大阪商工会議所 HOME

「在阪企業の海外投資のあり方」に関する調査結果のポイント
12年3月16日

調査の主な目的(本文1頁)
(1) 国内の長期の不況およびアジア経済危機により「在阪企業の海外投資意欲に変化がみられるか」を調べること
(2) 「海外に進出している在阪企業の課題および原因」を探ること
(3) 「在阪企業の海外進出に対し、大阪商工会議所の支援策」を探ること

調査の概要(本文6頁)
調査時期: 1999年7月中旬〜8月中旬
調査対象: 大阪商工会議所の貿易証明に登録している製造業935社
(内訳:大企業285社、中小企業650社)
調査方法: 郵送によるアンケート方式
回答数: 252社(回答率約27%、内訳:大企業91社、中小企業161社)
海外進出状況: 進出していない企業 121社
進出している企業  131社 → うち、海外現地法人を有している企業は112社
※資本金3億円以上を大企業、3億円未満を中小企業とした。
なお、アンケート回答企業の中から10社に対し、聴き取り調査を実施した。

回答企業252社の業種

業種 件数(社) 比率(%) 海外進出している 海外進出していない
(1)化学
45
17.9
28
17
(2)一般機械器具
42
16.7
16
26
(3)繊維・衣服
24
9.5
14
10
(4)電機機械器具
18
7.1
10
(5)金属製品
16
6.3
(6)精密機械器具
14
5.6
(7)プラスチック製品
13
5.2
10
(8)非鉄金属
3.6
(8)輸送用機械器具
3.6
(10)鉄鋼
2.4
(11)ゴム製品
2.0
(12)窯業・土石
1.6
(13)食料品・飲料
1.2
(14)家具・装備品
0.8
(15)紙・紙加工品
0.4
(15)出版・印刷
0.4
(15)石油・石炭製品
0.4
その他
29
11.5
12
17
無回答
10
4.0
252
100.0
131
121
なお、今回の調査では業種および資本金による大きな違いは見られなかった。

調査結果の主要ポイント

在阪企業の投資意欲について(本文10頁)


海外投資をしている企業112社の新規の投資計画については、「投資計画あり」が32社(28.6%)、「関心あり」が38社(33.9%)となっており、「投資計画あり」と「関心あり」をあわせると6割強の企業が海外投資に意欲をもっており、在阪企業の海外投資意欲は衰えていないことが判明した。これは、一つには経済のグローバル化(国際的大競争)が進展する中で、海外投資を重要な生き残り戦略として考えている企業が多いからであると思われる。
また、既存の海外現地法人の投資計画については、「拡大する」が30社(26.8%)、「現状維持」が74社(66.1%)、「縮小・撤退する」はわずか6社(5.4%)となっており、一旦進出すれば容易に撤退しない日本企業の実態が明らかになった。
なお、新規「投資計画あり」32社の進出先としては、「アジア」が18社と過半数を占めており、海外投資はこれからも「アジア」を中心に展開されるものとおもわれる。
また、進出時期としては、「2年以内」が17社と最も多く、海外投資は減少傾向にあるといわれる中で、今後1〜2年の海外投資の動向が注目される。


アジア経済危機の影響について(本文11〜12頁)


海外現地法人201社のうち、「影響あり」が65社(32.3%)、「特に影響なし」が116社(57.7%)と「特に影響なし」と回答した企業が多かったものの、進出先でみると、アジア進出企業117社では、過半数の60社が「影響あり」と回答しており、やはりアジアで影響が大きかったことがわかる。
アジアの中では、「ASEAN4カ国」進出企業45社のうち34社(75.6%)、「アジアNIES」進出企業34社のうち16社(47.1%)が「影響あり」と回答しており、「ASEAN4カ国」と「アジアNIES」に進出している企業の影響が特に大きかった。
なお、影響の内容を加重累計(※)すると、「販売先を見直した」が最も多く、以下「価格競争力が強まった」、「従業員を減らした」、「価格競争力が弱まった」、「現地調達が困難になった」「仕入先を見直した」であった。
ここでは、「価格競争力が強まった」とのプラスの意見が2番目であることが注目される。
(※)影響度1番を3点、2番を2点、3番を1点として集計した。


企業の課題と大阪商工会議所の取組みについて(本文12〜18頁)

海外投資をしている企業112社の不満要因を加重累計(※)すると、「管理職クラスの人材育成の困難」が最も多く、以下「第三国、現地、日系などの他社との競争激化」、「日本側管理要員の確保難」であった。

(※)不満要因1番を5点、2番を4点、3番を3点、4番2点、5番を1点として集計した。 聴き取り調査でも、「人材に関する不満」を挙げる企業が多く、海外進出において「人材育成」が大きな課題となっていることがわかる。
一方、成功している企業は、事前調査を徹底して行ったことやパートナーに恵まれていることを成功要因に挙げる企業が多かった。
以上、企業の不満要員および成功事例などを考えあわせると、今後、大阪商工会議所が取り組むべきこととして、「海外ビジネスパートナーの紹介」、「十分な事前調査ための情報提供」、「人材育成の支援」の3点が挙げられる。
具体的には、以下の通り「世界ビジネス・コンベンション(G−BOC)」や各国の投資情報提供事業の充実・改善を図るとともに、人材育成の分野で新たな事業を検討することが考えられる。


1.「海外ビジネスパートナーの紹介」について

新たなビジネスパートナーとの出会いの場として、既に実績のある「世界ビジネス・コンベンション(G−BOC)」の充実を図ること。

なお、2000年のG−BOCは10月16日(月)〜18日(水)に開催する。


2.「十分な事前調査ための情報提供」について

海外投資予定企業に対し、十分な事前調査の重要性を周知するとともに、企業が必要とする具体的情報の提供、投資手続きの支援の充実に努めること。

3.「人材育成の支援」について

人材不足の企業に対し、海外駐在経験豊富な人材や日本で学ぶ留学生を紹介する仕組み作りを検討する。

PDF(報告書冊子の一部はPDF化されていません)
【PDFファイルでの提供・ご覧になるにはAdobe社製のAcrobat Readerが必要です】
報告書表紙と目次

報告書(本文)

(参考資料)聞き取り調査、支援制度

国際投資交流特別 委員会 活動実績



2003.4.1更新
Copyright(C) 1996-2003 大阪商工会議所