとつになった『地球と存在の哲
学−−環境倫理を越えて』(筑摩新書1996年)のなかで「中自然の森」を取り上げて
いただき、博士のお陰で、海外にも新しい理念に基づく「都市の人工の森」が知られ
るようになった。お礼の意味もこめて、博士と一緒に「中自然の森」のなかを歩くこ
とは大変光栄であった。博士は前著で、「中自然の森」について次のように紹介され
ている。海外ではこの人工の森がどのような評価を受けているのか、少し長いが引用
してみたい。「こうして現代のエコロジー運動のおかげで、新種の『庭園』は陽の目
をみることになった。人間の創造性はそこにひとつの『自然』を表現するが、その自
然の源泉は近代科学(この場合は生態学)にあり、もはや神話のなかにはない。たと
えば吉村元男が大阪の新梅田シティに自然のプロセスに基づいて作った『中自然』の
ような庭園もある。これらの庭園では、自然がはっきりエコロジーに由来する指向対
象として介入している。この事実がある種の聖性をもたらしている」。
さらにベルク博士は続ける。「このように自然を聖化しようとする傾向は、宇宙に
対する人間の意識の単子論的関係を構造物で表現するという欲求さえも越えて、聖な
る空間を保護する囲い地という古代ギリシャのtemenosoの原則を再発見する
ようになっている。こうしてドイツでは特に都市化の進んだルール地方で、可能なか
ぎりの場所を見つけて、さまざまな規模の生物の生息場所biotopeが設けられ
ている。そこでは誰も破ろうとしない柵に守られて、かつてこの地方に存在していた
植物相と動物相が(もちろん人間に助けられてのことだが)少しずつ再生しつつあ
る」。ベルク博士は、このような聖なる人工の自然が、今日多くのエコロジストを動
機づけ、たとえばよく知られた「地球規模で(すなわち地球の尺度で)考え、局地的
に行動する」という環境への意識や倫理観の一部を形成していると指摘する。この指
摘は都市化によって失われた自然を回復する仕事に従事するものにとって、重大な内
容をもつ。
私たちは、「中自然の森」と北側にある野生の草花の原である「花野」を散策した
後、空中庭園に上った。そして曇り空の下に広がるコンクリートで埋め尽くされてい
る大阪の市街地を眺めた。博士は「中自然の森」の出来映えに満足しているかと質問
したあとで、「都市の自然を回復する同じような作品を作っていますか」と尋ねられ
た。私は「大阪の中之島で平成12年にオープンする大阪国際会議場の造園計画に従事
しています」と答え、その建物は新梅田シティの南方すぐ近くにみえる建設中の工事
現場だと指さした。その建築と造園の基本骨格は、黒川紀章氏のデザインで、1階は
クスノキの樹林群に解放し、その上に建築があるという世界でもここしかないユニー
クな形態になっている。
地上を森に解放して高層建築を建設する手法は、21世紀の高密度な巨大都市の未来
を暗示するだろう。都市化のなかで生みだされる自然は、ベルク博士のいうように
「聖なる自然」を帯びる資格をもつ。だとすれば、大阪で最も象徴的な位置にある水
に囲まれた中之島に建設される国際会議場の新しい森は、中之島全体の水と緑の在り
方に、エコロジーという現代の聖性を生みだし、さらに関西全体のシンボルとしての
中之島に世界の先進的な都市のコスモロジーを植え付ける契機となるだろう。ベルク
博士と黒川氏に触発されて、中之島が人類と都市とのありかたを問いかける世界的な
運動発信基地になればと考えている。
◎略歴
昭和12年生まれ。京都大学農学部卒業後、同43年環境事業計画研究所設立。大阪大
学講師。大阪万博記念公園の設計で日本造園学会受賞。「花と緑の博覧会」ではいち
ょう館総合プロデューサーを努める。同5年には新梅田シティの庭園を手がけた。
●企業と地域の連携を〜都市型コミュニティ研が提言〜
大商は、来たるべき地域主権の時代に向けて、企業コミュニティが地域住民などと
連携して地域の自治や街づくりに参画していくための方策、仕組みづくりを検討する
ため、「都市型コミュニティ研究会」(座長=久隆浩・大阪大学工学部環境工学科助
手)を昨年11月に設置、このほどその報告書をとりまとめた。
報告書は、「都市型コミュニティの意義」「コミュニティ活動の類型」「行政等に
よるコミュニティ活動への支援策」に関する調査研究と、「これからの都市型コミュ
ニティ活動の課題・視点」「地域コミュニティ・まちづくり活動に対する行政支援の
課題・視点」とで構成。
とくに、活動を活性化していくため、活動のコンセプト・メリットの明確化や、メ
ンバーが自らの興味や関心に則して参画できるよう、活動の多目的化・参画チャネル
の多様化などを図るよう提言している。
また、企業コミュニティ活動活性化のための視点や街づくり活動への参画のための
具体的方法、住民町内会など異なるコミュニティとの連携の必要性についても言及し
ている。事務局では、同報告書をもとに、今年度中に「都市型コミュニティ『アメニ
ティ・ソサエティ』の創設・活動の手引き」(仮題)を作成する予定。
【問合せ】経済部TEL:944−6331
●98/99秋冬モード発信〜新進デザイナーらジョイント〜
大阪からのファッション情報の発信強化を目指し、トータルファッション協会と大
阪コレクション開催委員会の共催による「98/99秋冬大阪コレクション」が4月21・
22の2日間、アジア太平洋トレードセンターで開催された。
アジア・パシフィックジョイントステージは、日本、韓国、オーストラリアでそれ
ぞれ活躍中のデザイナーが、また新進ジョイントステージでは、過去の新人ステージ
出身の若手デザイナーら3組4人が質の高いステージを披露、満場の観客を魅了。ま
た、今年も同コレクション常連のコシノヒロコ氏が華麗なステージを披露、会場は連
日大変な熱気に包まれた。
22、23日には新梅田シティで、新進デザイナーによる合同展示会も開催された。
●【就職フェア】6月に第2弾〜インターネットで情報提供〜
大商は6月22〜24の3日間、「大商就職フェア(6月版)」を開催する。
同フェアは、中小企業の人材確保を支援するため、平成5年から開催している合同
会社説明会で、今年の第1回は去る4月8・9日に開催。 130社が出展し2400人の学
生と面談した。今回は第2回目でこれまでのブース出展による合同会社説明会に加え、
新たにインターネットを利用した企業の新卒採用情報サービスを開始。これにより全
国の学生に情報発信が可能となり、就職フェアとの相乗効果が期待できる。
今年の採用活動は昨年以上に早期化しており、事務局では人材獲得のため、同フェ
アの積極的な活用を会員企業に呼びかけいる。
出展料金は会員18万9000円、非会員26万2500円(いずれも1日・税込み)。インター
