2015年08月25日 14:33

「講談で聞く企業家」

こんにちは。りょく吉です。

8月も下旬となりますと、日中はまだまだ暑い日が続きますが、朝夕は少し涼しくなり、大分過ごしやすくなってきました。皆さん、いかがお過ごしですか。これからは一日の中でも、朝夕と日中の気温差が大きくなっていきますので、風邪などひかれませんよう、体調管理には十分お気をつけください。

 

さて、突然ですが、皆さんは「講談」を聞かれたことがありますか。このようにお尋ねすると、「講談師が語っているのをテレビで見たことがあるよ」という人はいても、実際に演芸場まで足を運んで聞いたという人は少ないと思います。かくいうりょく吉も今年、ミュージアムで聞くまでは実際に聞いたことがありませんでした。

ミュージアムでは、2年前から毎回一人の企業家に焦点を当て、その足跡を講談師に語っていただく「講談で聞く企業家」を開催しており、今年度第1回目の企業家講談が8月8日に開催されました。そこでりょく吉、人生で初めて「講談」なるものを聞いたのです。当日登場した企業家は大和ハウス工業創業者・石橋信夫氏。講談師旭堂小二三氏が会社創業から拡大期にかけて奮闘する石橋氏を名調子に乗せて語りました。

 

りょく吉にとって「講談」というと、歴史ものが多いせいでしょうか、何か難しい、自分とは関係のない遠い存在のものと思っていましたが、初めて聞いてまさに「目からうろこ」です。今回の講談では、企業家を題材にしており、ストーリーをよく知っていたこともありますが、語りにリズムとメリハリがあって大変聞きやすく、話にぐいぐい引き込まれるのです。当日参加の皆さんも、まさに当事業の狙いである企業家の事績を「より楽しく、分かりやすく」学んでいただけたものと思っています。

 

ミュージアムでは、この「講談で聞く企業家」の今年度第2弾として10月3日(土)にコクヨ創業者の黒田善太郎氏を取り上げ、実施いたします。当日は、黒田氏が故郷富山を離れ大阪で創業する際の逸話を中心とした講談(30分)の後、スタッフによる館内見学会も実施いたします。詳しくは下記ホームページをご参照ください。

http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201508/D25151003014.html

 また、館内では12月18日まで、没後130周年企画「大阪の恩人・五代友厚」の特別展示を開催しており、明治初期の大阪経済の振興に尽力した五代の人となりや優れた事績が四世長谷川貞信氏の画20枚と貴重なゆかりの品でご覧いただけます。これまで講談を聞いたことがない方、ぜひともこの機会にご参加いただき、講談の魅力に触れるとともに、五代の特別展示もあわせご覧ください。

投稿者 museum | 14:33

2015年08月22日 11:56

企業家ミュージアム★メールマガジン★第61号

>>2015年8月21日(金)発行<<


みなさん、こんにちは。
今回の「企業家ミュージアム メールマガジン」は、毎日新聞月曜日夕刊に2012
年4月9日から2014年1月27日まで掲載していた、企業家の名言や座右の銘を
コンパクトにまとめた『大阪の道標』の第27回です。
ミュージアムで紹介している企業家たちの珠玉の名言、座右の銘をお楽しみください!
 
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 ★今月の名言!(第27回)★

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  計画は密にして実行は大胆にやれ。計算の出来ぬものはだめだ。終始一貫、物事
   に徹底せよ。
 
    中山悦治(なかやまえつじ)中山製鋼所創業者 (1883~1951)
   
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裸一貫で事業を起こし、1939(昭和14)年に当時関西第一の大溶鉱炉を持つ銑
鋼一貫メーカー中山製鋼所をつくり上げたのが中山悦治である。

中山は、1883(明治16)年、福岡県行橋市に生まれた。代々庄屋の家であった
が、父親の破産から旧制豊津中学を2年で退学。16歳の時に郷土を出る。製糸工場、
鉄道、炭鉱、労働者供給請負業、下宿屋などと職を変え苦労を重ねた。

