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| 「M&A」と英語の略称で言われても、何のことかよくわからない方も多いかもしれません。あるいは新聞等で見かけてなんとなく知っていても、詳しいイメージが湧かない人もきっと多いと思います。そこで、M&Aとは何か、M&Aにはどのような形態があり、具体的にどのようなことを指すのかをわかりやすくご説明します。 |
| M&Aは、「Mergers and Acquisitions」の略です。前者が「合併」、後者が「買収」という意味ですので、そのまま日本語に訳すと「企業の合併・買収」となります。なお、語尾にsのない表記を見かけることがよくありますが、これは誤りで、正式には必ずsがつきます(これは私の想像ですが、メガネがglassesとなるのと同じで、片方だけではM&Aは成り立たないからでしょうか)。 一般に「M&A」という言葉を用いる場合、企業全体の合併・買収(売却)だけでなく、ある部門だけの譲渡(一部事業譲渡)や、資本提携(100%ではない株の取得・持ち合い)なども含めた、広い意味での「企業提携」のことを総称しています。 M&Aには色々な形態があり、それを図式化すると以下のようになります。 |
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| 前述したように、M&Aには様々な形態があります。ここでは中小企業のM&Aでよく用いられる4つの形態、「株式譲渡」「合併」「事業譲渡」「新株引受」について概要をご説明します。 一番多いのは「株式譲渡」によるM&Aなのですが、ここでは説明を進めやすくするために、「合併」からまずご紹介します。 |
| 「合併」は、複数の会社が合体して1つの会社になることです。たとえば、同じ業種の企業間で、規模の大きいA社が規模の小さいB社を吸収して1つの会社となるようなケースです。この場合、A社が存続会社となり、B社の方は消滅(解散)します。これを「吸収合併」と言い、ほとんどの合併はこの形式で行われています。(別会社を新設して合併する「新設合併」という形式もありますが、手続きが煩雑なことなどから、ほとんど用いられることがありませんので、ここでは割愛します) 吸収合併では、吸収される側のB社の資産、負債、技術やノウハウ、人材等のすべてをA社が包括的に引き継ぎ、その代わり、消滅するB社株主には存続会社であるA社株式が交付されます。その際に、様々な角度からAB両社の1株あたりの価値を評価し、イコールと思われる交換比率で株式を交付します。それが「合併比率」と言われるものです。たとえば、A社の1株価値が1,000円、B社の1株価値が500円だとすれば、B社株式を1,000株所有している株主には、A社株式500株を交付することになります。 合併は、規模の拡大やスケールメリットを図る際に用いられやすい方法です。銀行や小売業の大型合併などは、まさにその典型でしょう。ただし、次に述べる株式譲渡に比べると手続きが煩雑なことや、合併後の社内体制の整備・企業文化の統合などに手間がかかることもあり、中小企業同士の合併は、実はあまり多くありません。 なお、平成18年の会社法施行により、平成19年5月より、合併に際して株式以外の対価も認められるようになりました。これにより、現金や存続会社の親会社株式を対価として合併することも可能となっています。 |
| 「株式譲渡」は、売り手企業が既存の発行済株式を譲渡することによって、会社の経営権を買い手に譲り渡すものです。合併と異なり、会社の株主が代わる(所有者が代わる)だけですから、売り手の会社自体はそのまま存続します。株式譲渡は、合併に比べて手続きが簡単なことから、中小企業においてもよく用いられる、M&Aの中で最も一般的な方法です。 株式譲渡によってM&Aを行う場合、買い手は売り手企業をそっくりそのまま「買う」ことになりますので、商圏や許認可等を含めた有形無形の資産をスムーズに引き継げるというメリットがあります。ただし、売り手企業に万一、簿外債務等があった場合は、それらも引き継いでしまうリスクもありますので、買い手はM&Aを実行する前に十分なチェックを行うことが必要です。 一方、売り手企業側(特に社長)からすれば、これまで心血を注いで育ててきた自分の会社が存続する上、株式譲渡の場合は株主個人に直接お金が入ってくるので、創業者利益の実現やハッピーリタイヤを行いやすい方法と言えます。 なお、株式の取得割合により株主としての権利が異なることから、どれくらいの割合の株式を取得するかは、買い手側にとってはきわめて重要な問題です。詳細は省きますが、一般的には50%超の株式を取得すれば「買収した」「子会社にした」ということになり、3分の2以上の株式を取得すれば、株主総会での特別決議を単独で行えることから、全株取得に近い効果が期待できます。ただ、実際には、中小企業のM&Aでは100%譲渡(取得)がほとんどです。 |
