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年頭所感

 謹んで新年のお祝いを申し上げます。

 我が国はこれまで、デフレ経済への対応に力を注ぎ、過剰債務・過剰雇用・過剰設備という“三つの過剰”の解消に取り組んできましたが、2004年は、ようやく不良債権処理が最終章を迎え、日本経済の足腰も随分としっかりしてきました。また、企業は後ろ向きのリストラから、新しい雇用創出や設備投資など、攻めの経営に転じており、民主導で、ゆっくりと一歩ずつではありますが、着実に景気回復への歩を進めた一年であったと思います。

 今年、2005年の日本経済は、世界的な景気減速の波を受け、年前半は“踊り場”の状況が続くものと思われます。こうした中、民間の需要創出を後押しする施策、さらには政府部門の効率化や官製市場の民間開放などを推進することにより、“踊り場”で十分に力を蓄え、後半一気に伸びる年となることを期待いたします。そして、その先には、デフレの克服も現実のものとなるでしょう。

 大商としましても、政策提言・要望活動を積極的に展開し、景気浮揚と企業を取り巻く事業環境の改善に全力で取り組むとともに、会員企業の支援を一層充実させてまいります。

 さて、大商では、昨年、「賑わい創出プラン」を策定いたしました。これは、長期化する大阪経済の低迷に対する危機感に基づき、会員の皆さまからの声を背に、強い大阪経済の復活を実現するための道筋と具体的な取り組みを明らかにしたものです。課題解決に向けたアクションプランを実現するためには、3万を超える会員の皆さまの力を結集することが不可欠であります。ぜひとも、積極的なご参画・ご協力をお願い申し上げます。

 また、大阪経済を活性化するには、大商の力だけでは限界があり、自治体をはじめ企業、NPO、市民それぞれに役割があります。今年は、大商にとってアクションプランをスタートさせる年でありますが、大阪府、大阪市にとっても、今年は同じく具体的な行動計画を実施していく年にあたります。大商ビジョンの策定にあたっては、大阪府や大阪市とも活発に意見交換を行いましたが、目指す方向性に大きな違いがないことを改めて認識いたしました。

 いよいよ今年は、大阪経済復活へ向けたそれぞれの思いと行動のベクトルを一つに合わせ、大阪をあげて、果敢に、ひたむきに「実行する年」にしたいと思います。そして、具体的な取り組みにおいては、まずは成功事例を数多く作っていくことが重要であります。街づくり特区であれ、ベンチャー企業の育成であれ、またキャリア教育のモデル校支援であれ、活動を大阪全体へと広げていくためには、成功事例を一つひとつ積み重ね、共有化していくことが非常に有効であると考えます。

 大阪では今、地域経済の活性化をはじめ、まちづくり、人づくりなどの身近な課題に対して、「何らかの行動を起こさねば」という気運が、市民はもとより自治体、地域社会、NPOなど社会全体に芽生えつつあるように感じます。大商としても、これらの課題解決に一定の道筋と明確な役割分担を示すことで、社会全体の共感を得つつ、それをより大きな力へと結集させていく好機にしたいと考えます。一人ひとりが「大阪のために何ができるか」を本気で考え、スピーディーに行動し、広く連携することによって、大阪全体に力強い、大きな「うねり」を生み出していきたいと思います。今こそ、大阪経済の潮目を変え、強い大阪経済の復活に向けた「新しい潮流」を創り出す時であると確信いたしております。

 大商は、会員の皆さまにとって、「あれば便利」という程度の存在ではなく、「なくてはならない」と思っていただける、頼りにされる経済団体であり続けたいと思います。そのために、個々の事業活動が会員の皆さまのニーズに基づき、お役に立つものとなるよう、これからも一層の努力をしてまいる所存であります。

 特に今年は、会員の皆さまの生の声を聴き、それを事業に反映させるために、とりわけ支部の活動を充実させたいと思います。大商の支部は、会員企業に最も近いところにあり、現場に密着した活動を旨とします。いま現場で何が起こり、何が問題になっているのかをタイムリーに把握するとともに、会員企業からの多種多様な相談にきっちりと応えるホームドクター機能を充実させていく必要があります。

 また、大商の事業の中身をもっと会員の皆さまに知っていただき、どんどん参加していただくようにも努めたいと思います。会員の方から、「せっかくいい事業をいろいろと行っているのに、会員企業にあまり知られていない」というご指摘をよく頂きます。昨年、作成・配布した「大商便利帖」などを徹底活用して、会員企業へのご紹介やニーズのある方々への呼び掛けなど、事業PRを強く打ち出してまいりたいと思います。

 大商は、強い大阪経済の復活を実現するために、また、会員企業にとってなくてはならない存在となるために、今年も具体的な行動を起こす「実行の年」として、総力をあげて諸課題に取り組んでまいる所存であります。

 新年を迎えるにあたり、役員、議員、会員の皆さまをはじめ、ご関係の皆さまのご健勝とご多幸をお祈りいたしますとともに、今年も大商の事業に、より一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2005.1.4更新
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