ネット情報サービスは、就職フェアの出展企業には割引価格で提供。
会員3150円〜15,750円、非会員6300円〜31,500円(税込み)となっている。
【問合せ】経済部・上野TEL:944−6304
●マクロミクロ
『若宮さんと商工稲荷』
大商ビル南隣に「若宮商工稲荷」があるのをご存じだろうか。その前身となる「若
宮稲荷」の起源は豊臣時代にまでさかのぼる▼「私の生まれ育ったのは、ちょうどそ
の辺りですよ」。喜寿を過ぎた老人は懐かしそうに語り出した。「大きな『鎮守の森
があって、子供時分はお寺の鐘が鳴る日暮れまで毎日遊んだものですよ」▼大正から
昭和初期にかけてのころは民家もまばらで、のどかな田園風景が広がっていた。田の
畦(あぜ)道を歩いて帰る風情もあった。「当時の名残をとどめるのは『若宮さん』
だけですね」▼一方、大商では堂島の旧ビル時代から「商工稲荷」を祭祀し、毎年5
月の午(うま)の日に「商工稲荷祭」を挙行していた。昭和43年に大商が現在地の本
町橋に移転した際、両神社の合祀が決まり、「若宮商工稲荷」として再出発、現在に
至っている▼今年の「若宮商工稲荷祭」は5月11日。大阪商工業の振興、会員企業の
発展を祈願する。当日は、祝詞が神職から奏上され、大西正文・大商会頭をはじめ、
地元関係者らが玉ぐしを奉奠(ほうてん)する▼近代化・情報化にまい進する現代社
会にあってなお、古来より受け継がれた人々の祈りが、大阪の経済再生に届くことを
期待せずにはいられない。大阪の未来もまた『神のみぞ知る』ところかもしれない。
(C)
●モノづくりの楽しさ体感〜学生チーム支援企業を募集〜【ロボリンピア】
ロボリンピア開催協議会(大商と大阪市で構成。会長=井植敏・大商副会頭)は、
10月に行う手作りロボット競技会「ロボリンピア98」の概要を決めた。同事業は、技
術系の学生にロボット製作を通じて「モノづくり」の楽しさを知ってもらおうと、平
成4年にスタート。7年目を迎える今回は、大商創立 120周年事業の1つとして位置
づけ、競技種目に工夫を凝らすなど一段と内容を充実し実施する。
ロボリンピア98の核となるのは、ロボット競技会。学生たちの手づくりロボットが
4種目に分かれて競技を行う。種目は、「センシング競走」「玉入れ競技」「縄跳び
競技」に加え、W杯仏大会日本初出場にちなんで「サッカー」を新設。新種目は、1
チーム3台以内の無線リモコン型ロボットを操作し、相手ゴールへボールを入れ、得
点を競うもの。継続の3種目についても、新たなアイデアを引き出すため、ルールや
競技コースに変更を加えた。参加学生は、 105チーム程度を予定。
今年も予選会を行い、予選を勝ち抜いた「選りすぐり」のロボットが、優勝を目指
して、10月18日に扇町キッズパークで行われる本選に挑む。
CAD製図展も同時に開催する。今回のテーマは、「自転車」と「動くおもちゃ」。
技術系学生の創造力豊かな作品を募集する。
現在、学生たちのロボットづくりをバックアップしてくれる支援企業を募集中。参
加費は、1社63万円。詳細は大商産業部内ロボリンピア開催協議会事務局TEL:9
44−6300まで。
●共済制度普及へキャンペーン実施中
大商は4月21日から6月20日までの間、生命共済制度、特定退職金共済制度、個人
年金共済制度への加入推進キャンペーンを展開しています。大商が設けているこれら
の共済制度は、会員企業の福利厚生拡充をお手伝いするのが目的です。大商ならでは
のスケールメリットが生かせ、いつも『大きな安心』がそばにあるこれら共済制度へ
のご加入をぜひご検討下さい。
【生命共済制度】
(1)割安な掛金で大きな保障(2)1年ごとの収支決算により、剰余金は配当金と
して還元する(平成8年度支払い配当実績20%<払込掛金に対して>)(3)掛金が
損金または必要経費となる(4)労災の上乗せ保障として利用でき、業務外の事故に
対しても24時間保障(5)保険期間は1年更新で、変動する経済状況に対応できる。
【特定退職金共済制度】
(1)企業が将来必要な従業員の退職金として積み立てる(2)掛金は全額事業主負
担で、1口1000円から30口まで加入できる(3)掛金は1人につき3万円まで全額損
金または必要経費になる(4)国の制度(中小企業退職金共済)との重複加入もでき
る。
【個人年金共済制度】
(1)毎月の掛金は1口1000円で、5口以上なら何口でも自由に掛金を変更できる
(月払いの場合、希望に応じて半年払い、一時払いの併用も可)(2)年金受給開始
後、6年目から毎年年金額が増加するので、物価の変動に対応(3)満70歳になった
とき、または加入後10年以上が経過し、満60歳以上で脱会されたときに、年金の支払
を開始(4)掛金は個人年金保険料控除の対象になる。
【問合せ】共済事業室TEL:944−6341
●月例会員講演会<第353回>−入場無料−
◆と き 5月21日(木)午後2時〜3時半
◆会 場 大商7階国際会議ホール
◆テーマ 生命研究と21世紀
生命科学者生命誌研究館副館長 中村 桂子氏
【講師紹介】昭和39年東京大学大学院生物化学科修了(理学博士)。46年三菱化成生
命科学研究所入所。同所人間自然研究部長を経て早稲田大学人間科学部教授。平成5
年より生命誌研究館副館長。8年より大阪大学連携大学院教授。最先端の生命科学を
基本に日常接する生きものの本質を理解する「生命誌」という新分野を開拓。著書に
は『生命科学と人間』『生命誌の窓から』など多数。
【問合せ】企業研修部TEL:944−6421【定員】700人
※申込みは不要ですが、満員の節は入場をお断りする場合があります。また写真撮影
および講演内容の録音は全面禁止します。
●企業間の人材橋渡し〜7月3日に交流会〜
大商は7月3日、大商会議室で「第1回人材情報交流会」を開催する。これは人材
保有企業と求人企業が一堂に会する人材情報の交換会。中高年を中心とする有用な人
材の活用と労働力の流動化を図るため、大企業の技術者や即戦力となる人材を中小企
業に橋渡しする。
大商はこれまで「人材情報プラザ」を常設し、登録された大企業の人材提供情報と
中小企業の求人情報をマッチングしてきた。しかし、企業の相互交流を図るため、昨
年に続き同交流会を開くことにしたもの。今回は人材情報プラザへの登録企業に加え、
資本金5億円以上の人材保有企業と従業員30人以上 200人未満の求人企業に広く参加
を呼びかけている(人材紹介・あっせん業は不可)。参加費は、人材保有企業が1社
30,000円、求人企業が1社10,000円(ブース出展料含む)。申込締切りは5月8日。
【問合せ】中小企業相談所人材情報プラザ・大谷TEL:944−6473
●7兆円減税を要望〜【在阪経済5団体】社会資本整備の充実も〜
