「食の都・大阪」BLOG

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【講演録】「食の都・大阪スタイル」を飲食店経営にどう生かすか

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「『食の都・大阪スタイル』を飲食店経営にどう生かすか」


(「食の都・大阪」推進会議主催シンポジウム「広めよう!生かそう!『食の都・大阪スタイル』
 小林哲 大阪市大准教授 基調講演の講演録)

 

☆飲食業と小売業(物販)

 ○飲食業と小売業はともに立地産業であり小規模企業が多いなど類似点が多い

 

☆最近の小売業の動向

 ○【商店街の事例】活気のある商店街は、地域(全体)でお客様を集め、集まったお客様を各店舗が競って誘う(協力と競争の使い分け)

 ○【GMSの事例】GMS(総合スーパー)の衰退理由は、何でもあるが

  「これっ」といったものがないこと

 

☆大阪の飲食業がこの事例から学ぶべきこと

 ○パイを奪い合うのではなく、まずはパイを拡大することが重要(商店街の事例から)

 ○そのためには個々のお店の違いよりも「大阪」としての共通点に注目して、その特徴を示すことが重要(GMSの事例から)

 ○「食の都・大阪スタイル宣言」は、大阪を代表する料理人・料理関係者に"大阪の食の特徴"について聞き取り調査を行い、ジャンルを越えて大阪の食(料理)に共通する魅力、すなわち、大阪の食に携わる人が誇りに思い、食の都・大阪のDNAとして将来の人たちに引き継いでほしい事柄を宣言として示したもの

 

☆「食の都・大阪スタイル宣言」の7項目

 ○大阪の食の魅力であり食の都・大阪のDNAとして引き継いでほしい事柄は

  以下の7つ

  (1)「喰い味」を追求し、誰もがうまいと思う味を提供します。

     ・素材の持ち味を生かしながら、人が手を加えることで到達する"誰もが旨い"と思う味が喰い味

・諸国から集まったさまざまな味覚を持った人をもてなそうとした商都・大阪ならではの"旨さ"だといえる

  (2)ダシにこだわり、素材を余すことなく生かします。

     ・大阪は日本料理文化の発祥の地。日本料理といえば"合わせダシ"。日本料理で合わせダシを使わせたら大阪が"世界一"であってほしい

     ・ダシは調味料として優れているのみならず、その使い方(考え方や料理哲学)も生かすべき

・たとえば、本来なら捨てるようなところを、ダシを使って隠れた魅力を引き出すことで活用するなどは、今日のエコの精神に通ずる

  (3)大阪ならではの旬を大切にします

     ・大阪というと"天下の台所"として広域流通に目が行きがちだが、実は近隣に豊かな自然を有する食材の宝庫

     ・地産地消が叫ばれる今日、これら地場の豊かな食材を使った旬の料理は大きなビジネスチャンスに

     ・さらに、大阪は「恵方巻き」発祥の地。食べるという視点から、大阪らしい"遊び心のある旬(季節の食べ方)"を提案することもできる

  (4)素材や調理法を組み合わせ、新しい味わいを創造します。

     ・大阪の特徴は、確かな技術に基づいた創造性にあり。奇抜なだけで

      は駄目

     ・過去、大阪で生まれた新たな料理は、全国に広がり日本の定番となった。だから、新たな料理を生み出し続けることに大阪らしさがある

  (5)良質な値打ち感を提供します。

     ・安いものが美味しいだけでは駄目。美味しいものがお値打ちであることも必要。大切なのはコストではなくコスト・パフォーマンス

  (6)店主の個性も味わいのひとつ。お客様とのかかわりを大切にします。

     ・大阪では、料理を介したカウンター越しの作り手と食べ手の会話も

      料理のひとつ

     ・カウンター店以外でもお店とお客様との人と人とのかかわり合いが

      お店の味わいとなる

  (7)料理の主役は食べ手。お客様に楽しんでいただく場を提供します。

     ・すべての努力は、お客様に"楽しんでいただく"ため。食べることを楽しむために過去の慣習を取り払い、新たな可能性にチャレンジすることにこそ大阪らしさがある。

     ・一方、大阪の食は、作り手だけでなく、お客様である食べ手も一緒になって作るもの。単に安ければよいというのではなく、料理に見合った価値(価格)をしっかり見極めることができるかどうかが大切

 

☆食の都・大阪スタイル宣言の活かし方

 ○説得材料として使う

  ・食は舌だけでなく、頭で味わう部分も大きい。大阪の食が旨いのは、「喰い味を追求しているから」「世界世界一のダシ使いだから」「技術に裏打ちされた創造性があるから」など、知識としても食を楽しんでもらい、旨さを倍増するのに活用できる

 ○差別化要素として使う

  ・スタイル宣言の7項目は、他の地域との相違点であり大阪の強み。たとえば、日本料理のみならず、ダシの技法や考え方を活かしたフレンチやイタリアンは、大阪ならではのお店として納得できる。

・また、それがお客様に楽しんでもらうことだったり、確かな技術に裏打ちされていれば、新しい料理や食べ方に挑戦するという行為自体が好意的に受け入れられる土壌を大阪は持っている

 ○共同イベントとして使う

  ・今、大阪の飲食業に求められるのは個々のお店でパイを奪い合うことよりも、パイ自体を拡大すること。そのためには、個々のお店が協力し、大阪全体の魅力を高めることが重要

  ・たとえば、地の食材を使った「大阪らしい旬づくり」や、価格を一定にして質の高さを競う「¥1,000均一ランチ祭り」や「¥3,000均一ディナー祭り」など、大阪全体のイベント・テーマとして利用可能

 

以上、「食の都・大阪スタイル宣言」は単に大阪の食の特徴を示すだけならず、大阪に居を構える飲食業の個別戦略や地域戦略として大いに活用してほしい。

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