年頭所感(2020年)

 
令和2年1月1日


  謹んで新年のお祝いを申しあげます。

 昨年の世界経済は米中貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題、中東や香港の混乱など、国際政治の不安定化が景気の先行きの不透明感を高めた一年でした。国内景気は世界情勢の影響もあって一進一退で推移しましたが、大阪・関西ではG20大阪サミットの開催、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録、吉野彰氏のノーベル化学賞受賞と、国内外からの注目が集まり、「令和」の時代の幕開けに相応しい一年となりました。
 今年は景気の持続性が問われるなか、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、大阪・関西では2025年大阪・関西万博に向けた様々な準備が加速してまいります。変化をチャンスと捉え、新たな成長につなげていく一年にしたいと思います。

 大阪商工会議所ではこの度、2020年度から3年間にわたって推進する中期計画「たんと繁盛 大阪アクション NeXT ~産業×都市×基盤で新しい豊かさを共創~」を発表しました。大阪・関西の勢いを追い風にして日本の成長を牽引するとともに、国の内外からヒト・モノ・情報が集まるアジアのイノベーション・ハブとなることを目指して、4つのフィールドと9つの戦略プロジェクト、5分野の基盤強化からなる計39の事業に取り組んでまいります。それらを通じて、大阪・関西の成長を先導するトップランナーを生み出し、地域経済を支える中堅・中小企業の生産性向上、経営力強化を実現したいと思います。
 特に2025年万博については、開催前はもちろん、開催後の大阪・関西の成長を見据えたイノベーション創出のための環境整備が必要です。国内外の企業が大阪を舞台に様々な仮説の実証実験を繰り返し、社会実装から新たなビジネスを生み出していく、あるいは、中堅・中小企業をはじめ幅広いプレイヤーが課題に挑み、結果を出していく。そうした経済の好循環をつくり出すことで、万博のコンセプトである「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」を構築したいと考えます。
 新中期計画でも、「Towards and Beyond EXPO2025」を掲げて各事業の万博シフトを明確に打ち出すとともに、会議所がこれまで培ってきた産学・産産連携の仕組みを活かしたビジネスコンテストや実証事業の推進、MaaSの社会実装などを最大限に活かして、新たなイノベーションを起こしていきたいと思います。
 また、好調な大阪のインバウンドを持続・発展させるため、さらなる観光産業の高度化や都市ブランドの向上に取り組みます。「食」の分野では、美味しくて安い大衆食からイノベーティブな高級食まで、これほど多彩なメニューを豊富に提供できる都市は大阪をおいてほかにありません。大阪観光局と共に設立する「食創造都市 大阪推進機構」を通じて、多様な食が楽しめる「食の都」をブランディングし、海外の富裕層を含めたインバウンド層を惹き付ける大阪の都市魅力を高めてまいります。

 このような“新しい豊かさ”を創り出す活動に加え、地域経済の成長を支える中堅・中小企業が直面する問題にも注力してまいります。高齢化や人手不足を背景とした生産性向上の課題解決にはIT導入が鍵となります。会議所では、新たに設置する一次相談窓口「ITコンタクトデスク」や5つの支部を活用した情報提供・相談、コンサルティングなど、総合的な支援により中堅・中小企業の業務効率化を後押ししてまいります。
 現在、AIやIoTといった第4次産業革命への対応、SDGsやESG投資による社会課題解決への貢献など、企業に求められる要件が一段と高度化しています。加えて大阪では、万博、うめきた2期、IRといった新たな発展基盤の構築に向けた取り組みが進んでいます。大阪商工会議所は、この一年、大阪・関西の大きな夢の実現に向けて、企業活動を通じて大阪・関西を元気にするため、より一層「たんと」アクションしてまいります。

皆様方には、今年も一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 以 上  

2020.1.1更新
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