大商は13日、在阪経済五団体の連名で、「経済対策に関する緊急要望」を政府・与
党に建議、総額7兆円以上の減税を早期に実施することや社会資本整備のために公共
投資の増額を強く要望した。
3月に総額16兆円を上回る過去最大の総合経済対策が与党3党から発表されたが、
具体的な内容については不明確な部分が多い。この経済の危機的状況から早急に脱し、
民需中心の自律的な成長軌道に乗せるためには、消費・投資マインドを好転させ、実
体経済の回復に結びつく大型減税などの実施が必要不可欠である。そこで本要望では、
大型減税を含む経済対策を直ちに実行するよう強く求めている。
具体的には、総額7兆円以上の減税を早期に実施すべきとし、その内容として(1)
法人税の実効税率の40%以下への引き下げと投資減税の拡充(2)最高税率の引き下
げなど過度の累進税率の緩和による所得税・住民税減税(3)住宅、福祉、教育、子
育てなどにかかわる政策減税の充実・強化を要望。
また、公共投資については、従来のようなばらまき型ではなく、情報通信、国際ハ
ブ空港、幹線道路、地球環境、医療福祉、教育など、真に必要不可欠な社会資本整備
のための公共投資増額を要望した。
●【GVF】世界から "ハイテクベンチャー" 集う〜パートナー提携の好機〜
グローバル・ベンチャー・フォーラム(GVF)開催協議会(大商、大阪府・市で
構成。会長=大西正文大商会頭)は、10月22・23の両日に開催するGVF98のビジネ
スプラン発表企業を募集している。
GVFは、優れた技術や製品、ビジネス・アイデアを持った内外のベンチャー企業
に、ビジネスパートナーや投資家との出会いの場を提供する国際ハイテク商談会。募
集対象となるのは、(1)情報・通信(2)医療・ヘルスケア(3)環境・エネルギ
ー(4)新素材の4業種に属し、販路開拓、生産提携、技術提携、合弁、資金提供な
どを求めるベンチャー企業。発表企業は、全国から集まる聴衆企業に自社のビジネス
プランをプレゼンテーションすることができるほか、関心企業との間で個別商談を行
うこともできる。締め切りは6月15日。応募無料。
【問合せ】国際部GVF担当・槙山、辻TEL:944−6403、※URL=ht
tp://www.osaka−ccl.go.jp/gvf/
●どう取り組む?環境<新連載>
「環境の世紀」といわれる21世紀を目前にして、企業にとって環境問題への対応は
待ったなしの状況にある。このため大商は、企業の環境への取り組みを支援する事業
を積極的に展開している。本コーナーでは、まず大商が重点的に取り組んでいる「地
球温暖化防止対策」と「資源循環型経済社会の実現」について2回にわけて紹介し、
その後、各企業が環境問題にどう取り組んでいけばいいのか、実例を交えながら解説
する。
◇ ◇
【地球温暖化防止対策について】
昨年12月に、2000年以降の炭酸ガスなど温室効果ガスの排出削減について協議する
地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催された。同会議は、人類の将来を左右す
る重要な国際会議で、世界各国から1万人近くが京都に集まるなど、大きな関心を集
めた。
地球温暖化の防止対策には、大きく3つの手法があるといわれている。1つが企業
や市民などの自主的取り組み。2つ目が、省エネ法などの規制の強化。第3が、融資
や補助金、あるいは課税などの経済的手法である。
大商は、このうち企業の自主的取り組みが温暖化防止に大いに役立つと考え、京都
会議の開催にあわせて、地球温暖化防止のための企業行動ガイド「5アクション プ
ラス1」を取りまとめた。
これは、企業に温暖化防止の重要性を今一度認識してもらい、工場やオフィス・店
舗などで自主的に取り組んでもらいたい行動をコンパクトにまとめたもの。「再生品
を優先的に使いましょう(OA用紙を再生紙にするなど)」、「ゴミゼロをめざしま
しょう(包装の簡素化など)」、「エネルギーロスをなくしましょう(アイドリング
をしないなど)」、「自然と仲良くしましょう(ソーラーシステムの導入など)」、
「エコビジネスにチャレンジしましょう(省エネ機器の開発販売など)」の5つのア
クションと、プラス1として「身体をきたえましょう(エレベーターを使わず、階段
を利用するなど)」を行動項目としてあげ、それぞれ具体的な取り組み内容を例示し
企業に配布した。
また、11月には「どう取り組む?地球温暖化防止」をテーマにシンポジウムを開催。
温暖化防止に向けて、企業はどのように取り組めばよいかを巡って、企業や消費者団
体、環境NGOの代表がディスカッションした。
COP3において、日本の温室効果ガスの削減目標が、2008〜12年をめどに90年に
比べて6%と決まったのを受けて、会員企業を対象に調査を実施。会議の成果に対す
る評価と、今後の温暖化防止への取り組みなどを探った。
この結果、6%の削減目標は厳しいととらえる企業が53%みられた。一方、「これ
まで以上に取り組みを強化したい」「これから本格的に取り組んで行きたい」とする
企業が合わせて72%みられ、「これまでと同程度に取り組みたい」を合わせると9割
を超える企業が温暖化防止に取り組むとの考えであることがわかった。
大商は、こうした企業の取り組み意欲を支援するため、今後とも適宜必要な情報を
提供するとともに、今年度中に「省エネセミナー」を3〜4回開催することにしてい
る。前記調査で、温暖化防止のために重点的に取り組む内容として、「工場での省エ
ネの推進」や「オフィスにおける節電の徹底」を挙げる企業が多かった。このため、
同セミナーでは、企業に具体的な省エネ方法をアドバイスするとともに、必要に応じ
てコンサルティングも行う予定である。(産業部産業振興担当 原田陽子)
●起業家群像(29) 文:加藤 勝美(フリージャーナリスト)
『 "40人の志士" 従え業界トップに〜コングレ 隈崎守臣 社長〜』
大手の国際会議運営会社の再建に住友銀行から派遣され、思い切った再建策を打ち
出して業績は向上、社員から歓迎されたが、社長とは対立し銀行に戻されてしまった。
すると社員の40人が会社をとび出し、新会社を設立して隈崎(くまさき)さんに社長
就任を迫った。
この年90年は、大阪で花博が開かれ、天保山に海遊館がオープンした年にあたる。
初めは40人が入れる部屋を借りる金がなく4カ所に分散、なかには暑くても錆(さ)
びついて窓が開かないとか、焼きとりのにおいが訪れる事務所もあったが、以来、8
年、国際会議の企画コンペで「連戦連勝」して業界トップに。APEC大阪会議、ア
ジア開発銀行総会、国際エイズ会議、地球温暖化防止京都会議といった数々の実績が
その実力を物語る。