1919(大正8)年、実弟らの金物生産に触発されて転身。兵庫県尼崎市にメッキ
工場を設立。問屋に冷遇され販売に苦労したが、23年の関東大震災の復興需要によ
り経営基盤を固めた。

当時、メッキの材料の薄鉄板(薄板)はそのほとんどを英米からの輸入に依存してい
た。『物事は徹底』と強調する中山は、1928(昭和3)年大阪市大正区に4万坪
の土地を求め薄板製造に乗り出した。経験も技術もなく失敗の連続であったが従業員
と社長の一致した熱意で成功させ、37年に全国生産の14%を占めるまでに発展し
た。

中山は、亜鉛鍍金工業から原料の薄板製造、さらに薄板の原料であるシートバー生産、
銑鉄生産、溶鉱炉生産へと鉄鋼生産の上流工程へと展開していった。そこには常に
「物事に徹底」する中山の信条があった。

                                 <毎日新聞 2013年1月28日 夕刊>

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中山悦治については、企業家ミュージアム<第2ブロック:重工業発展の基礎を築く
>サポーティング・インダストリーを生み出した技術型経営者のお一人として展示し
ています。

 ▼大阪企業家ミュージアムで展示している企業家についてはこちら。
   http://www.kigyoka.jp/exh/ent/index.html

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■編集後記■

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼・造船・石炭産業」の世界遺産登録が7月に
決定しました。産業の近代化の原動力となった数々の設備や跡地の中に、長崎にある
小菅修船場跡が含まれています。建設には、後に大阪商工会議所・初代会頭となる薩
摩藩士・五代才助(五代友厚)も関わった施設です。

現在、大阪企業家ミュージアムでは特別展示 没後130年企画「大阪の恩人・五代友
厚」を開催中です。ぜひ、ご来館下さい。お待ちしております。
http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201507/D25150804018.html 

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▼バックナンバーはこちらの「月刊アーカイブ」をご覧ください
  http://blog.kaigisho.jp/museum/

本メールは、大阪企業家ミュージアムが主催するセミナー参加などを通じてメ
ールアドレスをご提供くださった方々にお送りしております。
今後、こうした情報提供が不要である場合は、その旨、このメールの返信にて
お知らせください。

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 【発行日】  2015年8月21日
 【発行元】  大阪企業家ミュージアム
         電話 06-4964-7601
         FAX  06-6264-6011
         e-mail  museum@osaka.cci.or.jp  
         http://www.kigyoka.jp/
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投稿者 museum | 11:56

2015年08月12日 14:36

「関西ものづくり新撰2016」募集スタートです!

こんにちは、あか吉です。

立秋を過ぎ、朝夕の日差しが少しずつ優しくなってきたような気がしますが、昼間は相変わらずの酷暑、厳暑、極暑、激暑、炎暑ですね(笑)。

みなさん、お身体ご自愛ください。

 

さて、特別展示「没後130年企画『大阪の恩人・五代友厚』」を8月4日からスタートしました。

先週のりょく吉のブログで展示品についてご紹介させていただいたのを覚えておられる方も多いと思います。ぜひ一度実物を見にご来館ください。お待ちしております!

(8月14日(金)~17日(月)は夏休みをいただいております。18日(火)からは通常どおり開館しております)

 

ところで、この五代さんの前の特別展示は何だったか覚えておられるでしょうか?

(最近物忘れのひどいあか吉は昨日あったことも忘れてしまいますが...)

 

ヒントは「技」です...。

 

そうです!「挑戦・創意工夫-今活躍する企業家たち 2015」です。

近畿経済産業局が「関西ものづくり新撰」として選んだ、関西で活躍するものづくり企業29社の展示でした。知恵と技で次代を切り拓く、まさに企業家精神溢れる展示でした。

 

そしてこのたび、2016年度の「関西ものづくり新撰」の募集が始まりました!

応募要領は下記のとおりです。ぜひご応募ください!

