2016年04月27日 12:42

麦と企業家に共通するもの

こんにちは。りょく吉です。皆さん、いかがお過ごしですか。

先週の4月20日は二十四節気の「穀雨」。この時期に降る雨は百穀を潤すそうですが、まさにその言葉のとおり、「穀雨」によってりょく吉の家庭菜園の「麦」も大きく成長し、穂がきれいに出てきました。

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4月の明るい空の下、風にそよぐ青々とした麦がとても好きで、それを見たさに栽培しているのですが、今ではどの草花よりも麦で春を感じようになりました。毎年、今の時期、その麦を近所に分けたり、ミュージアムで飾ったりして、あちこちに「春」を届けています(写真はミュージアム入口での写真)。

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昨年もこの時期、ブログで紹介しましたが、ミュージアムで「麦」といえば、そうです、展示企業家を紹介するミュージアムの「ガイドブック」です。ガイドブックの表紙に麦の穂のイラストが描かれており、裏表紙にその解説として「豊かに実る麦。踏まれることでたくましく育つ麦は、どこか企業家の生き方に通ずるものがある」――このように記載されています。まさに、この解説通り、ミュージアムの展示企業家105人はいずれも逆境にあっても、あきらめずに創意工夫と不屈の精神で偉業を成し遂げられました。館内展示やガイドブックではその内容を分かりやすく紹介しているのですが、今回はその中のお一人をご紹介しましょう。

 

「発明はひらめきから。ひらめきは執念から。執念なきものに発明はない。」――これは世界で初めてインスタントラーメンを開発し、食生活に便利さとおいしさをもたらした日清食品創業者・安藤百福氏の言葉です。安藤氏は若いころより手広く事業を展開し成功するものの、頼まれて理事長を引き受けた信用組合が倒産、築き上げた財産を失いました。47歳で再出発するにあたり、安藤氏は家庭で簡単に作れるラーメンを作ろうという目標を掲げ、朝から晩まで試作品づくりに没頭しますが、うまくいかず開発は困難を極めました。

 

そんな中、妻が天ぷらを揚げているのを見て、ひらめいたのです。「麺を高温の油で揚げればいいんだ」――研究開始から1年後、こうして苦心の末に「チキンラーメン」の開発に成功したのです。先程の安藤氏の言葉は執念をもって開発に取り組んだ、まさしく実体験から出た言葉です。

 

「自分が安藤氏の立場だったら、どう行動するだろう」――常日頃、来館者に安藤氏のこの言葉を紹介しながら、ふとそう思う時があります。「47歳で新しいことにチャレンジする気力が自分にあっただろうか、失敗続きの中で1年も研究を続けられるだろうか・借金だけ残るのではないか・・・」等々。たいていは「自分にはできないなぁ」と消極的に考えるりょく吉ですが、このブログを書いていて、永年にわたり栽培している麦のようにたくましく、ミュージアムの企業家のように果敢に挑戦する気持ちを持とうと思うに至りました。

 

皆さんもミュージアムの企業家からいろいろと学びませんか。そして気持ちの切り替えを図りませんか。ミュージアムでは、安藤氏はじめ明治以降、大阪を舞台に活躍した企業家の優れた事績をパネルとゆかりの品で展示しています。特に失敗した時、困難な状況に陥った時には、ぜひお越しください。きっとお役にたちます。なぜなら、ミュージアムには麦のように踏まれても踏まれても、そこから立ち上がった先人企業家の数多くの知恵がありますから。

投稿者 museum | 2016年04月27日 12:42