| 「事業譲渡」は、企業が行っている事業(営業資産)そのものを、買い手に譲渡する方法です。一部門だけの譲渡(一部譲渡)も、すべての事業を譲渡する(全部譲渡)ことも、どちらも可能です。また、土地・建物などの有形資産や、売掛金・在庫等の流動資産だけでなく、無形資産である営業権や人材、ノウハウ等も譲渡対象とすることができます。 事業譲渡は、法人をそっくり引き継ぐ形ではありませんので、売り手企業の債務(潜在債務を含む)は買い手に自動的には継承されません。その意味では、簿外債務のリスクを避けたい買い手にとっては安心な方法と言えます。また、株式譲渡に比べて手続きがやや煩雑になるものの、買い手にとっては欲しい事業、必要な部分だけを手に入れることができるメリットがあります。 一方で、売り手にしても、不採算部門の売却により、事業の再構築や経営のスリム化を行うことができるとともに、売却して得たお金(会社に入ります)を別事業に投資することができます。 |
| 「新株引受」によるM&Aとは、その名の通り、売り手企業が新株を発行(第三者割当増資)し、それを買い手企業が引き受け、大株主となることで経営権を取得する方法です。前述した「株式譲渡」とは、既存の株式か新株式かのちがいはありますが、株式取得によるM&Aという点では同じです。 新株引受は、株式譲渡と異なり、M&Aの対価は株式払込金として会社に入ります。そのため、この方式は、売り手企業の資本力強化や財務内容の健全化を図るために、しばしば用いられます。また、既存株式の取得だけでは目標とする株式の保有割合の達成が難しい場合(売り手企業の規模が大きく、株主が分散しているような場合)などにも用いられます。 |
| M&Aで得ることのできるメリットは、各々の企業がM&Aを行う目的や理由、M&Aの形態によって異なりますが、ここでは一般的なM&Aのメリットについてご説明します。 |
| 当たり前のことですが、狙いをきちんと絞り込み、自社の経営戦略やニーズにマッチした企業をM&Aで買収することによって、事業の多角化や弱体部門の強化などを行うことができます。また、業界内での競争が激しい場合、同業種の企業との合併を行えば規模の拡大が図れ、マーケットシェアを確保することができます。 |
| M&Aを行えば、自社で一から「ヒト・モノ・カネ」を投入して、事業を立ち上げる時間と労力を省くことができ、機動的に新分野への進出などを行うことができます。「M&Aは時間を買う」とよく言われますが、これが買い手にとって最大のメリットの1つと言えます。 |
| M&Aで買収したのと同じ規模の企業や商圏をすべて自前で整えようとすれば、時間ばかりか、はるかに大きなコストがかかることも少なくないことから、M&Aは初期の投資コストが安いというメリットがあります。また、既存企業の買収ということで、売上・利益などの動向が読みやすいですから、新規立ち上げに比べてリスクが少ないとも言えます。 |
| 後継者難で悩んでいる中堅・中小企業は約6割にものぼると言われています。後継者が見つからず、廃業・清算ともなれば、せっかくこれまで心血を注いで築いてきた商圏・技術・ノウハウが無になってしまうばかりか、従業員の雇用や取引先への影響も深刻です。M&Aで譲渡先が見つかれば、会社は存続して従業員の雇用も継続でき、そこから新たな発展のための再スタートを切ることができます。 |
| M&Aで買い手側に立つ企業は、売り手と比べると経営・財務の基盤がしっかりした大企業・中堅企業が多いものです。そこで、M&Aで自社よりも大手の企業の傘下に入ることにより、信用力強化や円滑な資金調達、販路の拡大など自社の弱い点を補うことができ、企業体質の強化につながります。 |
| たとえば後継者難で廃業・清算する場合と比較すると、税制の違いにより、会社を譲渡(株式譲渡)する方が一般的に株主の手取額が多くなります。企業規模や財務内容によって異なりますが、株式譲渡の方が約2倍程度手取額が大きくなります。もちろん、会社が債務超過でないことが前提となりますが、M&Aはハッピーリタイアメントを実現する有力な手段の1つなのです。 |
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