謹んで新年のお祝いを申しあげます。
インバウンドをはじめ好調な経済を持続してきた大阪・関西は、昨年、新型コロナウイルスの感染拡大で様相が一変しました。感染の勢いは未だ衰えを見せず、2021年はコロナ禍が続く中でのスタートとなりました。
しかし、感染拡大は将来必ず終息しますので、私たちもコロナ禍での経験をもとに、危機を跳ね返しチャンスにするアンチフラジャイル(反脆弱性)な力を発揮して、自然災害や感染症に強い社会をつくっていかなければなりません。大阪はこれまでも大きな転換期のたびごとに難局を乗り越え、新たな時代を切り拓いてきました。今回のコロナ禍も克服できる試練だと考えます。
コロナ禍をきっかけに、私たちの生活やビジネスの様式も大きく変わってきています。WEB会議システムの導入やテレワークの拡大、オンラインでの商談や授業、遠隔診療など、もう少し先の未来だと思っていた社会変化が現実のものとなっています。コロナ後の社会は、単に元通りに戻すのではなく、将来の様々な脅威に強靭に対応できるよう、よりよく再建する必要があります。今年は、大阪・関西経済が反転攻勢に向けて力強さを取り戻す年にしたいと思います。
そのためには、何よりも企業が安心して事業を継続できる環境づくりが求められます。商工会議所では、昨年1年間で2万件を超える資金繰り等の経営相談に応じるとともに、地域の需要回復に向けて、オンライン商談会を含む多様なビジネス機会の創出に努めてまいりました。企業経営が苦しい時にこそ存在感を増し、「頼りになる、なくてはならない大商」となるよう、本年も、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の皆様のデジタル化推進、事業承継支援など、生産性向上、経営力強化に向けたきめ細やかな活動を展開してまいります。
同時にコロナ後を見据え、大阪が進化し続け、大きく飛躍するための準備も着実に進めてまいりたいと思います。特に2025年大阪・関西万博が目指す「いのち輝く未来社会のデザイン」は、コロナ禍の経験により、多くの人がその必要性をリアリティーをもって実感しているだけに、実現に向けた取り組みが加速するものと考えます。「いのち」に関わる分野は、医療に加え、健康の維持・増進、疾病予防、スポーツ、さらには食にまで幅広い領域に広がっており、そのようなウェルネス産業の分野において、新たなビジネス創出にチャレンジする企業を後押ししてまいります。
また、非接触や非対面、混雑回避等へのニーズが高まるなか、AI、IoT、XR(現実・仮想世界の融合)、MaaSといった新たなデジタル技術のビジネス活用に向け、大企業から中小企業、スタートアップまで様々な企業が参画するオープンイノベーションの促進に取り組んでいきます。
さらに、新技術のビジネス化に欠かせない実証のためのフィールドの拡充にも力を入れてまいります。大阪府・大阪市、2025年日本国際博覧会協会とともに、万博会場となる夢洲での実証支援をスタートさせるほか、人とロボットが共存する未来社会のデジタル基盤の実証ラボを異業種企業の連携によって本格オープンさせます。こうした取り組みにより、「実証するなら大阪へ」という流れを一段と加速させ、「未来社会の実験場」の実現につなげていきたいと思います。
スマートシティ/スーパーシティ、スタートアップ・エコシステム拠点都市などの都市づくりでは、国や大阪府・大阪市、関係機関と緊密に連携し、大阪の国際都市としての魅力を高めてまいります。大阪が日本の成長を牽引するアジアのイノベーション・ハブとして、国内外から多様な人財、企業を惹きつけ大きく育て、アジアや世界に賑わいの好循環を生み出すことを目指してまいります。
大阪商工会議所は、この1年、コロナによる社会経済の変化をチャンスと捉え、夢ある大阪の未来に向けて、新たな課題に挑戦してまいりたいと存じます。
皆様方には、今年も一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 |