また、海遊館、咲くやこの花館、文楽劇場などのガイドスタッフはすべて、コング
レの教育を受けた人たちばかりで、必要な専門知識も勉強して身につけており、意欲
がなければ勤まらない。
同社の力の秘密の一端は、その採用試験のレベルの高さからもうかがえる。国語、
英語、数学、地理、作文があり、驚いたことに、筆記試験の後で行われる面接試験に
はさきほど行われたばかりの筆記試験の採点表が面接委員の手元に届く。大卒採用試
験の応募者240人に合格1人、東京の倒産した同時通訳派遣会社の社員たちも多数
応募してきたが、筆記試験の段階でみな落ちたという。
「素材重視、そしていい教育をし、いい成果を上げる。それ以外に決め手はありま
せんが、それ一本槍(やり)でここまで来ました」
関西学院大学法学部をトップで卒業(昭和6年生まれ)、住友銀行に学校推薦で入
行したが、外資系、サービス業、メーカーなどいろんな業種の再建に携わって20年、
「バンカー落第生を絵に描(か)いたような人間」と自信に満ちて(?)言い切るそ
の体験が生かされているようだ。
もう1つの力の秘密は隈崎さんが『研究開発費』と称する自主企画の実施にある。
国際会議の請け負い会社として、他社のように発注者の懐をあてにするだけでなく、
自分のリスク負担でイベントも企画する。「新幹線の300キロの風圧は窓から手を
出さないとわからない。手を出すことでたくさんのことがわかる。それで本当の情報
が入って来て、新しいビジネスチャンスが生まれ、若い社員の勉強にもなる」
一昨年10月には通訳養成学校「コングレ・インスティテュート」大阪校を開校、名
古屋、広島にもできた。これもリスク負担の1つで、「地域の国際化に貢献する」が
スローガン。大阪オリンピックも念頭にある。この学校は同社の通訳部、翻訳部と交
流して、国際会議に同伴したり、翻訳のアルバイトもするという実学の場でもある。
映画、テレビの映像翻訳コースもあるのがユニークだ。
現在、全株式は社員たちで持っているが、いずれ株式を公開し、海外市場でも資金
を集めて海外にも進出するという『大きな』目標を目ざしている。
【企業概要】設立=平成2年、資本金=9900万円、従業員=300人、事業内容=国
際会議及び国内会議の企画運営・イベントや展示会の企画運営、通訳・翻訳・人材派
遣・調査・コンサルティングなど、連絡先=大阪市北区曾根崎2−5−10梅田パシ
フィックビルディングTEL:06−311−3331
●経営相談Q&A(48)
『対中合弁の解消は、契約書に明記を』
【Q】中国の合弁会社を解散し、撤退を検討しています。解散、撤退に際して、法的
な問題あるいは合弁契約上パートナーとの間で、とくに留意すべき点を教えてくださ
い。また解散時合弁会社の債務に対する親会社の責任についてもおたずねします。
【A】合弁契約期間中の解散については、中外合資経営企業法により認められており、
投資元本の回収も保証されています。ただし董事会(わが国の取締役会と株主総会の
機能を併せた最高権力機関)において定款の改正、解散、資本金の増資と譲渡、合併
の4つの重要決議事項は全員一致の決議が義務づけられています。したがって合弁パ
ートナーが決議に反対すれば解散ができません。
合弁契約書に上記の重要決議事項に優先する解散条項が具体的に明記されており、
あらかじめ董事会全員一致による解散決議を予定しておけば、事後スムーズに解散が
できます。一般に解散事由としては(1)親会社の倒産(2)経営悪化のため合弁会
社の継続が不可能(3)赤字経営が3〜4年以上継続(4)累積損失が登録資本金の
70〜75%に達した時点などがあげられます。これに関連する撤退条項としては(1)
撤退側の出資金の売却価格の決定方法(2)パートナーが買い取らない場合の第3者
への譲渡の方法、価格決定方法などが明記されます。解散が成立すれば、精算委員会
を設けて手続きを行い、残余資産は出資比率に応じて分配されます。
パートナーが解散に反対し、かつ合弁契約書にこのような解散条項や撤退条項が具
体的に明記していなければ、出資金を不利な条件で、最悪の場合は無償で譲渡せざる
をえなくなることもあります。
なお撤退後、パートナーが民族企業として事業を継続するときは、合弁会社の商号
の変更や親会社との間で結ばれていた契約を解除する必要があります。外資系企業の
法人形態は有限責任公司で、合弁会社に対する親会社の責任の範囲は、引き受けた出
資額を上限とする有限責任です。
一般に中小企業の撤退は身動きができなくなってからのものが多く、不利な条件で
撤退するケースが目立ちます。なるべく早く専門家に相談してください。
(経営相談室 庁 勝TEL:944−6471)
●後継者の育成に腐心〜相続税制の改善求める声相次ぐ〜【事業承継調査】
大商は、このほど「事業承継に関する調査」の結果をとりまとめた。同調査は、わ
が国の経済発展を支えてきた中小企業の多くが世代交代の時期にあることから、中小
企業の事業承継における問題点を把握するとともに、その解決策を探ることを目的に
大阪市内の中小企業3300社に対し実施したもので、 860社から回答があった(有効回
答率26.1%)。
今回の調査では、回答企業 860社のうち、後継者を決定していない企業が 470社
(54.7%)あり、後継者の選定という事業承継の第一歩すら踏み出していない中小企
業が過半数を占めることが明らかになった。その理由として、「現代表者・社長自身
がまだ若いので考える必要がない」というものが最も多かったものの、「後継者にし
たい人がいるが、本人が承諾しない」や「廃業を考えている」といったものも少なか
らずあり、経営環境が厳しく将来に対して明るい展望が開けない現状において、後継
者難に悩む中小企業が多いことがわかった。
一方、すでに後継者を決定している企業は、回答企業 860社のうち 385社(44.8%)
あった。しかし、事業承継に際し、「後継者の経営能力の向上」に困っている企業も
多い。また国際競争の激化や規制緩和などかつてない構造変革期において、従来どお
り現経営者と同族であるからといった理由のみで事業を承継・継続できる環境ではな
くなってきた状況がうかがえる。
その一方で、所有と経営が一体化した中小企業では、「会社の信用が社長の信用」
であるため、同族以外への事業承継が困難であるといったことも推測された。
事業承継に関する政府への要望としては、相続の際に、会社の株式が実力以上に高
く評価されることの是正を求める声が相次いだ。
今後、日本経済の新たな発展のためには、中小企業が変化に的確に対応し、活力を
取り戻すことが必要で、その前提として円滑な事業承継が可能となる環境を早急に整
備することが求められる。
●『食』の祭典へ参加店募る