 

「関西ものづくり新撰2016」

◆応募期間 平成27年8月14日(金)~9月14日(月)

◆応募方法 応募専用ホームページから応募書類一式をダウンロードしていただき、必須事項

をご記入の上、電子メールまたは郵送で事務局にご提出ください。

      詳細は、応募専用ホームページ等から「応募要領」をご確認下さい。

応募専用ホームページ 

◆実施主体 近畿経済産業局 産業技術課

◆事務局 「関西ものづくり新撰2016」事務局 ダン計画研究所(担当:小倉、河野)

      TEL:06-6944-1173  E-mail:infos@monodzukuri-shinsen.go.jp

      住所:〒540-0021 大阪市中央区大手通1-2-10

 

また、下記日程で募集説明会も開催されるそうです。

 

◆日時 平成27年8月17日(月)①10:30~12:00 ②13:30~15:00

◆場所 近畿経済産業局2階 第一会議室

      大阪市中央区大手前1-5-44 (入館時に身分証明書が必要になります)

◆申込方法 件名に「関西ものづくり新撰2016 募集説明会参加」、本文に社名、部署名、役職名、出席者名、連絡先(電話番号及びメールアドレス)、参加を希望される時間帯(①10:30~、②13:30~のいずれか)をご記入の上、電子メールで申込してください。

◆申込先  infos@monodzukuri-shinsen.go.jp

      「関西ものづくり新撰2016」事務局(担当:小倉、河野)

 

どんな製品や技術が選ばれるのか、今から楽しみですね。

来年も企業家ミュージアムの特別展示でご紹介できればと思います。

明日を担う企業家たちの、チャレンジとイノベーションに期待しています!

 

投稿者 museum | 14:36

2015年08月11日 13:46

企業家ミュージアム★メールマガジン★ 第60号

>>2015年8月6日(木)発行<<
 
 みなさん、こんにちは。
 外出時はもちろん、家の中でも熱中症になりかねない暑さですね。

 さて、「企業家ミュージアム メールマガジン」第60号は、

 当面の催し物のご案内です!

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【1】 <8月4日から新展示がスタートしました!>
     没後130年企画 大阪の恩人・五代友厚  

【2】 8月8日★終了しました★
       <楽しく学ぶ企業家精神!>
     講談で聞く企業家 石橋信夫 氏(続編) 
     
【3】 8月21日
    <教員対象夏休み特別企画>
     大学・専修学校等オープン講座:大阪の企業家ヒストリー

【4】 大好評につき秋も開講します!:2015年度『講座・企業家学』

【5】 インターンシップ生、内定者の研修にも最適!:見学のご案内

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【1】 8月4日から新展示がスタートしました!
     没後130年企画 大阪の恩人・五代友厚 
        
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 明治時代の大阪経済の近代化に力を尽くし、大阪商工会議所の初代会頭を
 務めた五代友厚の功績をしのぶ展示を開催しています。
 
 五代の生涯を絵画(浮世絵師・四世長谷川貞信氏作「五代友厚の一生」
(複製))で紹介するとともに、1865年の欧州諸国巡歴において近代化
 の必要性を薩摩藩主に建言した文案(『欧行要集』)など、五代ゆかりの品
 を展示中。

 ぜひ、ご見学ください。お待ちしております。 

 開催期間:12月18日(金)まで
 場所: 大阪企業家ミュージアム
 料金: 大阪企業家ミュージアム入館料(大人1人300円)に含みます

 ▼詳しくはこちら
   http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201507/D25150804018.html
  

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【2】 8月8日(土) ★終了しました★
    <楽しく学ぶ企業家精神!>
     講談で聞く企業家 第1回 石橋信夫 氏(続編)

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 こちらのイベントは、開催終了しました。たくさんのご参加をありがとうございました。
  
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【3】 教員対象夏休み特別企画!8月21日(金)開催!!
    大学・専修学校等オープン講座:大阪の企業家ヒストリー

