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「第108回経営・経済動向調査」調査結果の概要

平成11年6月

1.調査の概要
1)調査時 平成11年5月下旬〜6月上旬
2)調査対象 大阪府下に本店・本社を有する 1,074社の経営者
3)回答状況 回答 600社(うち大企業 275社、中小企業 325社、有効回点答率 55.9%)
※B.S.I 値とは、{「上昇(増加、好転等)」−「下降(減少、悪化等)}÷2
で求められる数値で、プラスなら企業経営者の見方が強気・楽観的であり、マイナスなら弱気・悲観的であることを示す。

2.調査結果の概要
国内景気

平成11年4〜6月期の国内景気の総合判断は、B.S.I 値▲ 7.1と平成11年1〜3月期(B.S.I 値▲19.3) から12.2ポイント改善したものの、前回調査の見通し(B.S.I値▲2.3 ) が下方修正される結果となった。 今後の見通しでは、7〜9月期がB.S.I 値▲1.9 と依然マイナス局面だが、10〜12月期はB.S.I 値10.8とプラスに転じている。
平成11年4〜6月期の国内景気の総合判断を規模別で見ると、大企業はB.S.I.値▲ 3.1( 前回B.S.I 値▲13.3) 、中小企業はB.S.I.値▲10.5( 前回B.S.I 値▲24.8 ) と、規模を問わず改善している。業種別には小売業B.S.I.値▲13.8のマイナス幅が目立つ。

自社業況

平成11年4〜6月期の自社業況の総合判断については、B.S.I.値▲15.6(平成11年1〜3月期B.S.I.値▲18.5)と、10期連続の「下降」超過局面 となったが、マイナス幅は小さくなっている。ただ、前回調査の見通し(B.S.I.値▲ 8.6)は下回った。今後の見通しについては、7〜9月期はB.S.I.値▲7.4 と依然水面 下にあるが、10〜12月期にはB.S.I.値 2.7とプラスに転じている。
また自社業況を規模別で見ると、4〜6月期は、大企業でB.S.I.値▲10.6( 前回B.S.I.値▲11.4)、中小企業はB.S.I.値▲19.8( 前回B.S.I.値▲25.2) と、規模を問わず改善している。今後の見通しでは、大企業は7〜9月期からB.S.I.値0.9 とプラスに転じ、10〜12月期にはB.S.I.値6.7 となっている。中小企業は、7〜9月期B.S.I.値▲14.4、10〜12月期B.S.I.値▲0.8 と引き続き水面下の見通し。

経営上の問題点

当面の経営上の問題点は、「受注・売上不振」をあげるものが80.5%に達し、第 1位を占めた。最近1年の間に行った調査での「受注・売上不振」をあげる企業の推移をみると、平成10年9月調査85.2%→12月調査83.5%→平成11年3月調査84.9%→今回80.5%と、80%台に高止まりしている。
ついで第2位「過当競争」(48.5%)、第3位「製(商)品安、請負価格安」(43.5%)、第4位 「人件費負担増」23.7%)、第5位「マ−ケティング力不足」(10.8 %) と続いている。1位 〜4位までの順位は最近1年間変わらなかったが、「マ−ケティング力不足」(前回は8.3 %で7位)をあげる企業が増えたのは今回の一つの特徴。規模別でみると、大企業は第1位 に「受注・売上不振」(76.9%)。第2位に「過当競争」(51.3%) 、第3位「製・商品価格安」(47.6%) となった。 中小企業も第1位に「受注・売上不振」(83.5%) 、第2位に「過当競争」(46.1%) 、第3位「製・商品価格安」(40.5%) となっている。現状は、規模を問わずどの企業も経営上の大きな問題は同じといえる。

自社業況の各項目の動向(まとめ)