大商・大阪市などが参加する食都大阪推進事業開催委員会(会長=大西正文大商会
頭)は7月17日〜8月9日、「食都大阪 '98味の競宴」を開催する。これは大阪の
「食」の魅力を広くアピールするため、市内の飲食店・レストラン・ホテルなどの参
加を求め、グルメファンにさまざまな味を楽しんでもらい、「食い倒れのまち」を体
験してもらおうというもの。
ホテル・飲食店などによる協賛メニューや、イベントのほか、参加店舗などを告知
したグルメガイドなども作成する。
<募集要項>特別協賛メニューを3000円〜30,000円の5つの価格から選んで参加。
参加金=1店舗につき50,000円。応募締切は4月30日。
【問合せ】同推進事業事務局TEL:910−0147
●(募金にご協力を) "大阪の森" 今秋オープン
大商では、平成2年に開催された「国際花と緑の博覧会」の理念『自然と人間の共
生』を継承した実践活動として「大阪の森」づくり事業を、平成4年から実施してい
ます。
同事業は平成10年度までの7年間、会員企業の方々からご寄付を仰ぎ、北区の扇町
公園に大規模植樹を行い「大阪の森」を作ろうというものです。
同事業も今年1年を残すのみとなり、この秋には大商創立 120周年記念事業の一環
として、植樹祭・記念碑除幕式を行う予定です。しかし、これまでのご寄付の累計は、
目標額に今一歩のところです。そこで本年度分の協賛金の拠出につき、会員企業の方
々に特段のご理解・ご協力をお願いします。
<募金要項>
【本年度目標額】3000万円
【協賛金】1口10,000円(3口以上賜れば幸いです)
【問合せ】プロジェクト推進部TEL:944−6333
●VB支援体制を紹介〜英文情報誌「大阪ビジネス」で〜
大阪対外ビジネス・プロモーション協議会(大商、大阪府・市で構成)はこのほど、
英文経済情報誌「OSAKA BUSINESS」24号を発行した。
本号では、新規事業の創造を積極的に支援している大阪の支援体制とベンチャービ
ジネスの成功例を取り上げている。
また、関西国際空港の開港、APEC大阪会議などを機に、相次いで誕生している
外資系ホテルのひとつとして、昨年5月にオープンしたリッツ・カールトン大阪を取
り上げ、集客都市大阪の可能性について考察。
同紙は、在日外国政府公館、外国人ビジネスマン、外資系企業などに広く配布する
予定。
【問合せ】国際部・名越TEL:944−6400
●商店経営のかんどころ(1)
『販売を科学する〜情報の収集・分析に努めよう〜』
田阪経営研究所 代表 田阪 薫(たさか かおる)−中小企業診断士−
97年の商業統計速報によると、全国の小売商店数は九四年調査より 5.4%減少した
が、年間販売高は 3.1%伸びている。しかし、大型店やコンビニエンスストア、専門
スーパー等の業態は伸びているが、小規模専門店は大きく落ち込んでいる。消費者は
カネをもっていないわけではないのに小規模専門店はなぜ売れないのか、販売の原点
に立ち帰って考えてみたい。
商店経営にとって、売上高の確保が何よりも重要である。その売上高は「客数×客
単価」で表される。売上高減少の原因は客数の減少か客単価の減少、あるいは客数、
客単価とも減少、のいずれかである。
◆「客数減少の原因」−購買率に注目
ここでいう客数は購買客数を意味するが、来店客の中には買わない客もいる。購買
客と来店客の割合を購買率というが、この購買率が下がっている場合は、その原因を
細かくチェックする。例えば、品切れ、売価のミスマッチ、接客技術の未熟さ等々。
購買率は下がっていないが、来店客数が減少している場合は(1)店前の通り(商
店街等)に通行客は多いが来店率が低い場合、(2)店前の通り自体に通行客(来街
者)が少ない場合がある。
(1)の場合は店頭での訴求が不十分なので、ファサード(外装)の目立ち具合、
ショーウインドーのディスプレイ、店頭の開放度、看板、照明などについてチェック
してみる。
次に、(2)の場合は、消費者の来街頻度の減少と商圏の構造変化の2通りが考え
られる。前者の場合は来店(来街)を促進する広告・イベント等の販売促進活動を行
う。また、後者は人口減少、大型競合店の出店、商圏外への流出増加などが考えられ
る。このような商圏の構造変化が起きている場合には、商店街診断を受けることを薦
めたい。
◆「客単価減少の原因」−購買個数に注目
客単価は「販売単価×購買個数」で表される。客単価低下の原因は平均販売単価の
低下か購買個数の減少、あるいはその両方である。
一般的に、バブル後は価格破壊が進んでメーカーも低価格商品を多く生産するよう
になっているので、特に、仕入の際意識しなければ売り場の売価水準が下がっている
可能性もある。一度、取扱商品の売価を品種ごとに調べてみる必要がある。
また、客1人当たりの購買個数は節約ムードの浸透により減少傾向にあるが、店と
しては商品の陳列場所や提示方法に問題はないかチェックしてみる。
このように売上高の減少要因を検討するが、この場合期間の平均値だけでなく、季
節、月、曜日、時間帯ごとにどのような違いがあるのか、また、天候や気温によって
どう違うか等も加味する。なぜならこれらの要因が消費者の心理や購買行動に大きく
影響するからである。
流通業の経営は、製造業の科学や合理性重視の経営に比べ経営者の経験や勘(感性)
に依存するところが大であった。しかし、それだけでは多様化する消費者が見えなく
なってきている。既に一部の先進的流通業においてはコンピュータを活用した高度な
情報管理に取り組んでいるが、大方はこれからというところだ。
特に、小規模専門店には販売情報の収集や分析といった作業の負担は大きいが、何
か1つでもできるところから取り組んでほしい。
●【未公開株の売買市場】創業間もない企業も低コストで資金調達
未公開株の売買市場に注目が集まっている。大蔵省の行政指導により日本証券業協
会が自主ルールを定めて禁止してきた未公開株の売買が昨年7月に解禁されたからだ。
これを受けインターネットを利用して、ベンチャー企業が直接資本市場から資金調達
できる新たな仕組みが整いつつある。
◆インターネットを活用
未公開株市場開設の先べんをつけたのは、コンサルティング会社のディー・ブレイ
ン(東京都町田市、社長=公認会計士・出縄良人氏)だ。同社はインターネットを使
ってベンチャー企業の情報を提供し、出資を募る「ベンチャー投資マート取引システ
ム、略称=VIMEX(ヴァイメックス)」を開設した。運営は、系列のディー・ブ
レイン証券が行う。
仕組みはこうだ。まず資金調達を望むベンチャー企業は、事業の社会性や財務内容、
リスク、ディスクロージャー水準などに関する審査をパスすればVIMEXに登録で
