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平成22年3月29日

第4回通常議員総会 所信表明  「全員参加で大阪力・関西力のアップ」

佐藤新会頭 

  佐藤でございます。ただいま野村会頭からのご推挙と役員・議員の皆さまからのご賛同をいただき、大阪商工会議所の第25代会頭に選任されました。身に余る光栄でありますが、またその責務の重さを痛感しているところでございます。
  皆さまのご期待に沿えるよう精一杯がんばってまいる所存でございますので、どうかご支援、ご協力を賜りますようお願い申しあげます。
会頭就任にあたり、特に力を入れて取り組んでまいりたいことにつきまして3点に要約して申しあげます。

  まず、「全員参加で大阪力・関西力のアップ」であります。
現在、大阪・関西では、大阪湾ベイエリアや彩都・北大阪地区などで最先端モノづくり産業の集積が急速に進み、それらを支えるオンリーワンの技術を有する中堅・中小企業も数多く存在しています。また、都市機能においても、歴史・文化遺産や街並みといった観光資源が豊富であることに加え、わが国で唯一24時間運用が可能な関西国際空港や、道路・鉄道・港湾などの交通・物流インフラの整備が着々と進められており、まさに地域全体が生まれ変わる真っ只中にあります。
  こうした時期にこそ、大阪商工会議所の会員・役員・議員の皆さまはもちろんのこと、大阪で事業を営んでおられる企業の皆さまや、大阪府・大阪市・在阪経済団体の皆さまの力を結集することが肝要であります。その上で、歴史・文化を共有する京都、医療産業などの分野で連携が進む神戸とも力を合わせ、経済力、文化や歴史・景観といったまちの魅力、情報発信力、国内外からの集客力などの、大阪や関西の底力、すなわち「大阪力」「関西力」を発揮していく必要があると考えております。1社や1都市の自助努力では限界がありますが、皆で力を合わせれば、大阪や関西を変えていく大きな力になるものと信じております。
  そこで、大阪商工会議所の運営にあたる、私の基本的な考え方といたしまして、「全員参加で大阪力・関西力のアップ」をスローガンとして掲げたいのであります。
  「全員参加で大阪力・関西力のアップ」を図るためには、まずは、大阪に拠点を置かれる企業経営者の皆さまに、大阪商工会議所の活動をご理解いただく必要がございます。そして、活動に共鳴、賛同された方に、会員にご加入いただくことで、経済団体の力の源泉である会員数を増加させ、大阪商工会議所の情報発信力、影響力を高め、大阪府・大阪市・他の経済団体や京都や神戸など他の都市との連携の実をあげるという好循環を生み出すことが可能となるのではないかと考えます。
  この意味から、「会員増強による組織基盤の強化」がまず重要でございます。役員・議員の皆さまにおかれましては、ぜひ幅広いお力添えを頂戴いたしますようお願い申しあげます。

  2点目は、「『大阪賑わい創出プラン』の総仕上げ」でございます。
  野村会頭は、2004年12月に地域経済を牽引するエンジン産業の育成を柱に据えた成長戦略として、「大阪賑わい創出プラン」を公表されました。その後、大阪・関西経済の発展につながる個別具体的なアクションプランを着実に実施され、大きな成果を上げてこられました。
  3つのエンジン産業のうち、「新しいモノづくり産業」におきましては、「情報家電ビジネスパートナーズ」や「MoTTo省エネ・創エネOSAKAフォーラム」といったビジネスマッチング事業を通じて、大手企業と中堅・中小企業の取引拡大に大きな実績を残されました。「ライフサイエンス産業」につきましては、エンジン産業と位置付けたことが、その後の産業振興のきっかけとなったと申しあげても過言ではございません。事業化が難しいと言われている医療機器や創薬の分野で、現実にビジネスが生まれ、大阪がこの分野における中心地となりつつあるのは、まさに野村会頭の手腕によるものであります。また、「ツーリズム産業」の振興を打ち出され、「大阪ナイトカルチャー事業」や「なにわなんでも大阪検定」、「産業観光」のルート開発等に取り組まれ、新たな大阪の魅力を効果的に情報発信されました。
  こうした活動は、野村会頭の卓越したリーダーシップにより、自治体や他の経済団体も大きく巻き込みながら、精力的に展開されてきたものであり、その功績に改めて深甚なる敬意を表したいと思うのであります。
  私といたしましては、野村会頭が推進され、既に大きな実績を上げてこられた「大阪賑わい創出プラン」を引き継ぎ、その活動の総仕上げに全力を注いでまいる所存でございます。

