2008年10月30日 12:51

秋来ぬと合点させたる嚏(くさめ)かな

「死はそこに抗ひがたく立つゆゑに生きてゐる一日(ひとひ)一日はいづみ」上田三四二

りょく吉君の家のトイレには、俳句や短歌の本がおいてあります。
毎朝、適当にページをめくって読むのが習慣になっています。
今日も今日とて、適当に開くと冒頭の短歌が出てきました。

人間、いつかは死ぬ。
当り前のことですが、病院で死んでいく方が増えていくことで、この事実に直面する機会は、昔の方に比べれば随分と少なくなったようです。

りょく吉君は、「死ぬ」ということに接したことが2回あります。
一回目は小学4年生の時。
緊急入院したもののベッドの空きがなくて、救急の部屋に一晩泊まることとなったのですが、他にも救急車で運ばれた方が相室となりました。
この方はトラックの荷台から、落ちた時に頭を打ったらしく、一応入院という話でした。
しかし、夜半、容態が急変し、医者の方の対応もむなしく死んでいかれました。まだ若い奥さんが泣きじゃくっていました。
りょく吉君は、そんな様子をずーと、隣のベッドで聞いていました。

もう一回は、父の死ぬ瞬間に接した時。
癌で何日も苦しみ、痛みを除くために薬を使い、ほとんど朦朧とした意識の中でベッドに寝ていました。
ある日の朝、急に意識のはっきりしたまなざしで、こちらに向かって語りかけるような視線を最後に向けて息を引き取っていきました。

短歌を読みながら、「死ぬことは避けられない」、「だからこそ生きている今が大事である」そんな当たり前のことを考えました。

大阪企業家ミュージアムには、志や夢を持ち、様々な難問を創意工夫とあきらめない強い意志のもとに成し遂げた方々の事跡を、資料やビデオで見ることができます。

毎週水曜日は、8時まで開館をしています。
秋の夜長に、企業家の方々の人生をたどってみてはいかがでしょうか。

最後にもう一句。

「秋来ぬと合点させたる嚏(くさめ)かな」蕪村

まわりでもくしゃみ、鼻水の方がだんだん増えてきました。
新たなインフルエンザの脅威もいわれています。
季節の変わり目、くれぐれも健康にお気を付けください。

りょく吉

投稿者 museum | 2008年10月30日 12:51