きる。登録に要する諸費用は、「店頭公開」の10分の1程度と安いうえ、公開にあた
っての数値規制もない。
一方投資家も、取引に参加するには情報を公開し会員になることが必要だ。これに
より、不良株主を排除できるほか、ライバル会社への技術情報などの流出を防ぐこと
ができる。そのうえで投資家は、インターネット上でベンチャー企業の情報や株価を
確認し、自己責任のもと投資の判断を行う。不明な点は自らインターネットを通じて
企業側に質問ができ、その回答も公開される。
気になる株価だが、例えば企業が増資する際の募集価格は、(1)時価純資産価額
(2)類似業種比準価額(3)将来収益現在価値還元価額−−をもとに登録企業がデ
ィー・ブレイン証券と協議して決定。その後ネット上に売買の気配値が示され、後は
需要と供給で株価が決まる。
現在VIMEXに登録を済ませたのは3社、審査中が10社で、希望は 100社を優に
超える。登録第1号の芙蓉インテリジェンス(東京都千代田区)は5000万円を調達す
るなど、滑り出しも順調だ。株価も額面50,000円の株式が昨年12月に初値で53,000円
を付け、その後一時は58,000円まで値を上げた。売買高の累計は 400株になる。
このようにインターネットの利用で、未公開企業でも公募するような株主募集がで
きるようになった。投資家の理解さえ得られれば、創業後間もなくて売り上げが無い
企業でも、資金調達が可能になる。有利な株価で時価発行増資をすれば、銀行借入よ
り調達コストは低くてすむ。資金需要がおう盛な成長途上の企業にとってメリットは
大きい。
◆大阪でも同様の動き
こうした動きは大阪にも広がっている。昨年末には、公認会計士の細川信義氏らが
中心となり、未公開株専門の「エンゼル証券」を設立した。基本的な仕組みはVIM
EXと同じだが、ベンチャー企業の育成により力点を置く。こちらはまだ取引は成立
しておらず、登録へ向け、現在数社を審査中だ。「素質や才能ある経営者をいかに発
掘するかが今後の課題」と細川氏は語る。
◆米国の未公開株市場
日本とは異なり、米国では未公開株市場が発達している。全米証券業協会が作った、
5500社の株式の売買気配値を専用端末に掲載する電子掲示板「OTCブリティンボー
ド」や、民間会社のNQBが毎日発行する、ベンチャー企業2400社の株価を掲載した
情報紙「ピンクシート」が代表的だが、このほかにも全米各地に「ローカルマーケッ
ト」があり、株式流通市場のすそ野は広い。これらの未公開株市場は、NASDAQ
(米国の店頭株式市場)への登竜門であると同時に、NASDAQ登録を抹消された
株式の流動性を確保する「安全弁」の役割も果たしている。
◆株式直接購入プラン
近年、米国の大企業を中心に普及しているのが「株式直接購入プラン(DSP)」
だ。これは、投資家が毎月一定額を積み立てて、株式を発行している企業から直接株
式を購入。受取配当金も株式購入に再投資されるというもの。企業はインターネット
上のホームページで投資家向けに情報を提供。それを見た投資家は、初回投資金額を
添えて企業に直接申し込むだけでDSPに参加できる。企業は個人株主の確保や自己
資本充実などに、投資家には売買手数料の節約などのメリットがある。現在日本では
投資家が株式を直接購入することはできないが、米国のDSPは株主と企業との関係
について示唆に富んでいる。(森松)
◇ ◇
◎ディー・ブレインTEL:03−3435−8788
◎エンゼル証券TEL:06−456−3600
●チャレンジする中小企業
『アムテック〜人工透析の技術大市場へ応用〜』
「小粒でも光る会社といわれるために、医療という一番シビアな業界で実績を積み
重ねてきた」とアムテックの中山章三社長は今日までを振り返る。
同社は、人工透析機器向け洗浄剤で国内トップのシェアを持つ医療・食品衛生関連
のベンチャー企業だ。防カビ剤の研究開発からスタートした昭和61年の創業当時から、
医薬関連製品の研究開発に取り組んできた。なかでも、中山社長が創業以前、人工透
析機器の営業をしていた経験から、「環境にやさしく、殺菌と洗浄を同時に行える洗
浄剤が必要」と考えて、たった1人で実験を繰り返し、その開発に全力投球した。
当時の人工透析は、ろ過器の性能向上に伴い、従来のアセテート透析からバイカー
ボネイト透析に移行し、新たな問題を抱えていた。それは機械の内部にタンパクや脂
肪が付着し、それが栄養源となり細菌繁殖の培地の役目を果たすことだ。ところが、
これまでの洗浄方法では、残留したタンパクや脂肪を除去できないために菌の繁殖を
完全に抑えきれなかった。さらに機械の内部に付着した炭酸カルシウムを除去するた
め酢酸洗浄を必要としていたので、下水管を破壊するなど環境面でも問題があった。
こうした点に着目し、試行錯誤を繰り返した結果、3年を費やして完成したのが人
工透析装置用イオン洗浄剤「QC−70」だ。これは界面活性剤で汚れをはがし、分
解させるもの。洗浄作業も、1回2時間と半分に短縮。酸による機器や排水管の傷み
がなく、環境への配慮も可能になった。
この開発に成功したことで、中山社長が創業当時から描いていた戦略が実現される
ことになった。つまり、15億円程度と市場規模の小さな人工透析分野での実績を背景
に、より大きな市場である食品工場の洗浄での展開を始めた。
平成7年には「QC−70」を改良し、食品工場向け洗浄剤「QC−70S」を開発し
た。現在、食品業界ではPL法の施行やISO9001の発効により、衛生や環境へ
の配慮が従来以上に厳しくなっている。そのため、従来品に比べて殺菌能力が高く、
排水基準もクリアできる「QC−70S」の全国の食品工場での導入が進められている。
「わが社の原点は人工透析にある。これと複合的にどこかで重なっている事業分野
を開拓していきたい」という中山社長の方針のもと、開発された製品には、例えば海
泥を利用した石鹸「ジュラ紀」がある。これは当初、透析で肌が乾燥しかゆみに悩ま
される透析患者向けに開発したもの。清浄作用と保湿作用をあわせ持ち、ミネラル成
分も含有していることから、アトピー性皮膚炎の患者にも好評だ。
今年4月には、「ろ過膜再生システムと装置」を開発した。これにより、従来は使
い捨てだったろ過膜を3、4回再利用できる。この装置は医療分野のほかにも、半導
体製造や食品加工などのピュアな水を必要とする領域にも応用できる。ろ過膜は1本
100万円以上するうえ不燃物であるため、再生利用が可能になったことで、ユーザー
の負担も小さくなり、環境保全にも貢献できることになった。
平成9年決算では、売上高も4億9000万円と順調に推移し、今後は年率3〜5割程
度のアップを目指している。「今、ないものを開発するのがベンチャー企業の宿命。
