2012年12月07日 14:48

愛され続ける商品

 こんにちは、あか吉です。
 朝晩の寒風にせっかくの紅葉も落ちてしまいました。今回は今年紅葉狩りができなかった
方のために、足元にありました一片の紅葉を。

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 さて、ここのところの寒さに耐えきれず、あか吉はついに手袋とマフラーを出してきました。
 箪笥の奥の衣装箱から取り出した手袋とマフラーからは、防虫剤の独特の香りが漂ってき
ます。

 小さい頃、衣替えをする母ネコからよく「樟脳とってきて~」と言われ、防虫剤イコール「樟脳」
だと思っていましたが、一口に防虫剤といってもさまざまな種類があることを大人になって知り
ました。
 「無臭」タイプと「有臭」タイプ。「無臭」(ピレスロイド系)の防虫剤は箪笥からすぐに出して着れ
るよう箪笥の中に掛けたり置いたりする製品が多く、「有臭」(ナフタリン系、パラジクロルベンゼ
ン系、樟脳系)のものは衣替えの際、衣装箱の中に畳んだ衣類とともに置く製品が多いようです。
それぞれ特徴があり用途が違いますが、その中でも、クスノキの葉や枝の成分から抽出され古
くから使われているのが「樟脳」です。金糸、銀糸、金箔に影響しにくいということで、主に和服の
保管に使われています。

 この「樟脳」の精製・販売に着手し成功を収めた企業が大阪企業家ミュージアムに展示され
ています。「藤沢薬品工業」です。若い人はこの社名を知らないかもしれませんね。

 1894年の創業以来、看板商品の「藤澤樟脳」の精製・販売を行い、第一次世界大戦以降は新
薬製造に進出した会社です。2005年には山内製薬と合併して「アステラス製薬」となっています。
 「藤澤樟脳」は藤沢薬品工業と山内製薬が2004年にヘルスケア製品を扱うためにつくった「ゼ
ファーマ」からの販売となり、その後、ゼファーマを合併した「第一三共ヘルスケア」の商品として
販売され今に至っています。開発から100年以上もの間、トレードマークの「鍾馗さん」(疫鬼を退
け魔を除くという神様)とともに、多くの人たちに愛され続けています。
 販売する会社の形は時代や環境に対応してさまざまに変化していますが、人々の生活の役に
立つ良い商品は昔のまま支持され続けることを、この「藤沢樟脳」は語ってくれています。そう思っ
て身の回りをみてみると、蚊取線香やクレパスなど昔からある商品が今も我々の生活の中にしっ
かりと息づいていますね。

 大阪企業家ミュージアムでご紹介している「企業家」とは「今までになかった商品やサービスを
提供し、社会の発展や人々の生活向上に貢献した人」。それら企業家たちの努力や思いが詰まっ
た商品がこうやって時代を経て我々の生活の中に息づいていることに、企業家たちの先見性の高
さに改めて感動するあか吉です。

 今、企業家ミュージアムでは、企業家たちの「名言・座右の銘・ゆかりの品」を展示する特別展を
実施しています。ぜひ企業家たちの珠玉の一言や思いに触れにお立ち寄りください。

投稿者 museum | 2012年12月07日 14:48