1) 生産高・売上高・工事施行高は、依然減少基調にある。平成11年4〜6月期に「減少(43.4%) 」と回答した企業は「増加(14.5%) 」と回答した企業を大幅に上回り、B.S.I.値は▲14.5( 平成11年1〜3月調査はB.S.I.値▲16.3) と、9期連続のマイナスとなった。規模別 では、大企業のB.S.I.値が▲11.0と前回(B.S.I. 値▲ 8.5)よりも悪化したのに対し、中小企業のB.S.I.値は▲17.4( 前回B.S.I.値▲23.5) と マイナス幅が縮小している。業種別では建設業のB.S.I.値▲27.2( 前回B.S.I.値▲ 3.0)とサ−ビス業B.S.I.値▲11.4( 前回B.S.I.値▲6.7)の悪化が目立つ。 今後の見通しでは、平成11年7〜9月期にB.S.I.値▲4.0 であるが、11年10〜12
月期にはB.S.I.値 5.2 とプラスに転じている。
2) 製・商品・サ−ビス価格、建設請負価格は、低迷続く。平成11年4〜6月期は「下降」と回答した企業が33.5% に対し、「上昇」とする企業はわずか2.2%にすぎず、B.S.I.値が▲15.7( 前回B.S.I.値▲17.8) となり、依然、価格低迷が続いている。
需要不振のもとでの価格競争により、デフレ傾向が続いている。今後の見通 しでは、7〜9月期にB.S.I.値▲ 7.5、10〜12月期にはB.S.I.値▲4.5 とマイナス幅は小さくなっているものの、引き続き下降局面が続くと予想されている。
3) 経常利益は売上減少、価格安の状況下で減少止まらず。平成11年4〜6月期は「減 少」との回答が50.3% 、「増加」との回答が11.1% となり、B.S.I.値▲19.6となった。業種別 でみても、前回に引き続き、全ての業種で「減少」超過局面となっている。今後の見通 しでは、大企業で7〜9月期B.S.I.値 0.9、10〜12月期B.S.I.値5.3 と下げ止まり感がみられるものの、全体では7〜9月期B.S.I.値▲ 9.5、10〜12月期B.S.I.値▲1.8 という結果になっており、当分の間は経常利益の減少が続くものと思われる。
4) 所定外労働時間は、減少続く。平成11年4〜6月期は「減少」との回答が26.2%、「増加」との回答が7.6%となり、9期連続の「減少」超過局面 の B.S.I. 値▲ 9.3となった( 前回平成11年1〜3月期調査のB.S.I.値▲12.1) 。規模別では、大企業B.S.I. 値▲ 6.6( 前回B.S.I.値▲8.4)、中小企業B.S.I.値▲11.7( 前回B.S.I.値▲15.5) と、中小企業のマイナスが大きく、いずれも「減少」超過局面 となった。
業種別にみると、建設業( ▲22.4) 、製造業( ▲11.1) で2ケタのマイナスが目立つ。
今後の見通しでは、7〜9月期は B.S.I. 値▲5.6 と引き続き「減少」超過局面 で推移し、10〜12月期にはB.S.I.値0.2 でプラスに転じるものと予測されている。
5) 製・商品在庫は、在庫調整が進展しているものの、一部の企業で依然過剰感が強い。平成11年4〜6月期は、「過剰」との回答が24.5% 、「適正」が74.7% 、「不足」が0.8%となっており、B.S.I.値は11.8で前回(B.S.I.値11.2) とほぼ同じ。今後の見通しでは、「過剰」回答が減少し(7〜9月期18.9% 、10〜12月期12.9%)、「適正」回答が増加している(7〜9月期80.5% 、10〜12月期85.8%)。
6) 資金繰りは若干改善傾向となっている。平成11年4〜6月期は「悪化」の回答は20.3% ( 平成10年10〜12月期29.1% 、平成11年1〜3月27.5%)、「改善」との回答も4.6%( 前々回3.5%、前回3.9%) となり、B.S.I.値は▲ 7.8( 前々回B.S.I.値▲12.8、前回B.S.I.値▲11.8) とやや改善傾向にある。規模別でみると、大企業がB.S.I.値▲ 3.3( 前回B.S.I.値▲ 7.2) 、中小企業もB.S.I.値▲11.7( 前回B.S.I.値▲16.0) と依然2ケタのマイナスながら幾分改善してきている。今後の見通 しでは、7〜9月期B.S.I.値▲ 6.6、10〜12月期B.S.I.値▲4.0 と徐々に緩和するとの見方。


2003.4.1更新
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