だから研究開発費に売上高の3%以上を確保したい」と言う中山社長は産学共同研究
を通じて新分野の研究にも熱心だ。人工透析というニッチ市場での専門性の高い技術
力を武器に、大きな市場を目指している同社の今後に注目したい。(永松)
<メモ>▽所在地=大阪市北区天神西町5−17▽TEL:366−0228▽代表
者=中山章三▽事業内容=業務用・医療用洗浄剤、医療用機器の製造・販売▽従業員
数=12人▽資本金=2400万円
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「中小企業のための人事・労務管理」は、しばらくの間、休載します。
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●商店街へいらっしゃ〜い(9)
『千林商店街』
大型店の進出に神経をとがらせる商店街が多いなか、互いの共存共栄を掲げている
のが「千林商店街」だ。ダイエー発祥の地として知られる同商店街には、衣料・身の
回り品や食料品、家具・家電、宝飾品などの小売店に混じって、トポスやニチイのほ
か、公設市場が96年にリニューアルした「暮らしエール館」などの大型店が出店して
おり、にぎわいを見せている。
しかし昨年1年で、近隣に関西スーパーやライフなど計6店が一気に出店したため、
かなり客足を奪われた。さらに景気の悪化で消費者の財布のひもはますます硬くなる
一方だ。危機感を強めた同商店街は、これまで年四回行っていた売り出しを、毎月第
1金曜日に開くことにした。さらに大型店に、チラシ広告を頻繁に入れるよう働きか
けることもあるという。「大型店が撤退するようなことになれば、商店街も元気を失
う。大型店の戦略を商店街がいかに上手く取り込んで、活性化につなげていくかが課
題。そのためには彼らをリードするくらいのつもりでないと」と言うのは、同商店街
振興組合常務理事の田中治夫氏。「高度化資金などを利用できるように、隣接する商
店街や大型店、金融機関などで構成する協議会を、将来は法人組織にしていきたい」
と抱負を語る。
手作りのイベント開催にも意欲的だ。大阪工業大の学生らによる千林公園でのコン
サートや、幼稚園児による街角絵画展などはその典型。さらに同商店街が京街道と野
崎街道の起点であったことから、街道をテーマにした街のPR方法も検討している。
また新たな取り組みとして注目されるのが、千林の名物商品を育てようという試み。
3年間継続して製造・販売することを条件に、商店街が個店に助成金を出す。その結
果、ケーキ、豆腐、蒲鉾、饅頭などで新たにオリジナル商品が生まれている。今後さ
らに商品の種類を増やしていく予定。「この中から大阪・関西の名物が育ってくれれ
ば」というのが商店街の願いだ。(森松)
<メモ>千林商店街振興組合TEL:951−2647、理事長=山本正夫
●お知らせ
◆大阪トライウォーク '98
10キロコースから30キロコースまで4コースが設定されたウォークラリー。5月3
日。参加費 300円。
◎大阪21世紀協会TEL:942−2005
◆起業家トップセミナー
関西ニュービジネス協議会など主催。樋口廣太郎・アサヒビール会長の特別講演の
ほか、成功している有名起業家を招いたパネルディスカッションなどを行う。5月7
日午後1〜6時、日本経済新聞社大阪本社で。参加費15,000円。
◎同社TEL:943−4105
◆「店づくり振興スクエア」日曜も開館
南港ATCにある店舗の新改装、商品陳列法など経営のハード、ソフトの情報を提
供する同スクエアが、5月10日から日曜日も開館します(水曜と祝日は休館)。また
専門家による相談日も、デザイン相談は毎週火・金曜日、経営相談は毎週金曜日に変
わります。
◎同スクエアTEL:615−5210
◆商品コード入門講座
POSシステム、JANコードなどを初めて勉強される方を対象にした基礎講座。
5月20日午後1時30分〜3時30分、大商会議室で。無料。
◎流通システム開発センターTEL:03−5414−8505
◆デンマーク製薬セミナー
欧州屈指のバイオテクノロジーセンターであるデンマークのコペンハーゲンにスポ
ットを当て、研究開発技術や治験などの実情を紹介。5月21日午後1時30分〜4時、
大商会議室で。無料。
◎大商国際部TEL:944−6402
◆育児休業制度・介護休業制度を導入しましょう
育児休業制度は法制化されていますので、事業主の方は必ず導入しなくてはなりま
せん。また来年4月1日からは、介護休業制度についても一律に事業主の義務となり、
必ず導入しなくてはなりません。それ以前でもできる限り早期に導入するように努め
て下さい。
◎大阪女性少年室TEL:941−4647
◆平成10年度版「大阪市貿易業者名簿」発刊
大阪市経済局監修、大阪輸出入協会発行の同名簿は、市内貿易業者約4100社の概要
と貿易関連団体が収録されています。A4判 400頁。頒価15,000円。
◎同協会TEL:202−8587
●【大商あっせん】ドック検診
大商では各検診機関と提携し、成人病や脳の検診を実施しています。
お忙しい方でも短時間にほぼ全身のチェックができる人間ドック。
MR(磁気共鳴診断装置)の開発で脳卒中などのチェックができる脳ドック。
毎年1回早期発見、早期治療のため受診されてはいかがでしょうか。
【問合せ】会員サービス課TEL:944−6253
●成人病予防検査
大商と日本労働文化協会大阪診療所が提携して実施している成人病予防検査、定期
健康診断(法定健診)、およびミニドックの6月検診の日程が決まりました。
成人病予防検査は6月検診に限り、市内14カ所に出張検診所を設置し、実施します。
会場がお近くになったこの機会に、ぜひ受診されることをお勧めします。
また定期健康診断(法定検診)とミニドックは、6月18〜26日の間、日本労働文化
協会大阪診療所(TEL:943−5556)で行います。
【申込締切日】5月22日
【問合せ】会員サービス課TEL:944−6253
●『販売士検定試験』申込方法が変わります
大商が実施する販売士検定試験の申込方法が変わります。
【変更点】受験料は、販売士検定専用の郵便払込取扱票で最寄りの郵便局に振り込ん
だ後、次の書類などを同封の上、大商まで郵送もしくは持参してください。
(1)受験申込書と控
(2)郵便振替払込受付証明書
(3)返信用切手(50円)
(4)面接・科目免除の証明書
(5)写真(1級の人は必ず1枚張り付けること)
このほか、受験者が各級ごとに15人以上一括で申し込むと、団体扱いになりますの
で、次の書類をお送りします。
(1)受験者名簿
(2)筆記試験結果
(3)合格者名簿
また今後、試験の開始時間が30分繰り下がり、すべて午前9時30分開始となります。