  加えて、6年間にわたる「大阪賑わい創出プラン」の検証・総括に取り組みます。その上で、2011年度以降、新たな大阪・関西の成長ビジョンを改めて取りまとめたいと考えております。
  これが、私が取り組みたい3点目「今後の大阪・関西の成長ビジョンの策定」であります。
  新たな成長ビジョンの策定に際しましては、まずは、「大阪賑わい創出プラン」の検証・総括を踏まえた上で、今後、継承すべきもの、新たに付け加えるものを検討してまいります。新しいモノづくりや観光、ライフサイエンスといった成長産業の振興、中堅・中小企業の活性化、関西国際空港や高速道路等の真に必要なインフラの整備、都市の拠点開発、企業誘致、商店街活性化といった直面する課題について、改めて考え直してみたいと考えております。
  現時点での思いをあえて申しあげてみますと、ことさら目新しさを追うつもりはありませんが、アジアの成長エネルギーを取り込み、アジアとともに成長する大阪を目指す、という視点は欠かせません。そのためには、アジアからのインバウンドとビジネス交流の促進には特に力を入れて取り組んでまいる必要があると考えております。
  最近、アジアでは、旅行需要が大きな盛り上がりを見せており、日本でも多くの都市がこうしたインバウンドの取り込みに乗り出しておられます。中国で観光を推進する省庁は、国家旅游局と言い、旅して遊ぶという意味の漢字をあてておりますが、大阪・関西も旅して遊ぶ「旅遊都市」を目指し、アジアからのインバウンドを促進してまいりたいと存じます。
  また、アジアは、製造拠点としてだけでなく巨大な消費市場としても急速に成長しております。大阪・関西が今後持続的な発展を遂げていくためには、こうしたアジア各国とのビジネス交流をさらに活発化していくことが不可欠であります。
  そこで、アジア各国に関する情報提供などを通じて、大阪・関西企業のアジア地域との国際ビジネスを支援するとともに、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の締結拡大などを政府に働きかけてまいりたいと考えております。
  一方、足元に目を転じますと、商店街振興に関しましては、「元気な都市には元気な商店街がある」という考えに基づき、様々な活動に取り組んでまいるほか、新しいモノづくりに関しましては、裾野の大変広い環境貢献型産業や医療機器産業の振興に力を入れてまいる所存です。
  さらには、環境と観光の両面から重要な資源である「琵琶湖・淀川水系」に着目した何らかの取り組みができないか、大阪市や京都市、他の経済団体のお力もお借りながら考えてまいりたいと存じます。
  なお、先に申しあげました「全員参加で大阪力・関西力のアップ」の考え方に沿い、近隣都市の自治体、経済団体にもビジョン策定に何らかのご協力をいただければ、との想いもございますが、まずは、大阪市さんとしっかりとすり合わせたいと存じます。既に平松市長からは、ご協力をいただけるとのお返事も頂戴しているところで、直ちにビジョンづくりの共同作業に着手いたしたいと考えております。
役員・議員の皆さまにおかれましても、新たな成長ビジョンに盛り込むべき視点や・具体的な事業についてどうか忌憚ないご意見を賜りたいと思っておりますので、ぜひご協力をお願い申しあげたいと思います。

  以上、私からは、「全員参加で大阪力・関西力のアップ」、「『大阪賑わい創出プラン』の総仕上げ」、「今後の大阪・関西の成長ビジョンの策定」――の3点について申しあげました。
  本日ご参集いただきました役員・議員の皆さまをはじめ、会員や関係各位の積極的なご参画、およびご支援、ご協力をお願いいたしまして、会頭就任のご挨拶といたします。

                                                         以 上


2010.3.29更新
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