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 大阪府教育センターの「大阪府教職員自主研修支援事業」と連携し、大阪
 府内の幼稚園、小学校、中学校、高校および支援学校等の先生方を対象に
 オープン講座「大阪の企業家ヒストリー」を8月21日(金)に開催しま
 す。
 
 大阪で活躍した企業家の事績を通して「働くこと」「生きること」の素晴
 らしさ、そして「大阪」の魅力を先生方に知っていただき、ぜひ学校で
 子どもさん達にお伝えいただければと思います。ご参加、お待ちしており
 ます。

 ▼詳しくはこちら
  http://www.kigyoka.jp/pdf/osk27080421his.pdf

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【4】 大好評につき秋も開講します!:2015年度『講座・企業家学』
                           (近世の豪商)

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 「企業家研究フォーラム」(会長:沢井実大阪大学教授)と連携し、
 業界を築きリードしてきた企業家にスポットをあてた連続講座。

 6月に終了した鉄道に続き、11月は「近世の豪商」をテーマに、江戸か
 ら明治にかけての激動の時代に新しいビジネスを生み出した豪商の商才と
 生き方について、斯界のご専門の先生方からお話をお聞きします。

 社会人の皆さんはもちろん、経営・経済を学んでいる大学生・大学院生の
 皆さん、そして業界研究に取り組む就職活動中の皆さん、ぜひ、ご参加く
 ださい!

 ▼詳しくはこちら
  http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201503/D25151107019.html
  
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【5】 インターンシップ生、内定者の研修にも最適!:見学のご案内

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 8月~10月、企業では、インターンシップ生の受け入れや内定者研修を
 実施されるところが多いのではないでしょうか。

 「働くとは?」「仕事とは?」「どんな企業があるの?」

 企業家たちの高い志、チャレンジ、やり抜く強い意志が、社会にどのよう
 なイノベーションを興してきたのか。様々な企業家の企業家精神と足跡を
 紹介する大阪企業家ミュージアムの見学を、ぜひ、研修プログラムにご活
 用ください。

 団体見学:10名以上(要相談)でご来館の場合、ご希望によりミュージ
 アムスタッフがガイドいたします。(要事前予約)
  
 ▼詳しくはこちら
  http://www.kigyoka.jp/seminar/inspection.html

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 ■編集後記■
 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 猛暑日が続きます。お盆休みを利用して様々な行楽を計画されておられる
 方も多いと思います。日傘、帽子、水分補給など、熱中症対策を万全に
 お過ごしください。
 
 <大阪企業家ミュージアムの夏季休館日>
  8月14日(金)~17日(月)
 
 なお、ミュージアムへのご意見・ご希望等がございましたら、下記メール
 アドレスまでお寄せください。

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  ▼バックナンバーはこちらの「月刊アーカイブ」をご覧ください
  http://blog.kaigisho.jp/museum/

 本メールは、大阪企業家ミュージアムが主催するセミナー参加などを通じ
 てメールアドレスをご提供くださった方々にお送りしております。
 今後、こうした情報提供が不要である場合は、その旨、このメールの返信
 にてお知らせください。

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 【発行日】  2015年8月6日
 【発行元】  大阪企業家ミュージアム
         電話 06-4964-7601
         FAX  06-6264-6011
         e-mail  museum@osaka.cci.or.jp  
         http://www.kigyoka.jp/
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投稿者 museum | 13:46

2015年08月05日 17:01

8月4日から「五代友厚特別展」開催しています

こんにちは。りょく吉です。

8月に入り、日本列島は連日猛暑続きですが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。りょく吉が子どもだったころ、もう随分昔の話ですが、そのころ「猛暑日」や「熱中症」といった言葉、なかったように思います。暑い戸外で運動や作業をするときに、よく「『熱射病』に気をつけよ」と言われた記憶はありますが、今は室内にいても「熱中症」になるのですね。それだけ、地球温暖化が進んでいるということでしょう。皆さん、猛暑の時期は無理をせず、十分に休息や水分を取るなどして、どうぞお元気にお過ごしください。

 

