年頭所感2024

 
2024年1月1日


 謹んで新年のお祝いを申し上げます。

 昨年は、3年に及ぶコロナ禍がようやく収束し、春以降は経済活動が正常化、インバウンド需要も急回復し、まちに久しぶりに活気が戻りました。
 しかしウクライナやイスラエルでの軍事衝突など、国際社会の分断は進み、国内経済でも、円安、エネルギー・原材料価格の上昇、人手不足など依然続き、大きな環境変化への対応を迫られています。


 すなわち、激動する世界情勢の変化、日本のイノベーションや国際競争力の強化、気候変動対応、循環型社会の実現、ウエルビーイング等々、中長期で取り組むべき課題も山積するなか、転換期だからこそ、挑戦や異論を促し、歪みや揺り戻しも柔軟に受け止めながら、新しい時代を切り拓いていきたいものです。


 こうしたなか、2025年に開催される大阪・関西万博には世界160の国や地域と、国際機関、例えば国際連合、欧州連合、アセアン、アフリカ連合委員会、国際赤十字などが参加します。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ですが、これはSDGsとIndustry 5.0、Society 5.0の実現に他なりません。
 2025年万博は「世界の分断」を乗り越えて、複雑化する社会課題を世界各国とともに考え、SDGsやIndustry 5.0、Society 5.0の実現をめざすことを大阪・関西が世界に示す大きなチャンスであると考えます。
万博開催をいよいよ来年に控えネガティブな万博に対する評価を乗り越えて、今一度、大阪・関西で開催される意義を思い起こしていきたいものです。


 大阪商工会議所においても、コロナ禍後のイノベーティブな大阪経済の発展はもちろん、社会課題解決に貢献する大阪をめざして、異業種・異分野の連携や町工場ネットワーク等に取り組んでいきます。
 例えば、大阪・関西が強みを持つライフサイエンス・ウエルネス分野では、「医工連携」「災害医療」「やさしい病院」「医師や医療関係者の負担軽減」等のテーマをかかげ、多様な業種の連携・融合を促し、実証実装に取り組みます。
 また大阪府・大阪市による万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」では、中小企業やスタートアップが出展できるよう、「サステナブルなファッション」「町工場の力を結集した世界のお困りごと解決」「ウエルネスオフィス」等をテーマに、ものづくり企業のイノベーションを支援しています。


 「うめきた1期・2期」や「なんば駅前広場」など、万博に向けて整備される都心部を「交流の舞台」「未来社会の実験場」として活用するとともに、数多くある大阪伝統の商店街、夢洲へのクルーズ、大阪の祭礼・お祭り・フェスティバルなどの、観光資源の磨き上げも重要です。
 さらに関西空港から泉州、南河内、大阪ミナミの都心部につながる「グレーターミナミ」エリアの、豊かな歴史、文化、食などに注目して観光コンテンツとして発信し、広域での活性化を図っていきたいと考えています。


 一方で、コロナ禍から脱却した今、日本は新たな成長のため、蓄えてきた力を始動する時であります。
 また、大阪・関西の中小企業や小規模事業者の経営基盤を固める支援にも注力せねばなりません。
 5つの支部に加え、大阪府中小企業活性化協議会、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターを核として、資金繰り、中長期の経営計画支援、DX、IT導入、販路開拓、新分野進出、海外進出、そして、再生・承継も含め、中小企業の日々の経営の伴走支援に一層力を尽くします。


 世界の成長センターであるアセアン各国とのビジネス強化のため、昨年設置した「日本アセアンビジネス促進プラットフォーム」を一歩ずつ作り上げ、アセアン各国と大阪の海外販路開拓や投資の支援に取り組んでいきます。


 大阪商工会議所は引き続き、大企業、中堅企業、中小企業、スタートアップ、若者、老若男女全ての人々の挑戦を、「やってみなはれ」と、その実現まで力強く後押ししてまいります。
 皆様方には、本年もより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 以 上  

2024.1.1更新
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