2012年08月14日 09:32

失われたかたちを求めて

 巷に『古事記』関連の本が溢れているなぁと思っていたら、『古事記』編纂1300年なんですね。
 京都国立博物館では、平成25年に約60年ぶりの遷宮が行われる出雲大社と『古事記』編纂1300年を記念して、大出雲展(http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html)が開催されています。早速、あお吉も行ってきました。

 遥か昔、社会科の授業で習った埴輪や銅鐸、銅鏡、勾玉がずらーっと並んでいました。改めて見ると、おもしろいもんですね。驚いたのが、銅鏡の模様の精巧さ!どんな道具で、どんな風に彫られたのでしょうか。埴輪も新鮮でした。力士の埴輪、見返り美人ならぬ、見返り鹿の埴輪をあお吉は初めて見ましたが、とても和んでしまいました。造りは大雑把なのですが、鹿の口元など、草を食んでいるような雰囲気が漂っており、とても写実的でした。

 あお吉が、おぉーっと感動したのが、古代出雲大社の復元模型でした。とにかくビッグサイズ。人間の身長の3倍くらいありました。製作したのが工業高校の生徒さんだということにも驚きました。さらに、解説を読むと、復元の設計図は大林組さんが引いたものである。とありました。大林組さんというと、東京スカイツリー。
 こうした復元なども手掛けているからこそ、最新技術と伝統技術が融合した最新の建造物ができるんだ、と妙に納得がいきました。

 大林組さんは、歴史的な建造物の修復や復元にとくに熱心な企業さんであるということも知りました。京都の桂離宮の昭和の大修理、大阪城の大復元工事・・・。すでに歴史的建造物になっている赤レンガの東京駅も大林組さんの手になるものなんです。

  「古代出雲大社の復元 ~失われたかたちを求めて」(大林組 学生社)に、大林組さんが取り組まれた、古代出雲大社の“復元シミュレーション”の一部始終がかかれているのですが、その中に、こんなことが書かれていました。
― 建設は、未来へおくるメッセージ―
    その時代というものをかたちに集約する。あるいはそのときの最新の技術と価値観と美意識を統
    合する行為。同時に、過去の建造物がその生きていた時代から現代のわたしたちへおくられてく
    るメッセージであることと同義である。

 “復元シミュレーション”では、精度の高い現実性というものが重要で、工法や工事のための動員数、工費の検討も含めてシミュレーションが行われていました。古代エジプトのピラミッド然り、巨大な古代建造物にはどれだけの人が携わっていたのか、と考えると気が遠くなってしまいます。と同時に、こうした歴史の上に現在があるのだという意識も強く持ちました。

 ミュージアムには必ず新たな発見がある!と常々あお吉は思っていますが、今回、その思いが一層強くなりました。自分の中に“テーマ”があると、想定しえなかった気づきにも出会え、新しい思考と好奇心が動き出します!!

 毎日尋常でない暑さが続きますが、大林組の創業者・大林芳五郎氏のパネルもある大阪企業家ミュージアムへ是非、お運びください。

投稿者 museum | 2012年08月14日 09:32