さて、ミュージアムでは、今週の8月4日(火)から特別展「没後130年企画『大阪の恩人・五代友厚』」が始まりました。五代は明治維新の混乱で衰退した大阪経済に再び活力を取り戻そうと活躍した企業家であり、そして、われらが大阪商工会議所の初代会頭です。今回のブログでは、「特別展といっても五代さんのこと、あまりよく知らないな」「館内には何が展示してあるの」と思われる方のために、五代のプロフィールと展示物を簡単にご紹介します。これを読めば、特別展への興味がより湧いてくること、請け合いです。

 

まずはプロフィールです。五代は1836(天保6)年、薩摩藩の儒者の家に生まれました。幼少より英才の誉れ高く、幕府が長崎に海軍伝習所を設立すると、藩から入学を命ぜられ、航海・測量などを学び、その後、1865(慶応元)年、薩摩藩英国留学生の引率者として訪英、欧州各地を視察して開明的知識を深めます。1868(慶応4)年、その新知識により政府の高官に登用され大阪に赴任します。五代と大阪との関わりはここからスタートします。

 

五代は大阪開港業務や造幣寮の開設に尽力しますが、翌年、横浜転勤を命じられます。すると「政府には人材が揃っているが、民間にはいない。自分は大阪で一般の商工業の発展に努力する」といって、役人を辞し実業界に入ります。大阪で五代は自ら貨幣から地金を取り出して造幣寮に納める「金銀分析所」を作るとともに、多数の鉱山経営にも乗り出し、これを統括する「弘成館」や国内製藍業の保護と輸出を目的とした「朝陽館」を設立しました。また、大阪商人らと「大阪製銅会社」「阪堺鉄道」「神戸桟橋会社」など、数多くの会社を興しました。

さらに、五代は経済界のリーダーとしても活躍、「堂島米会所」を再興するとともに、「大阪株式取引所」(大阪取引所の前身)、「大阪商法会議所」(大阪商工会議所の前身)などの設立にも主導的役割を果たし、名前は"五代"ながらも「大阪商法会議所」の"初代"会頭に就任します。また、商家の子弟の教育の場として「大阪商業講習所」を開設しますが、この講習所は現在の大阪市立大学につながっています。

 

このように、明治初期の大阪経済の振興に尽力し、「大阪の恩人」「大阪経済近代化の立役者」と言われている五代ですが、1885(明治18)年、49歳の若さで亡くなります。特別展では、このような五代の生涯を四世長谷川貞信氏の20枚の画(複写)で紹介(下記の写真参照)、画を見ていくだけで五代の一生がたどれるようになっています。また、五代ゆかりの品も数多く展示しています。

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主なものを紹介しますと、五代自筆の書・画としては、「欧行要集」(五代が滞欧中に記し薩摩藩主に送った富国強兵策の文案)、「御暇言上状」(役人退官の意思を表す書状)、友人に送った退官書面の一部や鉱山経営の本拠であった「弘成館」の規則、戯画「惣難獣」などが。また、書翰では、幅広い交友関係の中から、今回は木戸孝允、大隈重信、大久保利通、渋沢栄一から五代宛ての書翰(下の写真は渋沢栄一からの書翰)を、さらに大久保利通揮毫による「弘成館」「朝陽館」の扁額も展示しています。

IMG_0290.JPG

一方、資料類としては、製藍の「特許願」や「朝陽館」の広告ほか、新政府からの辞令類、五代の屋敷図面や所有財産書、さらには明治初期の大阪湾絵図まで多彩な資料を用意し、ごく身近で見学できるよう展示しています。これら展示品は大阪商工会議所で所蔵する膨大な資料の中から、今回の特別展用に選んだものです。

 

五代の人となりや優れた事績が、画と貴重なゆかりの品とともに見学できる今回の特別展、8月4日(火)から12月18日(金)までのロングランで開催しています。ご都合の良い時にお誘い合わせご来館いただき、「近代大阪育ての親」として時代を切り拓いた五代の足跡にぜひ触れてみてください。

投稿者 museum | 17:01