【問合せ】企業研修部検定担当TEL:944−6430
●低料金で内容充実〜【所得補償共済】加入者を受付中〜
大商では、新しい会員サービス事業である「所得補償共済制度」への加入者を募集
しています。
この制度は、会員企業の事業主、役員および従業員が業務、私用の区別なく、病気
やケガで仕事を休まなくてはならなくなった場合に、保険金と見舞金を支払うもので
す。
大商のスケールメリットを生かし、通常の所得補償保険に比べ、保険料が20%割り
引かれるほか、独自の制度として、1回のケガや病気ごとに5000円の見舞金が支払わ
れます。また共済期間中、保険金が支払われるようなケガや病気をしなかった場合、
保険料の20%が払い戻されます。
従業員の方が、万一の病気やケガのときでも、安定した生活が送れ、企業も従業員
も安心できるよう「所得補償共済制度」をぜひご活用下さい。
なお、同共済制度の加入は、制度普及推進損害保険会社代理店を通じてお手続き下
さい。
【問合せ】会員サービス課・井上TEL:944−6253
●大商セミナー
▼以下の問い合わせは企業研修部 研修担当TEL:944−6422へ。
【異業種経営者交流プラザ】
経営者の情報交換、交流、勉強の場として好評を得ている大商の異業種経営者交流
プラザは、平成10年度の百々サロンと西山サロン2グループでメンバーを募集してい
る。百々サロンのコーディネーターは高分子化学研究所代表取締役の百々達郎氏、原
則として毎月第3火曜日に開催。また西山サロンのコーディネーターはBSO代表取
締役の西山輝氏。原則として毎月第2火曜日に開催。年会費はどちらも19万5000円。
対象は大商会員企業の代表者で、定員は各25人。なお、百々サロンは4月21日に事前
説明会開催。
【後継者錬成「燃焼塾」】
大商では現在、後継者錬成塾の平成10年度参加者メンバーを募集している。同塾は
中小企業の後継者を対象に、経営トップにふさわしい問題解決能力の養成や、後継者
同士の人的ネットワークを構築するのがねらい。天理大学の井戸和男教授(元西武百
貨店専務)を塾長に年10回開催し、塾長やゲストスピーカーの講義とテーマ別討議、
合宿研修などを実施。原則として毎月第3水曜日に開催。年会費は18万円。定員は30
人。
【ビジネス文書入門講座】
ビジネス文書作成の初心者の人を対象に、基本知識を正しく理解し、基本的なビジ
ネス文書の作成まで分かりやすく指導。5月13日午前10時〜午後5時、大商会議室で。
講師はザ・アール専属講師の小林美和子氏。受講料=会員24,000円、一般36,000円。
定員60人。
【新任管理者養成講座】
管理者経験が3年未満もしくは今後管理者になる予定の方を対象に、管理者に必要
な知識や最新の労務・雇用関係の考え方などを解説。5月13〜28日(計4回)大商会
議室で。講師は経営コンサルタント協会・コンサルタントの隈元一広氏。受講料=会
員75,000円、一般=112,500円。定員50人。
【営業社員基礎講座】
若手営業社員を対象に大競争時代に強い営業力とは何かを考え、営業の心をつかむ
商談テクニックを養う。5月14日午前10時〜午後5時、大商会議室で。講師はマネジ
メント・コンサルタントの植田光明氏。受講料=会員24,000円、一般36,000円。定員
60人。
【営業マネージャー指導力強化合宿】
厳しい環境を勝ち残る営業パワーの育成と、日々の部下指導に即役立つ実戦的な管
理手法を習得する。5月21・22日(1泊2日)、コスモスクエア国際交流センターで。
講師はマネジメント・コンサルタントの植田光明氏。受講料=会員63,000円、一般
94,500円。定員30人。
【幹部錬成合宿訓練】
管理職などを対象に、優れた統率力・行動力を持つ真の経営幹部を育成する。6月
9〜12日、大商賢島研修センターで。講師は実践教育研究所所長の三浦操氏。受講料=
会員92,000円、一般138,000円。定員30人。
▼以下の問い合わせは企業研修部 検定担当TEL:944−6422へ。
【3級販売士養成講習会】
5月20日〜6月17日(全13回)午後6時30分〜8時30分、大商会議室で。講師は東
海総合研究所チーフコンサルタントの神野俊和氏、阪神百貨店お客様相談室の鈴木栄
子氏、日産学園カウンセラーの石井康治氏。
受講料=会員・学生30,000円、一般35,000円。定員70人。※ボックスNO.122
【春季貿易研修セミナー】
新入社員はじめ新たに貿易業務に携わる人を対象に貿易実務の基礎を理解してもら
う。5月12日〜6月25日(全25回)午前9時30分〜正午、大商会議室で。受講料=
50,000円。定員80人。
◎国際部TEL:944−6412 ※ボックスNo122#
→申込書はFAXで請求できます。FAX:944−2743
※FAXの受話器を上げてダイヤルし、音声の指示に従いボックスNoを入力して下
さい。
【社史編纂セミナー参加者募集】
社史編纂にかかわる哲学、実務、知識、事例研究など、効果的な社史づくりのノウ
ハウを解説。5月14・15日午前9時20分〜、大商1号会議室。テーマ・講師は『今、
会社史にもとめられるもの』宮本又郎・大阪大学教授、「社史編纂実務」〜社史の企
画から完成まで(1)方針・目的・体制・日程・予算〜中田寿一・凸版印刷年史セン
ター(東京)部長ほか。受講料=会員37,000円、一般47,000円、定員60人。
◎専門図書館関西地区協議会(大商内)TEL:944−6312
●支部セミナー
◆女子社員接遇セミナー
浪速支部・浪速納税協会共催。第1回は5月11・12日、第2回は5月18・19日とも
に午後1〜5時、同支部で。講師は社員教育インストラクターの岡嶋純子氏。無料。
定員いずれも30人。TEL:649−5252
◆健康意識改革セミナー
平野支部主催。経営者・管理者が自分自身の健康を考える講座。5月12・19・26日
午後6〜8時、同支部で。講師はヘルスアドバイザーの森山佐恵氏。受講料3000円。
定員30人。TEL:797−1155
◆女子社員研修セミナー
都島支部主催。社会人としての心得や基本的なビジネスマナーを学ぶ。5月18・21・
22日午後1時30分〜3時30分、同支部で。講師は女子教育インストラクターの小山敬
子氏。受講料3000円。定員30人。TEL:924−3351
◆社員接遇訓練セミナー
淀川支部主催。社会人としての心構え、接遇の基本を内容とする講座。5月19・20・
22日午後2〜4時、同支部で。講師は経営コンサルタントの末松由里子氏。受講料3000
円。定員40人。TEL:302−5977
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