大阪商工会議所 HOME

 

「年 頭 所 感」(2004年)
大阪商工会議所 会頭  田 代  和


 謹んで新年のお祝いを申し上げます

 平成15年のわが国経済は、デフレ進行や将来不安から消費低迷が続き、雇用情勢も厳しかった半面、海外需要や企業収益の増加を背景に経営者の景況感が改善するなど、全体としては底離れしつつあるという状況でありました。平成16年は、将来不安を払拭して消費浮揚、投資活発化をはかり、デフレからの脱却と景気の回復基調を確実なものにすることが肝要であると存じます。
 こうしたなか、大阪・関西経済は、失業率が高止まるなど、全国に比べて厳しい状況にあります。また、昨年暮れに新市長が誕生した大阪市ならびに2月に知事選が予定される大阪府では、府政・市政改革や財政再建をはじめとした課題が山積しております。
 そこで、大阪・関西の経済再生、産業振興、中小企業支援など、直面する地域の経済課題に対し、国、自治体、他の経済団体・関係機関とも連携を密にしながら、会員と共に力強く積極的に取り組んでいくことが地域総合経済団体である大阪商工会議所の使命ではないか、と考えております。

 さて、私は平成11年3月の会頭就任以来、『交流から創造へ』というスローガンの下、大阪・関西経済の発展に資する様々な事業を展開して参りました。この間、経済環境や企業ニーズの変化に照らして経済団体のあり方を見直し、役員、議員、会員、事務局職員、ご関係の皆様のご理解とご支援により、昨年4月に、大阪商工会議所と大阪工業会の統合を実現し、同時に支部の再編と機能強化によるエリアチェンバー(地域商工業者の活動拠点)化を実施して、新生大阪商工会議所が誕生いたしました。新生大商は『大阪の未来を拓く』という新スローガンのもと、平成15年度事業計画の基本フレームのなかで、地域経済と会員に役立つ『より強い経済団体』の実現を目指して、商工会議所として基本的な3つの使命を打ち出しました。現在、その使命を果たすべく、組織や事業の融合・融和・改革を進めているところでございます。

 新生大商の第一の使命は、「民主導の活力ある経済社会と都市魅力にあふれた大阪・関西の実現」であります。このためにまず、景気対策、中小企業対策、税制改正、規制改革をはじめ経済活性化に向けた提言・要望活動をタイムリーに実施するほか、国や自治体などとの政策対話を活発に行うなど、政策提言力の強化をはかっております。また、関西国際空港2期事業の推進や外国企業誘致、映画ロケ誘致、「ナイトカルチャー」振興、街づくり支援、「あきない楽市」等商店街振興をはじめとする集客機能強化、都市活性化に資する取組みを推進して参ります。一方、昨年実施した製造業の人材育成に関する提言をより具体化するほか、技術者・技能者養成プログラム、経営や実務に役立つ講座・講習会、資格取得ニーズの高い検定試験の実施など、企業が求める人づくりにも取り組んでおります。同時に、大阪を舞台に活躍した企業家の事蹟を紹介する「大阪企業家ミュージアム」を中心に、チャレンジ精神旺盛な人材育成事業を積極的に展開したいと考えております。
 第二の使命は、「大阪・関西の産業構造の転換と国際競争力の向上」であります。そこでまず、大阪・関西経済のエンジン役となる新産業を創出することが急務であります。このため、新生大商はITやバイオなどのベンチャー支援事業に注力しております。とくに、バイオ関連の集積の強みを活かして、国の都市再生プロジェクトに盛り込まれた「バイオ情報ハイウェイ構想」の実現に取り組み、ライフサイエンスの国際拠点形成を目指しております。また、海外バイオベンチャーとの商談・交流を促す「グローバル・ベンチャー・フォーラム(GVF)」、大学発のバイオベンチャーを発掘する「バイオビジネスコンペJAPAN」を開催するほか、NPO「バイオビジネス・ステーション」との運営協力によりバイオベンチャーが必要な経営人材を供給するなど、トータルにバイオ振興を進めております。一方、既存産業の振興も重要であります。大阪工業会から継承した「関西モノづくり会議」や融合事業の「関西モノづくりマート」など、モノづくり支援、産学連携の取組みを積極的に行い、とりわけ中小企業の関心が高い「中国ビジネス支援室」の運営などにより、国際ビジネス支援、企業の国際競争力強化をはかって参ります。
 第三の使命は、「会員企業の経営革新とビジネス機会の創造」に資することであります。まず、時代の要請や会員のニーズに応える事業展開が必要であります。『より会員に近く』の視点に立って、支部を地域商工業者の活動拠点とするエリア・チェンバー化を推進し、言わばビジネス・ホームドクターとして会員の立場で経営相談・指導を行うとともに、「中小企業フェスタ」「売れ筋商品発掘市」「ビジネス交流会」の開催など、会員のビジネス拡大や経営革新に資する事業を積極的に実施しております。また、わが国最大級の電子商取引支援サイト「ザ・ビジネスモール」の運営改善により、中小企業のIT化を推進し、取引機会の創出をはかりたいと存じます。

 新生大商の歩みは始まったばかりであります。スタートと同時に、組織・運営モデルの改革も進め、最近、正副部会長・委員長や会員の皆様から、大商が変わった、という温かい評価をいただくようになりました。本年も引き続き、地域経済の発展に寄与し、より会員に近い新生大商となるよう、力を尽くして参ります。新年を迎えるにあたり、役員、議員、会員はじめご関係の皆様のご健勝とご多幸をお祈りしますとともに、大商事業に対し、より一層のご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げます。

以上

2004.1.5更新
Copyright(C) 1996-2004 大阪商工会議所
大阪商工会議所のトップページへ